フットハットがゆく【309】「ニューヨーク」|MK新聞連載記事

よみもの
フットハットがゆく【309】「ニューヨーク」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2019年8月1日号の掲載記事です。

 

ニューヨーク

十数年ぶりに、世界の中心、ニューヨークに行って参りました。
マンハッタン、タイムズスクエアからほど近いホテルに7日間滞在しました。

 

ちょうど滞在期間中にLGBTの大きなパレードがあり、世界中からレズやゲイの方々が集まっていました。
50周年の記念大会ということで、集まった人々その数300万人という報道もありました。
パレードカーからは爆音が鳴り響き、摩天楼にこだまして戦争でも始まったのかと思うほどの騒々しさ。
皆さんテンションが上がり、カップルの方々は本当に幸せそうな笑顔を振りまいていました。
そんな人々を見ていると僕もとてもハッピーな気分になり、やはり恋愛というのは完全に自由であるべきなのだ、と心底思いました。
IKKO(イッコー)さんを10倍も派手にしたような人も大勢いて、ファッションも自由。
その日ばかりは、白いブリーフ1枚で通りを闊歩する方々も…。映画でしか見たことがないような、異様で陽気なシーンを見られたのは素晴らしい体験でした。
一方で、一人でポツンと寂しそうにしている方も大勢見られ、恋愛精神が自由になっても、必ずしもカップルが成立するとは限らず、幸せになれるとも限らないと思いました。

さて、ブロードウェイといえばミュージカル。
今回は2本観劇しました。1本は、昨年秋に始まったばかりの『キングコング』。
全く前情報なしで見ましたので、劇場でどう巨大なコングを表現するのか期待大でした。
内容はネタバレになるので言いませんが、そぅ来たか! と圧倒される出来で、最先端のテクノロジーと、繊細な人の技術が融合して完成した実態のコングは圧巻でした。
僕は日本の人形浄瑠璃を思い出しました。
また、個人的に興味深かったのは、主人公の女性が黒人だった、ということです。
僕的には、子どもの頃に見た映画キングコングの、ブロンド美女ジェシカ・ラングさんのイメージが強かったのですが、さすが最先端ニューヨーク、映画やミュージカルの中で白人だけが活躍するという差別的時代は終わったようです。
ちなみに76年版の映画キングコングは、僕が生まれて初めて映画館で観た映画で、小学2年の頃、父親に連れてもらいました。
ラストシーンで僕は泣いてしまい、その顔を見られるのは恥ずかしいなと思いチラッと父の方へ目を向けると…、父も泣いていました。
なので、ミュージカル版を観ながらも、ラストシーンでは亡き父のことなど思い出しました。

もう1本観に行ったミュージカルは『シカゴ』です。
なんと主人公を演じるのが日本の米倉涼子さんということで、これも驚き。
シカゴといえば、ギャングが活躍した禁酒法時代の女流監獄が舞台のストーリーですから、その主人公をアジア人が務めるというのも、やはりニューヨークの最先端思考の賜物だと思いました。
劇中はもちろん全て英語、僕にはほとんど理解できなかったのですが、米倉さんのセリフに地元の観客から爆笑と歓声が上がっていたので、日本人として嬉しく感じました。

様々な新しい考えに直に触れられた、ニューヨーク滞在でした。

 

田舎暮らし公開中! YouTube『塩見多一郎』で検索!

 

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

フットハット バックナンバー

この記事が気に入ったらSNSでシェアしよう!

関連記事

まだ知らない京都に出会う、
特別な旅行体験をラインナップ

MKタクシーでは様々な京都旅コンテンツを
ご用意しています。