フットハットがゆく【313】「田舎の田舎者」|MK新聞連載記事

よみもの
フットハットがゆく【313】「田舎の田舎者」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2019年12月1日号の掲載記事です。

 

田舎の田舎者

京都府の南丹市にて、「田舎暮らし」を始めることになりました。
長年、テレビ番組の制作を行ってきましたが、今年、放送は500回を突破、自身も50歳になったことで、一旦区切りをつけました。
残りの人生をどう生きるかということで、田舎の空き家(古民家)を買い、そこで自給自足の生活をしながら個人的創作活動に励む、という目標を立てました。
8月に番組が終了してから、何軒か古民家を見て回り、9月には購入。10月には移り住みました。
京都市内から下道で1時間20分という感じです。
最初はもっと、『ポツンと一軒家』的な完全孤立の山の奥、を理想としていましたが、そんなに奥地まで行かなくても、たっぷり田舎感が味わえる物件を見つけましたので、そちらに決めました。

 

田舎暮らしを始めたら、庭を家庭菜園にしよう、ニワトリを飼おう、ヤギを飼おう、など夢が膨らみますが、現実は…。
空き家というのは普通の家の販売と違い、以前に住んでいた方の、生活用品が丸々残っていて、それを承知して購入します。
生活用品といえば聞こえがいいですが、要するにゴミです。
都会では考えられないようなお値段で家と土地を手に入れましたが、屋内も敷地内もゴミだらけ、庭は雑草や笹が3mも伸びてジャングル状態。
とにかく、ゴミ捨て、草刈りからスタートです。
田舎暮らし1年生、というかゼロ年生なので、50歳にして様々なことが人生初経験となります。

 

家の購入と一部の修繕費でお金がなくなり、かなり質素な生活を余儀なくされつつあるのですが、それでも購入をしなければならないのが、田舎暮らしの必需品「草刈機」です。
自宅の草を刈るのにもちろん必要ですが、田舎では年に何回か村をあげて草刈りをするということで、近所づきあいのためにも草刈機は必須アイテム。
ホームセンターでは2~3万円の充電式もありますが、それではやはりパワー不足。
地元の方の勧めで、ガソリンエンジンの本格草刈機を7万円台で購入しました。
その時に受けたレクチャーでは、とにかく草刈機というのは危険で、年間何人も怪我人が出るそうです。
大きな事故では、草刈り中に転倒し、刃が足にあたったり、頭にあたったり、その場合は死亡事故にもつながります。
円形の刃が反時計回りに高速回転するため、刃の左側で刈ったものは後ろに飛んできます。
草が飛んでくるぶんは服が汚れるだけで済みますが、硬い石や、あるいは硬いものにあたって欠けた鉄の刃が顔面に飛んできて目に刺さった! などの事故も多いことから、目を守る防護メガネの着用か、顔面を守るフェイスガードの使用が推奨されます。
そんな怖い話を聞かされましたので、僕はもう、完全ガードのバイク用ヘルメットを買いましたよ!
それを被って草刈機を持った自分を見てみると、大げさな、間の抜けた草刈隊みたいになり、田舎暮らしの田舎もん、みたいになりました(笑)。

 

田舎暮らし公開中! YouTube『塩見多一郎』で検索!

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

フットハット バックナンバー

この記事が気に入ったらSNSでシェアしよう!

関連記事

まだ知らない京都に出会う、
特別な旅行体験をラインナップ

MKタクシーでは様々な京都旅コンテンツを
ご用意しています。