山の一家*葉根舎「葉根たより」【41】|MK新聞連載記事

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山の一家*葉根舎「葉根たより」【41】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2020年5月1日号の掲載記事です。

大森梨沙子さんの執筆です。

葉根たより

春の山、あたたかい光満ち、こぶしや桜がぽっぽっと彩り、心もぽっと嬉しくなる季節。ですが、世界の状況を見ていると、この季節とのギャップに複雑な思いになります。
「玄鳥至(つばめきたる)」「虹始見(にじはじめてあらわる)」
ツバメが飛んできて、冬にはなかった虹が現れ始める頃。このような状況だからこそ、自然のめぐり、美しさがひときわ尊く感じます。

 

<積み重ねて今>

日々、刻々と変化する状況、みなさまお元気でお過ごしでしょうか。この文章が記載される頃には少しでも収束に向かっていますように。私たちは山の暮らしのため、影響はほぼないのですが、作品展示やアートイベントがあり、悩み学んだりしています。
そして、強く思い出すのは3・11のこと。風にのってどこまでも飛散する放射性物質、福井県に並ぶ原発銀座にどう子供たちを、大地を守っていけばいいのか、不安でいっぱいになりました。本や講演会、食の料理教室で学び、母同士で集まり、話したり、市に請願書を出し、議会に出たり、大森家で福島の方を受け入れ、今でも交流、小さな支援を続けていたり、精一杯動いたことが今につながっていることを感じます。
そうして暮らしの軸、食の軸が太くなったことで、あの時のようにあたふたすることはあまりありません。
ウイルスも電磁波や放射性物質と同じ極陰性のもの。身体は陰性にも陽性にも傾きすぎると病気を招くので、今は少し陽性よりの中庸を心がけることが大切。陰性の甘いものやアルコール、コーヒーなどはなるべく控え、陽性の梅干し、三年味噌のお味噌汁などを毎日頂き、素食、少食にすること。
でも、食って心からの「おいしい」「ありがとう」がとっても大切。心も身体も柔軟であること。
今一度、身体の芯からの感覚と共に食と暮らしを大切に見つめ直し、手に取るもの一つ一つを丁寧に選びとる世界になれますように。小さな自分の軸を太くし、制作と暮らしも太く太く、そう積み重ねながら、小さなできることを。

 

<あしもとの一歩>

つくし、みつば、あさつき、よもぎ、菜の花、たんぽぽ、ゆきのした、あざみ、はこべ、おいしい野草を摘める幸せ。今年はひときわたくさん咲いた庭の原種の桜の美しさ。
元気な子供たちと例年通り、昨年収穫したじゃがいもを種にして植えたり、夏野菜の種を播いたり、山から頂いた木をチェンソーで輪切りにして運んだり、お米の種を脱毛して唐箕にかけ、田植えの準備を始めたり、自然に包まれたあたたかい毎日が本当にありがたい。
暮らし方や役割は人それぞれですが、何が起きても助け合い、乗り越えていけるようなあたたかい世界を作っていく一歩を繋ぎ続けたいです。

 

<からだのーと>

四月十七日から五月四日(立夏の前日)は春の土用。自律神経が乱れやすくなり、気持ちが落ち着かなくなることがあります。胃や膵臓も弱りやすい季節なので、甘いものを控え、よもぎやふきの力を頂き、お米をよく噛み、少食に。
ただでさえ、今年は気持ちが落ち着かない時です。しっかり噛んでいただくだけでも、心の状態は変わります。家で過ごす時間が増えている方もいらっしゃると思います。毎日の食、質素でいいので身体が本当に喜ぶ感覚を味わって過ごせますように。

 

<おしらせ>

先日、二つの取材を受けました。
一つは「田舎暮らしの本」(宝島社)という月刊誌。五月に発売されるので、よかったら覗いてみて下さい。
もう一つは「名前のない新聞」(アマナクニ)隔月で発行されている新聞です。一九七二年から発行されていて、自然や暮らし、人と人とのつながりを大切にした意識で作られていて、本当に大切な情報が載っています。ご興味のある方は以下のHPをぜひ検索してみて下さい。
http://amanakuni.net

五月一日から十九日には、京都府綾部市のギャラリーカフェ日々にて個展「風 またたく」を予定していますが、開催について変更があるかもしれません。詳しくは、私のHP:https://risakoomori.comをご確認下さい。
一日も早く、世界に、一人一人の心に光があふれる日がやってきますように。穏やかな毎日とご健康を心からお祈りしています。

(2020年4月10日記)

 

■葉根舎

haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com

 

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。

 

MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」(72回連載)

 

葉根たよりのバックナンバー

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