タクシーの営業区域とは?エリア外の区域外営業には厳しい処分も
タクシーには、法令に基づいて定められた営業区域があるのをご存知でしょうか?
営業区域外の「区域外営業」を行うと、行政処分を受けることもある厳しい掟です。
タクシーの営業区域規制の概要と、区域外営業のルール、近畿エリアの営業区域が具体的にどのようになっているのかを解説します。
タクシーの営業区域とは
営業区域とは
タクシーの営業区域
タクシー(一般乗用旅客自動車運送事業)には、道路運送法に基づく営業区域規制があります。
この営業区域とは、単なる「縄張り」という意味ではありません。
タクシー会社は、営業区域単位で国(地方運輸局)より許認可を受けます。
営業区域の範囲は、地域の実情等から地方運輸局が指定します。
概ね、都道府県ごとに数個の営業区域が設けられています。例えば東京都の場合は5つ、大阪府の場合は7つに分かれています。
戦後しばらくまでは営業区域は、原則として市単位、郡単位で設けられていましたが、都市化の広がりや道路整備の進展、自動車の性能向上などを背景として段階的に整理統合されてきました。
必ずしも統一的なルールの下で設定されてきたわけではないので、今も営業区域の面積や人口、タクシー車両数には大きな差異があります。
2002年の道路運送法改正以前は、営業区域ではなく「事業区域」という用語が用いられていました。
今もまれに営業区域を事業区域と呼ぶこともあります。
タクシー以外の営業区域
道路運送法では、タクシー以外についても営業区域規制が定められています。
貸切バス(一般貸切旅客自動車運送事業)、デマンドバスなどの区域運行の路線バス(一般乗合旅客自動車運送事業(区域運行)においても営業区域規制があります。
デマンドバスは、運行をする任意のエリアが営業区域となります。
貸切バスは、原則として都道府県単位が営業区域となります。
区域外営業とは?
タクシーは、営業区域外の運送を禁止されています。
営業区域外の違法な運送を営業区域外営業と言い、通常は「区域外営業」と呼ばれます。
上図のように、発地が営業区域内で、着地が営業区域外の場合は区域外営業にはなりません。
同じく、発地が営業区域外で、着地が営業区域内の場合も区域外営業にはなりません。
発地と着地の両方が営業区域外の場合、違法な区域外営業となります。
例えば、大阪のタクシー会社であれば、以下のようになります。
〇 大阪→京都
〇 京都→大阪
× 京都→神戸
この区域外営業は、道路運送法の第20条でも禁止行為として明確に挙げられています。
道路運送法第20条(禁止行為)
一般旅客自動車運送事業者は、発地及び着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送をしてはならない。
一般には区域外営業と言いますが、正式な法令の用語では「営業区域外旅客運送」と言います。
タクシーだけではなく、貸切バスで区域外営業は禁止されています。
区域外営業の危険性
この区域外営業は、タクシー事業においては単なるマナー違反やルール違反にとどまりません。
会社の屋台骨を揺るがしかねない、重大な違反のひとつです。
区域外営業の違反を行った場合、以下の刑事罰、行政処分を受ける可能性があります。
刑事罰
100万円以下の罰金(道路運送法第98条)
区域外営業を行った事業者に対して、罰金刑が定められています。
ただし、現実に区域外営業で刑事罰を受ける事例はまれです。
行政処分
①臨時・偶発的なものと認められるもの 10日車(違反)、20日車(再違反)
②反復・計画的なものと認められるもの 20日車×違反件数(初違反)、40日車×違反件数(再違反)
一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について【別表第1】
区域外営業を行った事業者に対して、「自動車等の使用停止処分」が定められています。
刑事罰と異なり、行政処分は頻繁に行われています。
区域外営業が反復・計画的と判断された場合、初違反であっても20日車×違反件数の行政処分を受けます。
「日車」とは、1日1台の車両の使用停止処分です。
使用停止処分だけであれば、事業への影響は軽微なものですが、これだけにはとどまりません。
行政処分には運転免許と同じように違反点数制度が定められており、違反点数が累積すると事業停止処分や事業許可取消処分へといたります。
タクシー会社が事業許可取消処分を受けることは、倒産とほぼ同義です。
正確な違反点数の計算方法はもう少し複雑ですが、ざっくり言うと累計500日車処分を超えると事業停止処分、累計800日車処分を超えると事業許可取消処分を受けることになります。
区域外営業は、繰り返すと会社の倒産を招きかねない危険な行為なのです。
以上は全て、区域外営業による事業者に対する刑事罰・処分ですが、別に区域外営業によるタクシー業務適正化特別措置法に基づき、タクシー運転者個人への「警告」処分も定められています。
ただし、区域外営業による警告処分の事例はほとんどありません。
区域外営業とならない場合
形式的には区域外営業ではあっても、違反として扱われない場合もあります。
① 法令に定めのある場合
道路運送法第20条で、以下の場合は区域外営業にならないと定められています。
一 災害の場合その他緊急を要するとき。
二 地域の旅客輸送需要に応じた運送サービスの提供を確保することが困難な場合として国土交通省令で定める場合において、地方公共団体、一般旅客自動車運送事業者、住民その他の国土交通省令で定める関係者間において当該地域における旅客輸送を確保するため営業区域外旅客運送が必要であることについて協議が調つた場合であつて、輸送の安全又は旅客の利便の確保に支障を及ぼすおそれがないと国土交通大臣が認めるとき。
1号は大きな災害発生時、急病人搬送など人命にかかわるような場合のみが該当します。
2号は過疎地が前提であり、事例もほとんどありません。
1号の災害の程度がどの程度かは明確ではありません。
例えば、2024年の能登半島地震では、道路運送法第20号「一」に基づき、タクシーの営業区域に関する「『令和6年能登半島地震』の発生を踏まえた貸切バス及びタクシーの営業区域の整理について」(令和6年1月17日付け国自旅第293号)が発出されました。
「被災地域における災害関連業務のための輸送等」を行うためであれば、関東運輸局、北陸信越運輸局、中部運輸局、近畿運輸局管内のタクシー事業者が特例として区域外営業を行えるというものです。
この通達に基づき、京都MK、滋賀MK、名古屋MKが被災地の災害関連業務に携わりました。
② やむをえない場合
その他、客観的に考えて区域外営業がやむを得ないと判断される場合は、違法な区域外営業とは扱われません。
典型的なのは、営業区域外から乗車し、営業区域内での降車の予定が変更となり、降車も営業区域外となった場合です。
- 乗車中に目的地が変わった、予定がなくなった
- 渋滞に巻き込まれたため、急遽近隣の鉄道駅で降車した
- 忘れ物に気づいて乗車地に戻った
などのパターンがあります。
お客様が降車を希望されるのに、無理に営業区域内まで運行してから降車させることはあり得ません。
③ 飛び地などの特殊な例
後述のとおり、営業区域は市町村などの行政区画を基準として定められています。
しかし、「飛び地」が存在する市町村は全国に多数あります。
あまり杓子定規に行政区画どおり区域外営業の基準を運用すると、地域住民のタクシー利用に大きな制約がかかる場合があります。
こういった場合は、区域外営業となることが事実上黙認される場合もあります。
ただし、飛び地での区域外営業が正式に運輸行政より文書として示されることはまれです。
黙認に過ぎないので、具体的な基準などがあるわけではありません。
近畿運輸局管内では、例外的に伊丹空港敷地内に多数存在する兵庫県伊丹市、大阪府豊中市、池田市の飛び地が後述のとおり区域外営業とならないようになっています。
ただし、この区域外営業の特例は飛び地が存在するためというよりも、伊丹空港というタクシー需要が多い極めて重要なインフラが位置ためと考えるべきでしょう。
歴史的な経緯より特例的に営業区域の拡大許可を受けている事例もあります。
京都の場合、都タクシーは京都市域交通圏に加えて大阪府三島郡島本町も営業区域の許可を得ています。
隣接する京都の乙訓エリアが地盤である都タクシーは、1960年に特例の免許を取得しました。
JR京都線の山崎駅のホームが京都府と大阪府にまたがっていることは有名ですが、京都の大山崎町と大阪の島本町山崎は歴史的にも一体の街として発展してきました。
区域外営業が発生した場合
②のやむをえない理由による区域外営業の発生は、それほど珍しいことではありません。
特に電話予約やアプリ配車などの増加によって、近年は区域外からの乗車も増えており、形式的な区域外営業の件数は増加傾向にあります。
事業者は、やむをえない事情で区域外営業となってしまった場合は、該当の乗務記録や運行記録計(タコグラフ)とあわせて、発生経緯をまとめた記録を保存しておきます。
個人情報保護が厳しくなった最近はあまりありませんが、該当のお客様の連絡先を控えておいたり、一筆サインをいただくこともありました。
過去に乗客としてそのような経験をされた方もあるでしょう。
後日立入監査等で区域外営業が発覚した場合でも、やむをえなかった事情の記録がきちんと残っていれば違反とは扱われません。
近畿の営業区域
大阪府
大阪市域交通圈
大阪市、豊中市、吹田市、守口市、門真市、東大阪市、八尾市、堺市(旧南河内郡美原町を除く)、池田市・伊丹市のうち大阪国際空港の区域
大阪府の主要部。人口規模もタクシー台数・売上なども東京都特別区・武三交通圏に次ぐ日本で2番目の営業区域。
大阪市だけでなく、堺市や東大阪市なども含み、営業区域の面積も広大。
堺市のうち旧美原町である美原区は含まない。
池田市(北摂交通圏)のうち、伊丹空港の区域内も営業区域に含む。
大阪エムケイ(大阪MK)の営業区域である。
北摂交通圏
池田市、箕面市、茨木市、高槻市、摂津市、三島郡(島本町)、豊中市・伊丹市のうち大阪国際空港の区域
大阪府の北部。
一般に北摂地域とされる地域のうち、豊中市、吹田市、豊能町、能勢町を除く地域。
豊中市(大阪市域交通圏)・伊丹市(神戸市域交通圏)のうち、伊丹空港の区域内も営業区域に含む。
河北交通圏
枚方市、寝屋川市、交野市、四條畷市、大東市
大阪府の北東部。
河北と同義の北河内地域とほぼ同じ。
一般に北河内に分類される地域のうち、守口市と門真市は大阪市域交通圏である。
河南交通圈
松原市、藤井寺市、柏原市、羽曳野市
大阪府の南東部。
河南と同義の南河内の北部。しかし、一般に中河内に分類される柏原市も含む。
河南Aではない点に注意。
河南B交通圏
富田林市、河内長野市、大阪狭山市、堺市(旧南河内郡美原町に限る)、南河内郡(河南町、太子町、千早赤阪村)
大阪府の南東部。
河南と同義の南河内の南部。
堺市のうち、旧美原町である美原区も含む。
泉州交通圏
泉大津市、和泉市、高石市、岸和田市、貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市、泉北郡(忠岡町)、泉南郡(熊取町、田尻町、岬町)
大阪府の南西部。
泉州地域のうち、堺市をのぞいた区域。
関西国際空港も含む。
関空エムケイ(関空MK)の営業区域である。
豊能郡
豊能郡(豊能町、能勢町)
大阪府の最北端。
近畿運輸局管内でも、豊能郡のみ「交通圏」が付かない営業区域。
同じく近畿運輸局管内でも、唯一最低車両数が5両ではなく2両である。
京都府
京都市域交通圈
京都市(旧北桑田郡京北町を除く)、向日市、長岡京市、宇治市、八幡市、城陽市、京田辺市、木津川市、乙訓郡(大山崎町)、久世郡(久御山町)、綴喜郡(井手町、宇治田原町)、相楽郡(笠置町、精華町、南山城村、和束町)
京都府の南半分。
京都市のうち、2005年4月1日に編入した旧北桑田郡京北町である右京区京北は除く。
1997年3月に京都市と山城地域交通圏が統合されて誕生。
エムケイ(京都MK)の営業区域である。
中部交通圈
亀岡市、京都市(旧北桑田郡京北町に限る)、南丹市、船井郡(京丹波町)
京都府の中部。
京都府全体の中央部にあることが交通圏名の由来。一般に中部交通圏が属するエリアのことを「中部」と呼称することはなく、タクシー業界以外ではほとんど用いられない。
南丹地域(口丹波ともいう)と一致する。
中丹交通圈
福知山市、舞鶴市、綾部市
京都府の北部。
交通圏名にもなっている中丹地域と一致する。
もとは旧丹波国の中央部を意味していたが、現在は旧丹後国の舞鶴市も含む。
丹後交通圈
宮津市、京丹後市、与謝郡(伊根町、与謝野町)
京都府の北部。
交通圏名にもなっている丹後地域と一致する。
旧丹後国は、中丹交通圏の舞鶴市と福知山市のうち旧大江町も含む
兵庫県
神戸市域交通圏
神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、明石市、川辺郡(猪名川町)、池田市・豊中市のうち大阪国際空港の区域
兵庫県の主要部。
運賃ブロックの名称である「神戸・阪神間地区」と言われることもある※。
豊中市(大阪市域交通圏)・池田市(北摂交通圏)のうち、伊丹空港の区域内も営業区域に含む。
神戸エムケイ(神戸MK)の営業区域である。
姫路・西播磨交通圏
姫路市、赤穂市、相生市、宍粟市、たつの市、神崎郡(市川町、神河町、福崎町)、佐用郡(佐用町)、揖保郡(太子町)、赤穂郡(上郡町)
兵庫県の南西部。
中播磨と西播磨に一致する。
東播磨交通圏
加古川市、高砂市、加西市、小野市、三木市、三田市、西脇市、加東市、加古郡(稲美町、播磨町)、多可郡(多可町)
兵庫県の南部。
加古川水系の東播磨と北播磨とほぼ一致するが、三田市を含む点に注意。
三田市は旧摂津国であり武庫川水系に属するが、神戸市域交通圏ではなく東播磨交通圏である。
丹波交通圏
篠山市、丹波市
兵庫県の北東部。
丹波あるいは兵庫丹波と一致する。
但馬交通圈
豊岡市、養父市、朝来市、美方郡(香美町、新温泉町)
兵庫県の北部。
但馬と一致し、旧但馬国ともほぼ一致する。
淡路島交通圏
洲本市、南あわじ市、淡路市
淡路島及び旧淡路国と一致する。
※運賃ブロックは複数の営業区域からなるのが原則だが、神戸市域交通圏と姫路・西播磨交通圏では例外がある。
神戸市域交通圏のうち、明石市魚住町瀬戸川以西は「神戸・阪神間地区」ではなく、「姫路・東西播地区」に属する。
瀬戸川以西は明石市の西端1割ほどが含まれ、二見町の全部と魚住町の一部が含まれる。
明石市のうち二見町以外の大部分は旧明石郡で、二見町のみは1951年の編入合併以前は旧加古郡であった。瀬戸川以西のみ運賃ブロックが異なるのも、歴史的な経緯によるものと思われる。
なお、瀬戸川以西は運賃が異なるだけで、営業区域としては神戸市域交通圏に含まれている。
奈良県
奈良市域交通圏
奈良市(旧山辺郡都祁村を除<)
奈良県の主要部。
2005年4月1日に編入した旧山辺郡都祁村は除くが、同日に編入した旧添上郡月ヶ瀬村は含む。
生駒交通圈
生駒市、大和郡山市及び生駒郡(安堵町、斑鳩町、三郷町、平群町)
奈良県の北西部。
旧生駒郡のうち奈良市を除いた区域にほぼ一致。
西大和交通圏
香芝市、葛城市、北葛城郡(王寺町、河合町、上牧町、広陵町)、磯城郡(川西町、田原本町、三宅町)
奈良県の北西部。
中部交通圏の大和高田市は含まない点に注意。
旧北葛城郡の大半。
山の辺交通圈
天理市、桜井市、奈良市(旧山辺郡都祁村に限る)、山辺郡(山添村)
奈良県の中部。
旧山辺郡と旧磯城郡の東部。
中部交通圏
大和高田市、橿原市、高市郡(明日香村、高取町)
奈良県の中部。
旧高市郡と旧磯城郡の西部、旧北葛城郡の東部。
金剛交通圈
御所市、五條市
奈良県の西部。
営業区域名は金剛山に由来。
旧南葛城郡と旧宇智郡、旧吉野郡の一部。
大台交通圈
宇陀市、宇陀郡(曽爾村、御杖村)、吉野郡(吉野町、大淀町、下市町、黒滝村、天川村、野迫川村、十津川村、下北山村、上北山村、川上村、東吉野村)
奈良県の南部。
奈良県の過半をカバーする広大な営業区域。
金剛交通圏の五條市は含まない点に注意。
営業区域名は大台ケ原山に由来。
旧宇陀郡と旧吉野郡の大半。
滋賀県
大津市域交通圈
大津市
滋賀県の主要部。
滋賀エムケイ(滋賀MK)の営業区域である。
湖南交通圏
草津市、守山市、栗東市、野洲市
滋賀県の南部。
交通圏名になっている湖南市は含まない点に注意。
滋賀エムケイ(滋賀MK)の営業区域である。
中部交通圈
近江八幡市、東近江市(旧愛知郡愛東町・湖東町を除く)、蒲生郡(日野町、竜王町)
滋賀県の南東部。
滋賀県の概ね中央にあることが交通圏名の由来。
一般的には、湖東地域の南部として扱われる。
旧蒲生郡、旧神崎郡とほぼ一致。
湖東交通圏
彦根市、東近江市(旧愛知郡愛東町・湖東町に限る)、愛知郡(愛荘町)、犬上郡(甲良町 、多賀町、豊郷町)
滋賀県の東部。
旧愛知郡、旧犬上郡とほぼ一致。
湖西交通圏
高島市
滋賀県の北西部。
一般的な湖西地域及び旧高島郡と一致。
湖北交通圏
長浜市、米原市
滋賀県の北東部。
一般的な湖北地域及び旧坂田郡、旧東浅井郡、旧伊香郡、旧西浅井郡とほぼ一致。
甲賀交通圏
甲賀市、湖南市
滋賀県の南部。
湖南市は湖南交通圏ではなく、甲賀交通圏。
旧甲賀郡と一致。
和歌山県
和歌山市域交通圈
和歌山市、海南市、紀の川市、岩出市、海草郡(紀美野町)、伊都郡かつらぎ町(旧伊都郡花園村を除く)
和歌山県の主要部。
旧海草郡、旧那賀郡とほぼ一致。
旧伊都郡のうち、かつらぎ町(2005年10月1日に編入された花園村を除く)を含む点に注意。
橋本交通圈
橋本市及び伊都郡(九度山町、高野町、かつらぎ町(旧伊都郡花園村に限る))
和歌山県の北東部。
旧伊都郡のほぼ一致。
中紀交通圈
有田市、御坊市、有田郡(湯浅町、広川町、有田川町)、日高郡(由良町、日高町、美浜町、印南町、日高川町)
和歌山県の中部。
紀中地域及び旧有田郡と旧日高郡とほぼ一致するが、日高郡みなべ町は紀南交通圏で含まない点に注意。
紀南交通圏
田辺市、新宮市、日高郡(みなベ町)、西牟婁郡(白浜町、上富田町、すさみ町)、東牟婁郡(那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町)
和歌山県の南部。
紀南地域及び旧西牟婁郡、旧東牟婁郡とほぼ一致する。
和歌山県外では「南紀」と言う場合が多いが、和歌山県内では「紀南」ということが多い。
空港の特例
伊丹空港(大阪国際空港)と関西空港(関西国際空港)では、営業区域の特例があります。
伊丹空港の特例
伊丹空港は、敷地が兵庫県伊丹市(神戸市域交通圏)、大阪府豊中市(大阪市域交通圏)、大阪府池田市(北摂交通圏)にまたがっています。
しかも境界線が非常に入り組んでおり、伊丹空港内のどこがどこの市に属するかを識別することは困難です。
加えて、伊丹空港を発着するタクシーの需要は旺盛にあり、より多くのタクシーが伊丹空港の発着をできることは、空港アクセスとしてもメリットがあります。
そのため、伊丹空港の敷地内に限って、大阪市域交通圏、神戸市域交通圏、北摂交通圏の3つの交通圏が重複しています。
関西空港の特例
関西空港は、泉佐野市、田尻町、泉南市にまたがっており、いずれも泉州交通圏に属しています。
しかし、一般のタクシー需要が多くはない泉州交通圏の車両数では、関西空港を発着する旺盛なタクシー需要を満たすにはじゅうぶんでないと判断されました。
そこで、1994年の関西空港開港時より、特例としてポイント免許が認められました。
関西空港というポイントの事業免許という意味です1。
ポイント免許を受けた事業者は、関西空港を発地とした運行が可能になります。
ただし、関西空港を着地とした運行は認められません。
ポイント免許の特例対象となったのは、現在の大阪市域交通圏、河南交通圏、河南B交通圏、和歌山市域交通圏です。
- 2002年の道路運送法改正でタクシー事業は免許制から許可制へと移行したが、今でも「ポイント免許」と呼称している[↩]