1984年に京都で開催された博覧会「国際伝統工芸博覧会・京都」レポート

観光
1984年に京都で開催された博覧会「国際伝統工芸博覧会・京都」レポート

いよいよ2025年4月13日から大阪・関西万博が始まります。
京都で万博(万国博覧会)が開催されたことはありませんが、これまでも様々な博覧会が行われてきました。
1871年に西本願寺で開催された「京都博覧会」は日本初の博覧会です。
直近では、41年前の1984年に「国際伝統工芸博覧会・京都」が開催されました。
MKタクシーの広報紙であるMK新聞に当時のレポート記事が掲載されていたので、再構成して掲載します。

国際伝統工芸博覧会は、1984年10月6日~12月9日の65日間、現在のイオンモール京都Sakura館の位置で開催されました。
総入場者数は130万人でした。

MK新聞1984年10月16日号

国際伝統工芸博覧会オープン 映像館に長蛇の列」

MK新聞1984年10月16日号

MK新聞1984年10月16日号

秋空の下で、山本寛斎デザインのコスチュームに身を包んだコンパニオンたちの表情が爽やかに輝いた。
HAND84KYOTO。京都駅南口に国内外の伝統工芸品を一堂に集めて披露する国際伝統工芸博・京都が、京都で60年ぶりの博覧会として10月6日オーブンした。
同博覧会は、「伝産法」制定10年記念事業の中核として企画されたもの。全国の伝統工芸、外国の伝統工芸などを展示と実演で紹介したり、即売もする。
決定から開催まで三力月余りと、超短期間だっただけに、PR不足も心配されたが、伝統エ芸がこのように一堂に集まったことは今までになく、ふたを開けてみると初日から予想を上回る人出で、秋の京都観光の目玉となりそうだ。

各パピリオンも趣向を凝らした演出で、特にテーマ館となっている「エ人のまち・京都館」では120年前に焼失し、今回実物大で再現された大船鉾が人気を呼んでいる。
また「サントリードーム」(映像館)には初日から長蛇の列が出来るほどの人気。
4基のレーザー光線、21基のプロジェクターが奏でる光と音と映像のシンフォニーは圧巻。
このほか、ヨーロッパの手工芸品や、ファインセラミックなど最先端技術を駆使した日本の新しい工芸品を同時に展示している「国際ネオトラ館」や、近畿の伝統工芸の展示、実演をする「近畿エ人のまち」。
また、近畿を除く日本全国の伝統工芸蠢示する「日本工人のまち」。世界各国の民・エ芸品を展示、即売、民族衣装をまとった青い目の売り子さんが国際色を高めてくれるワールドバザールなど、どこもにぎわいを見せている。

 

コンサート・バラエティ・シンポ…曜日別に色分け

会湯中央の<お祭り広場>では連日歌や踊り、ファッションショーなどの多彩なイベントを曜日別に性格付けて開催、桂文珍/島田紳助など有名タレントも来演しテレビ・ラジオの公開番組の収録などを予定する。

月曜日=音楽イべントを中心町衆コンサート
火曜日=「地球の上で、ひとり・ひとつ」をテーマに京都在住の内外アーティストによる一人舞台
水曜日=茶会、花の会、着物ショーなどアマチュアリズムいっぱいの町衆フリータイム
木曜日=「トーク&パフォーマンス」をテーマに文化学識経験者をリーダーにシンポジウムなどを行う
金曜日=音楽、踊り、ショーなど町衆ショーバラエティ
土日祝日=町衆スペシャルと題してヤングから家族連れまで楽しめる大型イベントを展開。

このほか会期中には洛中洛外で行われる年中行事(10月9日/御香宮祭、同22日時代祭、鞍馬火祭、11月8日/稲荷ふいご祭、12月1日/北野献茶祭ほか)を、会湯内に呼び入れる企画もある。
国際伝統工芸博覧会・京都は、伝統工芸にどかつきまとっていた暗いイメージを払拭し、明るく、楽しく、ダイナミックな伝統工芸像に触れる良い機会、と言えそうだ。

 

MK新聞1984年11月1日号

MK新聞1984年11月1日号

MK新聞1984年11月1日号

 

伝統工芸博パビリオンガイド「予想を上回った!」

話題の伝統工芸博、読者の皆さんはもろ行ってきましたか。MK新聞の女子大生記者に、見どころ、面白さをガイドしてもらいました。

四つの大きなパビリオン。日本工人の町、近畿工人の町などの通り。曜日替わりでイベントが組まれたお祭り広場。
多種多様な企画が盛られた会場は、外から見て想像する以上に広い。
先ず、工芸博を盛り上げる四つのパビリオンがら紹介しよう。

 

サントリードーム映像館

パビリオンの一番人気がこのドームではなかろうか。多くの人がいつも列をなして並んでいる。
中に入るとやがて真っ暗になり、たちまち四方からレーザー光線が飛び回って空中にロスオリンピックの閉会式を思い出させるような幾何学光線の乱舞。
マルチスクリーンに投影された映像は約10分間にわたり伝統工芸の匠たちの技の冴えを映し出す。

 

京都館では祇園祭の装飾品の修復が進む。伝統工芸士の手の技に、観客も魅せられたよう

 

工人のまち・京都館

博覧会のテーマ館。祇園祭りといえば山鉾、その祇園祭りの「もう一つの船鉾」が今回の博覧会のモニュメントとして再現されたのです。
といぅのもこの船鉾、もともと二つあったのが江戸時代末期に一方が焼失。だから実に120年ぶりの再現となるわけ。
祭り慣れているとはいえ、あまりの巨大さ、華やかさに思わず見入ってしまう。
船鉾の周囲には、多種多様の京の伝統工芸品の展示や実演も行われている。
こどもさんにとっては初めて見るものも多く、お母さんが「あれは昔のクシなのよ」とか、「あれはキセルといってね…」とひとつひとつ説明している親子の暖かい光景も見られる。

京都館に展示された、伝統工芸品。現代っこには初めて見るものも多い

京都館に展示された、伝統工芸品。現代っこには初めて見るものも多い

 

国際ネオトラ館

工芸博のもう一つの顔が「国際ネオトラ館」といっても過言ではない。普段は到底見られないブランド品が各国からズラリと勢揃い。
館内一周するだけで外国を巡ったかのようなリッチな気分になれる。
一般公開は初めてという、展示品の極めつけは、二千年前、ペルーのパラカス半島で栄えたナスカ文化産の帝王紫魚網やボストン美術館所蔵の中世能衣装。
めったに見られぬ品々に目をみはるばかり。

じゅらくゾーンの、世界の民族衣装展示

じゅらくゾーンの、世界の民族衣装展示

色のコク・重みを特長とするイランのカーペットや、かの有名なペルシャの更紗などを見ていると、あのペルシャの市場で更紗をまとって往来する人々の姿が脳裏に浮かぶ。
インドネシアの民族衣装は地味だが深みのある柄に「わび・さび」を連想して、親しみさえ感じてしまう。
ファッションに関心があるだけに、特に興味を感じたコーナーだった。

京セラゾーンでチビッコの人気を集めるロボット「夢丸」君

京セラゾーンでチビッコの人気を集めるロボット「夢丸」君

日本のきものもニュースタイルのものが展示され
ておりきものもここまできたか、と見直してしまった。
ネオトラ館の掘り出しものの中でも、子供達の人気を集めていたのが京セラゾーンの「ゆめ丸君」というロボット。
とにかくどんな質問も聞きわけて答えるというのだからすごい。

場内に設けられたミニFMステーションは、人気いっぱい、人だかりもいっばい。会場内で受信できます。

場内に設けられたミニFMステーションは、人気いっぱい、人だかりもいっばい。会場内で受信できます。

 

こども館 ハイテク縁日

4人?のゴリラのロボット君たちがディキシーランドジャズの生演奏。ゴリラの動きのあまりの細かさに、ロボットであることを忘れてしまう。
ジャズの演奏をバックに、ハイテクノロジーによる縁日コーナーへ。
あちこちでコンピューターが活躍して、ー昔前のアメリカンスタイルの雰囲気を漂わせる一風変わったコーナー。

ロボット君のジャズ生奏演

ロボット君のジャズ生奏演

 

おわりに

ざっとご紹介したが、あまりの催しの多さに全部説明しきれないのが残念。全部回るにはかなりの時間が必要。
その日その日で違った催しが行われているので、何回行っても新しい発見に出合えるはず。
写真では感じられぬ感激に触れてみてはどうかな!

 

博覧会関連の記事

この記事のタグ

この記事が気に入ったらSNSでシェアしよう!

関連記事

まだ知らない京都に出会う、
特別な旅行体験をラインナップ

MKタクシーでは様々な京都旅コンテンツを
ご用意しています。