後七日御修法(ごしちにちみしほ)|東寺で開催される国の安泰を祈る真言宗最高の儀式

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後七日御修法(ごしちにちみしほ)|東寺で開催される国の安泰を祈る真言宗最高の儀式

毎年年始の1月8日から14日に東寺で開催される、後七日御修法(ごしちにちみしほ)をご存知でしょうか?
かつては宮中で年始に鎮護国家などを祈願していた、格式高い行事です。弘法大師以来、中断を挟みながら1200年以上にわたって連綿として続いてきましたが、明治の神仏分離によって廃止され東寺で再興されました。
今も後七日御修法の儀式自体は非公開ですが、真言宗で最高の儀式として高僧方が東寺の境内を行き来するのを見ることができます。
結願日の1月14日には、通常非公開の東寺・灌頂堂内部にも入ることができます。
2024年は4年ぶりに参列制限なしの通常どおり開催されます。

主たる取材日は中日である2019年1月11日と結願日である2019年1月14日、2022年1月14日。

 

後七日御修法とは

「後七日御修法修僧交名」天仁3(1110)年 出典:京都府立京都学・歴彩館 東寺百合文書WEB

「後七日御修法修僧交名」天仁3(1110)年 出典:京都府立京都学・歴彩館 東寺百合文書WEB

宮中で行われていた真言宗でも最高の儀式

かつては宮中の正月行事として行われていた重要な行事です。
1月1日~7日を神事、1月8~14日を仏事で営んでおり、後者を後七日とよんだことが「後七日御修法」という名称の由来です。
「御修法」もいろいろな読み方がありますが、「みしほ」と読むのが通例です。御修法とは、重要な密教の加持祈祷を意味しますが、後七日御修法の略称としても使用されます。

「真言院後七日御修法請僧交名」元和9(1623)年 出典:京都府立京都学・歴彩館 東寺百合文書WEB

「真言院後七日御修法請僧交名」元和9(1623)年 出典:京都府立京都学・歴彩館 東寺百合文書WEB

開催される東寺だけでなく、真言宗の主要宗派が一堂に会して行われる真言宗でも最高の儀式です。
鎮護国家だけでなく、五穀豊穣や国道豊穣が祈られます。

 

空海が始めた歴史ある行事

唐の宮中で行われていた行事に起源があり、弘法大師空海が日本へと持ち帰りました。
承和2年(835年)に初めて営まれたのがはじまりです。
寛正2年(1461年)から元和8年(1622年)まで162年間にわたる中断があったり、予定通りの日程で開催できず年末開催を余儀なくされたこともありましたが、連綿として続けられてきました。
1872年に神仏分離によって廃止され、1883年から東寺の灌頂院(かんじょういん)で復興されました。

 

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もともと国営の鎮護国家を祈る寺院であった東寺ですが、今では大賑わいする毎月21日の弘法市からもわかるとおり、すっかり庶民の信仰が支えるお寺という印象が強くなっています。
今でも鎮護国家・国家安泰を祈る儀式である後七日御修法は、創建当初の東寺を今に伝える行事ともいえます。

出典:京都府立京都学・歴彩館 東寺百合文書WEB

出典:京都府立京都学・歴彩館 東寺百合文書WEB

後七日御修法が行われるのは、東寺境内の南西端に位置する灌頂院です。
講堂の西側に位置する本坊から出てきた一行が南の灌頂院との間を往来するところを見ることができます。
最終日の結願日には、本坊の北側の大師堂や大日堂で法要も行われます。
拝観料が必要なエリアではないので、無料で見学することができます。

 

東寺の灌頂院について

後七日御修法が行われるのは、東寺の灌頂院です。伝法灌頂が行われる、東寺でも重要な建物です。伝法灌頂とは、真言宗の秘法を受け継ぐための重要な秘儀です。伝法灌頂を受けると、弟子を持つことが許され、一人前の僧侶として認められます。
灌頂院自体は、通常非公開ですが、まれに特別公開されることがあります。
たとえば2023年10月9日~31日には「真言宗立教開宗1200年記念 特別拝観『東寺のすべて』」で特別公開されました。
アーティストの小松美羽さんの「ネクストマンダラ – 大調和」が灌頂院内で公開されました。
灌頂院が後七日御修法と正御影供以外で公開されるのは、2007年以来16年ぶりのことでした。

1885年刊行「弘法大師一代記略」出展:国立国会図書館デジタルコレクション

1885年刊行「弘法大師一代記略」出展:国立国会図書館デジタルコレクション

東寺灌頂院は、9世紀前半には東寺に創建された建物です。
現在の灌頂院は、寛永11年(1634年)に弘法大師800年御忌にあわせて再建されたものです。
寄棟造りのシンプルな外見で、内部は石畳敷きになっています。
灌頂院の東門と北門は、鎌倉時代前期に建立されたもので、灌頂院と並んで重要文化財に指定されています。

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香川県立ミュージアムで再現されている後七日御修法の空間

高松城の天守台から見た香川県立ミュージアム(左端) 2024年1月7日 撮影:MKタクシー

高松城の天守台から見た香川県立ミュージアム(左端) 2024年1月7日 撮影:MKタクシー

香川県高松市にある香川県立ミュージアムでは、東寺の灌頂院内での後七日御修法の空間が再現された展示があります。
常設展示室3「弘法大師 空海の生涯と事績」では、香川県出身の弘法大師空海に関する常設展示が行われています。
目玉展示として、灌頂院内をイメージした空間に五大明王図、両界曼荼羅図の複製が飾られています。
実際の後七日御修法のように、うす暗い照明にろうそくをイメージしたほのかな灯りで展示されています。
たしかに後拝みで灌頂院に入った際はこのような図が帰られていました。
常設展示なので、いつでも後七日御修法を体感することができます。もちろん、見た目だけで匂いも空気も全く異なるのはやむを得ませんが。
2024年の後七日御修法が始まる前日に高松を訪れた際に、偶然この後七日御修法の展示を発見しました。

開館時間9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日毎週月曜日(月曜日が休日の場合は、原則として翌火曜日)
入館料一般    410円
高校生以下 無料
住所香川県高松市玉藻町5-5
アクセスJR「高松」より徒歩12分

公式ホームページ:香川県立ミュージアム

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東寺の後七日御修法レポート

① 中日の1月11日

九条大宮から見た東寺・五重塔 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

九条大宮から見た東寺・五重塔 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

後七日御修法の中日である2019年1月11日(金)は、久々に晴れ渡りました。
五重塔と青空の気持ちの良い景色です。

後七日御修法の日程は、寒さがピークを迎える「寒の入り」と重なっているため、後七日御修法を迎えると京都の人々は本格的な寒さに備えるといいますが、今日はポカポカ陽気です。

東寺・南大門 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

お正月飾りのなる東寺南大門 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺の正門にあたる南大門はまだ初詣仕様です。
重要文化財である南大門は、1868年に焼失したため、1895年に三十三間堂から移築されたものです。
国内でも最大の八脚門は、かつて七条通で威容を誇っていました。

東寺・本坊前 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・本坊前に集まる関係者と見学者 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

本坊前には人だかりができていますが、観光行事ではないので、一般の方の姿は少な目です。
僧衣を来た方々が大半で、早くもの厳かな雰囲気が漂います。

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

まもなく東寺本坊より出てくる一行 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

修法は7日間にわたって、1日3回行われます。1回目は10時からです
門松が飾られた本坊に赤いじゅうたんが敷かれています。
中から出てくる一行を待ちかまえています。
門外には青い衣の先払いが待機しています。

京都をはじめ関西では、1月15日までがお正月の松の内なので、後七日御修法期間中はまだ門松が飾られています。

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

10時ちょうどになると、スピーカーから雅楽が流れだしました。
本坊から、真言宗の高僧たちが次々と出てこられます。

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

灌頂院(かんじょういん)へと、300mほどの道のりを南へ歩いて行かれます。
木の靴でとても歩きにくそうですが、さすがにしっかりした足取りです。

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

出仕者は15人と定められており、真言宗の各宗派の代表者らが次々と出てこられます。後七日御修法の出仕者に選ばれることは、大変名誉なことです。毎年この15人を誰にするかの選定は難航するそうです。

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

朱傘の最後に出てこられたのが、2019年の導師である大阿闍梨(おおあじゃり)を務める長谷寺(はせでら)の田代弘興化主。
大阿闍梨は、真言宗十八本山の管長・山主の中から選ばれます。
長谷寺は、真言宗豊山派(ぶざんは)の総本山です。真言宗豊山派は、真言宗の中でも東寺や高野山、仁和寺、醍醐寺などを含む古義真言宗系ではなく新義真言宗系になります。智山派(ちざんは)の智積院(ちしゃくいん)と同系です。
2020年は仁和寺の瀬川大秀門跡、2021年は智積院の布施浄慧化主が大阿闍梨を務めました。
後七日御修法で大阿闍梨を務めた僧は、その後一年間真言宗の長者を務めます。

ここ10年の大阿闍梨は以下の通りです。

2013年 亀谷暁英 門跡(隨心院)
2014年 加藤精一 化主(長谷寺)
2015年 立部祐道 門跡(仁和寺)
2016年 仲田順和 座主(醍醐寺)
2017年 小峰一允 化主(智積院)
2018年 黒沢全紹 門跡(大覚寺)
2019年 田代弘興 化主(長谷寺)
2020年 瀬川大秀 門跡(仁和寺)
2021年 布施浄慧 化主(智積院)
2022年 尾池泰道 門跡(大覚寺)

単純に輪番制というわけではありません。真言宗のトップと務めるにふさわしい方が選ばれているのでしょう。

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

朱傘を持った随行者は、1週間の期間中ずっと付き添ってお世話を担当します。

15組の次に、何か大切そうな箱が出てきますが、中身は何なのでしょう。法具か何かでしょうか。

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・本坊 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

続いて、紫の法衣を来た定額僧(じょうがくそう)がたくさん出てこられます。
各宗派から選ばれた高僧方ですが、これだけの人数が揃うのは中日である今日1月11日だけです。

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

15本の朱傘がゆっくりゆっくりと灌頂院へと向かっていきます。
なかなか壮観です。

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

再び先頭へとまわりました。奥の門は小子房の勅使門です。
後七日御修法では、初日、中日、最終日に勅使が派遣され、勅使門が開門されます。
今日も勅使が灌頂院に参拝するために開かれるはずですが、この時間帯ではありませんでした。

現在では、勅使役は宮内庁京都事務所の所長が務めます。

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

青空に朱傘が映えます。
これだけの高僧が一同に会する姿を見ることは稀でしょう。

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺の近隣にある東寺保育園の園児たちが「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と唱えながら出迎えています。
ほほえましい光景です。

後七日御修法とサザンカ 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

後七日御修法とサザンカ 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

見頃を迎えたサザンカの下、厳かに進みます。

奥に見えているのは、本坊の小子房です。
南北朝時代には一時天皇の御座所となったこともあります。
今の建物は1934年の再建です。通常非公開ですが、たまに特別公開されます。
2021年1月16日~3月18日に公開予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大のため、中止になりました。

東寺・灌頂院東門 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・灌頂院東門 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

一行は、東門より灌頂院へと入っていきます。
灌頂院本体も東門も重要文化財に指定されています。

東寺・灌頂院東門 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・灌頂院東門 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

傘はそのままだと門をくぐれないため、いったん下に回してくぐります。
あらためて、とても大きくて立派な傘ですね。

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

続々と高僧方が灌頂院へと入ります。
誰がどこのお寺の方かはわかりませんが、袈裟も少しずつ違う点も興味深いです。

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

続いて定額僧が続々と通り過ぎています。
じゃっかん色味が異なりますが、ほぼ同じ袈裟を着用されています。
こんなにたくさん並ぶのは中日の今日だけです。

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

後七日御修法 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

「後七日御修法」と書かれているお経をお持ちです。何か特別なお経なのでしょうか。
儀式で使用される法具は、弘法大師が唐から持ち帰ったものだとされます。
1200年以上前のものが今も使われていることになります。

東寺・灌頂院 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・灌頂院 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

堂内には胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅があり、毎年交互に修法されます。2019年は西院流胎蔵界立流の修法とのことですが、詳細は謎に包まれています。
2022年は金剛界曼荼羅の勧修寺流(かじゅうじりゅう)金剛界立です。

東寺・灌頂院東門 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

東寺・灌頂院東門 2019年1月11日 撮影:MKタクシー

全員が門内へ入ると、早速門はがっちりと閉じられます。
この灌頂院の内部で、今まさに鎮護国家、五穀成就、国家豊饒が祈願されています。
どうか2019年が良い年でありますように。

 

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② 結願日の1月14日

後七日御修法結願日の朝 2022年1月14日 撮影:MKタクシー

後七日御修法結願日の朝 2022年1月14日 撮影:MKタクシー

見学した2019年も2022年も好天に恵まれました。
ただし、2022年は朝のうちは結構な雪が降りました。
後七日御修法のはじまる10時にはやんでいましたが、寒い中みんなのために祈っていただいてありがたい限りです。

後七日御修法 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

後七日御修法 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

最終日である結願日(けちがんび)の1月14日は、灌頂院での後七日御修法を終えた一行は、本坊を通り過ぎてさらにの北へと向います。

後七日御修法の御衣 2022年1月14日 撮影:MKタクシー

後七日御修法の御衣 2022年1月14日 撮影:MKタクシー

後七日御修法では、天皇の代わりに天皇の衣である御衣(ぎょい/おんぞ)が登場します。
この唐櫃の中に天皇の形代である御衣が納められています。
灌頂院内で勅使への御衣奉還の儀式を終えたところです。

御影堂 2022年1月14日 撮影:MKタクシー

御影堂 2022年1月14日 撮影:MKタクシー

一行は御影堂(みえいどう)に到着すると、儀式が始まります。
2022年の大阿闍梨を務める大覚寺派大本山大覚寺の尾池泰道門跡が堂内に上がり、儀式を行います。
中は薄暗くてよく分かりませんでしたが、堂内で御衣を奉安していました。
ほんの3分ほどの短時間の儀式ですが、これをもって後七日御修法は無事終了です。
御衣はこのあと弘法大師への報告法要が行われ、京都御所へと戻されます。

大日堂 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

2019年の結願日は、ちょうど御影堂が修復工事中だったため、代わりに御影堂の北側にある大日堂が使われました。
修復工事が終わり、2021年に5年ぶりに御影堂に戻りました。

食堂前 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

食堂前 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

大日堂で数分間の儀式が終わると、来た道を戻ります。
一行は本坊へと戻ります。

灌頂院 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

七日間の後七日御修法はこれで終了です。
しかし、結願日の後七日御修法は、ここからが本番です。

小子房前 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

小子房前 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

開かずの門である小子房の勅使門が開け放たれています。
後七日御修法の参拝を終えた勅使が帰られようとしています。

小子房前 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

小子房前 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

もともと宮中で行われていた後七日御修法では、天皇より勅使が派遣されています。
結願日である最終日には、勅使も灌頂院で焼香を行います。
今は実際に来られるのは、宮内庁京都事務所の所長です。
見守る人は多くはありませんが、宮内庁京都事務所長にとっても一年に一度のちょっとした晴れ姿でしょう。

灌頂院東門 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院東門 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院東門が閉ざされてから約40分後、東門が開きます。
灌頂院東門が一般に公開されるのは、後七日御修法結願日の1月14日と4月21日の正御影供(しょうみえいく)の2日だけです。
正御影供では5時間ほど開門されますが、後七日御修法ではわずか1時間の開門です。
この灌頂院特別公開を「後拝み(あとおがみ)」と言います。

灌頂院 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

4月21日の正御影供では灌頂院堂内には入ることができませんが、後七日御修法結願日の1月14日は、灌頂院内にまで入ることができます。
一年に一度しか入れない貴重な体験です。
開門前には灌頂院を先頭に大行列ができています。

灌頂院東門 2022年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院東門 2022年1月14日 撮影:MKタクシー

なお、2022年は新型コロナウイルス感染防止対策のため、灌頂院内へと入る「後拝み」はありませんでした。
灌頂院東門は開かれますが、内部には入れません。

灌頂院 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院内は撮影禁止です。
法要を終えたばかりの堂内は、まだ香が充満しています。ろうそくのみの照明で薄暗い堂内を時計回りに一周します。
堂内には西側に金剛界と東側に胎蔵界の曼荼羅が架けられており、五大明王や十二天などの図像が並びます。
それぞれの曼荼羅や図像の前には壇が設けられており、法具もずらりと並んでいます。
それらの法具を使って、先ほどまで高僧たちが修法を行っていたのです。今まさに法要に使われたばかりという生々しさを感じます。
国家安泰を祈る法要が終わったばかりの空間ということが五感で伝わってきます。
真言宗の高僧がこぞって行う修法の荘厳さを感じられる貴重な機会です。
堂内は土足禁止です。足元はかなり冷たいので、簡易なスリッパを持参していれば安心です。

灌頂院 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院の神具壇 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院の外には、神具壇(じんぐだん)があります。
見た目や名前より、神式の祈祷が行われた跡なのでしょう。神仏混淆(しんぶつこんこう)を今に残しています。

閼伽井 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

閼伽井 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院の北側にある小さなお堂は閼伽井(あかい)です。
閼伽井で汲んだ水で灌頂を行います。
後七日御修法と並んで灌頂院が公開される4月21日の正御影供では、ここに絵馬が掲げられます。

灌頂院東門 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院東門 2019年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院東門が開くのは、後七日御修法最終日のわずか1時間ほどです。
東門は再び閉ざされます。

灌頂院東門前で守護札授与 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院東門前で守護札授与 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

後七日御修法の結願日には、限定の護符である守護札が授けられます。
この守護札は、天皇陛下の念持仏である二間(ふたま)観世音菩薩を主尊として祈祷されたものとのことです。
何しろ日本中から集まった高僧たちの祈願がこもっており、非常に人気が高い守護札です。

灌頂院東門前で守護札授与 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

灌頂院東門前で守護札授与 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

志納金1,000円が必要ですが、1人で10枚以上希望する人も少なくありません。領収書を求める人もいます。
絶大なご利益があるのでしょう。
とはいえ、後七日御修法はあくまで国家の安泰、五穀豊穣、世界平和を祈る儀式です。
守護札にも「鎮護国家」と書かれています。
決して個人の願いをかなえてくれる守護札ではありませんが、国が平和で安泰であることがまず一番大事ですよね。

後七日御修法の守護札 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

後七日御修法の守護札 2021年1月14日 撮影:MKタクシー

2022年は後拝みがありませんでしたが、やはり灌頂院前には大行列ができていました。
後拝みというよりも、この守護札の人気のようです。

 

東寺といえば、「ユネスコ 世界の記憶」にも登録された東寺百合文書(ひゃくごうもんじょ)で知られます。
中世を中心とした約千年間の25,000通にも及ぶ古文書群です。
興味がある方は、ぜひ京都府立京都学・歴彩館のサイトをご覧ください。

京都府立京都学・歴彩館:東寺百合文書WEB

 

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