フットハットがゆく【246】「荒磯」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2014年5月1日号の掲載記事です。
荒磯
ちょうどこのエッセイを書いている頃に、誕生日を迎えまして45歳になりました。
44歳までは、アラウンド・フォーティーということでアラフォーという世代に入っていたのですが、45歳になると四捨五入すると50歳ということで、アラウンド・フィフティーに入ってしまいます。
これをアラフィフとかアラフィーとかいう言い方もありますが、発音しにくいということで、アライソと呼ばれたりします。
アラウンド・五十路(いそじ)ということでアライソです。
ちなみに60歳前後はアラウンド・還暦ということでアラカンと呼ばれるそうですよ。
とにもかくにもアライソになりましたので、アライソはアライソらしくアライソ的な生き方をしなければと思います。
時に僕は、職場がストリートダンス スタジオでのテレビ制作なので、ダンスを習うキッズたちが身近に何百人もおります。
ほとんど10代前後なので、アラテンとでもいっておきましょうか。
…そのアラテンの女の子がこの前、「どっこいしょーいち」といったので思わず、「いや、よっこい、やろ!」と言ってしまいました。
その昔、戦争が終わったことを知らずジャングルに30年近くも潜んでいた、横井庄一さん。
日本に帰還した時はたいそう話題になり、「よっこいしょ」というかけ声に掛けたギャグ、「よっこいしょーいち」が生まれました。
1970年代の話ですね。もうすっかり死語になったと思っていましたが、アラテンの子が少し間違って「どっこいしょーいち」と…。
そもそも横井さんは、生まれた時は山田姓で、両親の離婚により母方の大鹿という名字になり、その後再婚で横井ということになったそうなので、そのような因果がなければ、「よっこいしょーいち」なんてギャグも生まれなかったでしょう。
なんてうんちくをアラテンの子に話してもきょとんとしているというか、無視して他の話をし出すので、くやしいからエッセイに書きました。
恥ずかしながら書いてしまいました…。
最近は、番組制作で台本やナレーション原稿を書くときに、知らずのうちに死語を使っていないか気になります。
先日は「アベック」という言葉が20代の子に通用しなくてショックでした。
それは「カップル」のことだ、と言うと、それも今の人はあまり使わないそうです。
20年ほど前だと、業界風に「アベック」のことを「ツクアベ」、カップルのことを「プルカツ」、彼氏のことは「レーカー」、彼女のことは「ジョーカノ」なんて言ったりしましたが、今の子は全部知らんそうです。
ちなみに僕らは、のりピー世代なので、うれピー、とか、いただきマンモス、とかいう言葉が昔はあったのだという話も、当然通じません。
45歳。若い人とのジェネレーションギャップを感じるのは、荒磯に立って海の遠くを見るがごとし…。
でも自分が作った映像を若い人に、「かっこいい」とか言ってもらえた日には、マンモスうれピーのですが…。
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