下鴨神社の「御手洗祭」は京都の夏の風物詩!無病息災を願う涼やかな足つけ神事

下鴨神社で土用の丑の日前後に行われる御手洗(みたらし)祭は、別名「足付け神事(あしつけしんじ)」とも呼ばれます。御手洗祭の起源は、平安時代の貴族たちが罪や穢れを祓い清めるために行った禊祓(みそぎはらい)に遡ると言われます。
今日では、冷たい御手洗川に膝まで浸かり、心身を清めることで無病息災を祈願する暑い夏にぴったりの神事として、多くの人々に親しまれています。
御手洗祭の最大の魅力は、何と言ってもそのエンターテイメント性です。冷たい水に足を浸けてロウソクを灯すという非日常体験ができます。
夏の暑さを忘れさせてくれる冷たい水に足を踏み入れ、心身ともにリフレッシュできるこの神事は、まさに京都の夏を代表する風物詩と言えるでしょう。
御手洗祭(足つけ神事)とは
罪穢れを祓い無病息災を祝う神事
下鴨神社で行われる御手洗祭は別名「足つけ神事」とも言われます。
下鴨神社の摂社である井上社のご祭神は瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)です。瀬織津姫命は神社で心身の罪穢れを祓い清める祝詞である「大祓詞(おおはらえのことば)」にも登場する祓いの神様であり、水の神様です。

御手洗池に足を浸けて罪穢れを払う 2023年7月21日 撮影:MKタクシー
その井上社のすぐ下にある井戸から湧き出た水が「御手洗池」となり、「御手洗川」を通じて鴨川へと注いでいます。
井上社という社名も井戸の上にあることが由来です。別名「御手洗社」とも言われます。
土用の丑の日前後に、御手洗池と御手洗川に足をつけて罪穢れを流し、無病息災を祈るのが御手洗祭です。

御手洗川に足を浸けて罪穢れを払う 2023年7月21日 撮影:MKタクシー
御手洗祭の行われる御手洗池では、3月3日のひな祭りには「流し雛」が行われます。人形に厄を移して流すことで、子供の無病息災を祈る行事です。
葵祭で5月4日に斎王代が禊を行う「斎王代禊の儀」も、御手洗祭で行われます。
下鴨神社で御手洗池が使われる御手洗祭、流し雛、斎王代禊の儀はいずれも罪穢れを払う行事であることが共通しています。

同じ御手洗池でひな祭りに行われる「流し雛」 2024年3月3日 撮影:MKタクシー
土用の丑の日と御手洗祭の開催日程
土用の丑の日は毎年7月18日~8月7日の間で変動します。2025年は7月19日(金)から7月28日(日)です。
そのため下鴨神社の御手洗祭の日程も毎年変動しますが、近年は金曜日から7月最終日曜日までの10日間で固定されています。2021年のみ東京オリンピックの関係で海の日が移動したため異なる日程でした。
なお2025年の土用の丑の日は7月19日の「一の丑」と7月31日の「ニの丑」の2回あります。
2025年は7月20日(日)に行われる伏見稲荷大社の「本宮祭」も土用に行われる行事です。
本宮祭は夏の土用入り後最初の日曜日に行われます。

御手洗祭で賑わう御手洗池 2023年7月23日 撮影:MKタクシー
御手洗祭の足つけ神事の流れ
露店が並びお祭の活気に満ちた境内

下鴨神社の南口鳥居 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
夏の暑い時期はそれほど参拝者も多くはなく静かな下鴨神社ですが、御手洗祭の期間中は多くの参拝者で賑わい、下鴨神社全体がお祭り特有の活気に満ち溢れます。
境内には、祭りの雰囲気を盛り上げる様々な露店が立ち並び、訪れる人々を楽しませます。

長蛇の列ができる加茂みたらし茶屋の出店 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
特に人気を集めているのが、下鴨神社と深い縁を持つ「加茂みたらし茶屋」です。
名物のみたらし団子を求める人々で常に長蛇の列ができています。
後述するとおり、下鴨神社の御手洗祭とみたらし団子には深いゆかりがあります。
京都を代表する和菓子店「出町ふたば」も出店していますが、開店は午後からとなるのでご注意ください。
靴を脱いで御手洗祭の受付へ

涼しげな御手洗祭の受付 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
御手洗祭は、毎年7月下旬に10日間にわたって開催されます。
期間中には、御手洗池に鎮座する井上社で例祭が執り行われます。
例祭は土用の丑の日に行われ、2025年は一の丑である7月19日に行われます。
下鴨神社 2019年7月20日 撮影:MKタクシー御手洗祭の受付は、楼門(ろうもん)をくぐってすぐ右手に位置する橋殿(はしどの)の周囲に設けられています。
橋殿はその名のとおり、御手洗川をまたぐ橋が社殿となっています。受付には涼やかな「真夏の京の風物詩 みたらしまつり」という幕がかけられています。

下鴨神社の本殿へと続く中門 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
すぐに御手洗祭に行きたいところですが、まず下鴨神社の本殿に参拝しましょう。本殿で日頃の感謝を伝えるとともに、無病息災を祈願しましょう。
本殿での参拝を済ませた後、いよいよ御手洗祭の神事へと進みます。

靴を脱いで上がる御手洗祭の受付 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
受付を済ませたら、靴を脱いで橋殿の前に設置された仮設小屋へと上がります。
この仮設小屋は、神事に参加する人々が準備をするための場所となっており、普段とは異なる雰囲気に少し戸惑うかもしれません。
受付ではろうそくの献灯料として500円(中学生以下は志納)を納めます。

御手洗祭の流れを示した説明看板 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
まず受付でロウソクを受け取り、スロープを降りて御手洗川へと入ります。
川の中でロウソクを灯し、御手洗池にお供えした後、御神水をいただくという順序で進みます。
この一連の流れを通して、心身を清め、無病息災を祈願します。

御手洗祭に備えるロウソクを受け取る 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
御手洗祭でお供えするロウソクは、串の先に小さく灯されたちょっと変わった形をしています。
このロウソクは、御手洗池にお供えする際に使用します。

結構深い御手洗池の最大水深 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
御手洗川の水深は深いところで約50cmと、大人でも膝まで浸かるほどの深さがあります。
小さなお子様にとっては少し深いかもしれませんので、ご注意ください。
冷たくて気持ちのよい御手洗川へ

御手洗川へと続く仮設スロープ 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
仮設スロープを下り、いよいよ御手洗川へと足を踏み入れます。
冷たい水が足元を流れ、身も心も清められるような感覚を覚えます。

輪蓮をくぐって御手洗川へ 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
普段は静かに流れる御手洗川も、御手洗祭の期間中は水量を増し、悠々と水を湛えています。
特に輪橋の下から川に入る瞬間は、特別な体験となるでしょう。

冷たくて気持ちのよい御手洗川 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
御手洗川の水温は、予想以上に冷たく感じられます。
これは、川の水が地下からポンプでくみ上げているからなのでしょう。
しかし、この冷たさが夏の暑さを忘れさせてくれる、最高の納涼体験となるでしょう。
川の中心部はやや深くなっているため、両岸に人が集まりやすい傾向があります。

ロウソクを持って御手洗川を進む 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
川底は石で綺麗に敷き詰められており、裸足で歩いても安全です。
事前に清掃が行き届いているため、ぬめりなどもなく、滑って転ぶ心配も少ないでしょう。
また、川の中には生き物の姿もほとんど見当たりません。
御手洗池でロウソクをお供え

ロウソクに火を灯す 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
御手洗川の奥の御手洗池(みたらしのいけ)の付近にロウソクをお供えする場所があります。
火は川の両側に用意されており、手前は混雑していることが多いですが、奥の方は比較的空いています。

火の灯されたロウソク 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
ロウソクは非常に細いため、溶けたロウが垂れてくる心配はほとんどありません。
しかし、風の影響を受けやすく、火が消えやすいので注意が必要です。
風の強い日は手で覆いながら歩く必要があるでしょう。

御手洗池でロウソクをお供えする 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
御手洗池の南側と東側には、三段に分かれたロウソク立てが設置されています。
ロウソクの寿命は短く、空いている場所も多いので、空いているスペースを見つけてお供えしましょう。
ロウソクを立てた後の串は、下の竹筒に入れるように指示されています。
これらの串は洗浄され、再利用されるとのことです。

ロウソクの火が消えてしまったので再点火 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
万が一、ロウソクの火が消えてしまっても、慌てる必要はありません。
近くのロウソクから火を移して、再度点火すれば大丈夫です。

御手洗池と井上社 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
ロウソクをお供えした後、北側の石段を上って御手洗池から上がります。
御手洗池は、土用の時期になると池の底から水が湧き出すという「鴨の七不思議」の一つとして知られています。
しかし、今は涸れてしまったため、やむなく地下水をポンプでくみ上げています。
葵紋の器で御神水をいただく

足つけ神事後の足拭きスペース 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
池から上がった後には、屋根付きの足拭きスペースが用意されています。
多くの参拝者は、事前にタオルを持参しているか、そのままサンダルを履いて帰ります。

まくり上げていたのに濡れてしまった長ズボン 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
今回は、たまたま下鴨神社の近くを通りかかって飛び込みで御手洗祭に訪れたため、タオルの用意がありませんでした。
そのため、自然乾燥で済ませましたが、長ズボンを捲り上げても、見事に濡れてしまいました。
御手洗祭に参加する際は、半ズボンで訪れることをお勧めします。

女子更衣室も完備 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
いちおう女子更衣室というスペースも設けられていますが、利用する人はほとんどいないようです。

御神水をいただける授与所 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
足つけ神事で外から罪穢れを払ったあとは、御神水をいただき、中からも罪穢れを祓いましょう。
「体の中をキレイにする」というキャッチフレーズです。

器み満たされた御神水 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
御神水は、器に入ったものをいただくこともできますし、持参した水筒に注いでもらうことも可能です。
多くの人が水筒を持参しているようです。御神水は御手洗川ではありませんのでご安心ください。

下鴨神社の神紋であるフタバアオイがあしらわれた器 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
御神水を入れる器には、下鴨神社の神紋であるフタバアオイが描かれており、その美しいデザインも楽しめます。
フタバアオイの葵紋は下鴨神社と上賀茂神社の神紋です。
かつては下鴨神社の境内にも自生していましたが、今は数が減って準絶滅危惧種に指定されています。

瓶入りの御神水も用意されている 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
美味しい御神水をいただき、心身ともに清められた気分になります。
また、瓶入りの御神水も販売されていますので、お土産にいかがでしょうか。
無病息災を祈る足形祈祷木

井上社の足形祈祷木 2023年7月23日 撮影:MKタクシー
井上社には、無病息災を祈る足形祈祷木(あしがたきとうぎ)が納められています。
自分の足の形をなぞり、健康を祈願してみてはいかがでしょうか。

水みくじ用の仮設の川 2019年7月20日 撮影:MKタクシー
御手洗池の近くでは、水みくじを引くこともできます。。水みくじのために、わざわざ川が仮設されています。
普段は御手洗社で水につけておみくじの結果を見るのですが、御手洗祭期間中はそれができないため、特別な場所が設けられているのでしょう。

賀茂御祖神社絵図 出典:京都国立博物館館蔵品データベース
水に足を付けると無病息災のご利益があるとされ、特に脚気(かっけ)にならないと言われています。
脚気はかつて国民病とも言われたほど恐れられていた病気であり、その予防にご利益があるというのは、昔の人々にとって非常に重要な意味を持っていたのでしょう。
御手洗祭の特徴は、川の中を歩くというエンターテイメント性と、無病息災という普遍的な願いが結びついている点です。
そのため、家族連れの割合も高く、子供から大人まで楽しめる神事となっています。
夜も訪れたい御手洗祭

夜はまた雰囲気が異なる御手洗祭 2023年7月28日 撮影:MKタクシー
御手洗祭は9時から20時まで開催されます。
19時を回ると境内は暗くなり、昼とはまた雰囲気が変わります。
安全のために煌々とライトはつけられていますが、夜の暗さにロウソクの火が映えます。
京都観光の一日の最後にもおすすめです。
御手洗祭は、京都の夏の風物詩として、多くの人々に親しまれている神事です。
冷たい水に足を浸し、心身を清めることで、暑い夏を元気に乗り切りましょう。
ぜひ、家族や友人と一緒に、下鴨神社の御手洗祭に足を運んでみてください。
下鴨神社の御手洗祭の情報
開催期間 | 2025年7月18日~27日 |
御灯明料 | 大人 500円 中学生以下 志納 |
開催時間 | 9:00~20:00 |
下鴨神社とみたらし団子
御手洗池に由来するみたらし団子
串に刺した団子に甘辛いしょうゆベースのタレをかけたみたらし団子は、数ある和菓子の中でも人気です。
通常はひらがなで書かれますが、漢字で書くと「御手洗団子」です。
みたらし団子の名前は、実は下鴨神社の御手洗池に由来します。
御手洗池の底から湧水とともに出る泡の形をかたどったのがみたらし団子と言われます。

加茂みたらし茶屋のみたらし団子 2016年7月24日 撮影:MKタクシー
ぜひ食べたい!「加茂みたらし茶屋」のみたらし団子
京都でもっとも有名なみたらし団子と言えば、下鴨神社のそばにある「加茂みたらし茶屋」のみたらし団子です。
みたらし団子の団子の数は3~5個程度と一定しませんが、加茂みたらし茶屋の団子は5個と決まっています。
しかも上から1つ目と2つ目の間に少し空白があります。
これは、離れた上の団子が人間の頭を、下の4つの団子が人間の身体をあらわしています。
下鴨神社の御手洗祭を訪れた際は、ぜひ加茂みたらし茶屋のみたらし団子を食べてみてください。
店舗以外にも、前述のとおり下鴨神社の境内にも出店が出ています。

みたらし団子を焼いているところ 2016年7月24日 撮影:MKタクシー
加茂みたらし茶屋の店舗情報
営業時間 | 8:30~18:30 |
定休日 | 水曜日(祝日の場合は営業) |
住所 | 京都市左京区下鴨松ノ木町 |
おわりに
御手洗祭を浴衣で訪れるならMKタクシーの「タクポきもの還元」がお得
夏の行事である下鴨神社の御手洗祭は、浴衣で訪れる人もたくさんいます。
涼やかな浴衣姿は御手洗祭にぴったりです。
でも、歩き疲れてしまうのは困りもの。そんな時は、MKタクシーにお気軽にお声がけください。
MKタクシーでは、浴衣姿のお客様に特別な「タクポきもの還元」サービスをご用意しています。
毎月抽選で500名様に、タクシー料金の20%分のポイントをプレゼント!
詳細はMKタクシー公式ホームページをご覧ください。お得なサービスを利用して、祇園祭をさらに楽しんでください。
MKタクシーのご予約は075-778-4141 まで
便利な配車アプリも是非ご利用ください! → MKスマホ配車
京都観光には観光貸切タクシーもおすすめです。