フットハットがゆく【311】「デイジー」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【311】「デイジー」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2019年10月1日号の掲載記事です。

 

デイジー

(※お食事中の方は、閲読をお控えください。)
僕の父親がまだ若かりしサラリーマンだった頃、芸能界では横文字のファーストネームに、日本語の名字をくっつけるという芸名が流行っていました。
ペギー葉山、フランキー堺、ジェームズ繁田、フランク永井、など…。
ということで、会社の忘年会余興に登場する時の父のふざけた芸名は、デイジー塩見。
もう一人の相方さんは、ウンディーヌなんとかさん。
ウンディーヌさんは便秘に悩んでおり、「うんこ出ぬ」で「ウンディーヌ」。
デイジーさんは「イボ痔」で悩んでいるということで、「痔が出ている」で「デイジー」。
同僚たちはこの名前がマイクでコールされるだけで、大ウケだったそうです!

 

この話を、僕は小さい頃に母親から聞きました。
両親は職場婚なので、この忘年会で大笑いしていた一人が母だったのです。
そして生まれた僕も父の遺伝か、デイジーの名を引き継ぐことになります。
物心ついた頃からウンディーヌでデイジー気味。
便秘に関しては、平均3日に1回。ひどいと一週間音沙汰なし。
最高記録は海外旅行に出かけた時の10日間、ベンツー梨田(便通なしだ)。
少年とは…夢は大きく、意思は固くあるべきですが、僕は極度の便秘症のため、うんちが硬くて大きな少年となってしまいました。
すると肛門が切れてキレ痔になり、高校時代は排便のたびに出血に悩み、さらに特大イボ痔に進化、大学時代に2回手術した時の先生には、「君は若いのに立派なもの(痔)を持っているねぇ。」と、褒められ(?)ました。
しかし術後、たいして良くならず、20代後半に、京都の名門肛門医院でついに3度目の手術。
これが見事に大成功! 痔が完治したほか、便秘もなくなり、毎日お通じがあるという人生初の生活スタイルを手に入れました。
ウンディーヌもデイジーも、一気に卒業です!
その時の先生に言われた言葉が、「痔というのは生活習慣によるところが大きいので、これまでと同じような生活をしているとまた、10年、20年経ったら痔になる可能性もありますので、気をつけてくださいね。」でした。

 

その時は固く生活習慣の改善を誓ったのですが、誓っただけで実行はできず、40歳頃にまた痔になりました。
特に40代後半は出血との戦いで、ブラッディー塩見は血を補いたいという思いから過食気味になり、メタボ化で体重が増え、高血圧、ひざ痛、といった二次災害まで発生し、とにかくデイジーが悪の元凶ということで、ついに4回目の手術に踏み切りました。
3回目の時と同じ京都の肛門専門医院です。
そして今、術後の入院病室でこのエッセイを書いています。
入院病棟の寄せ書きノートには、70代や80代の患者さんの名前もあります。
今50歳の僕の4回目の手術が成功したとしても、また後々には…、という可能性も大。
とにかく僕は昔からトイレが長くて、それも痔の大きな原因の一つです。
ベン長井の名を返上するべく生活習慣の改善を! と、病室に横たわりながら固く誓うのでした。

 

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