山の一家*葉根舎「葉根たより」【36】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2019年12月1日号の掲載記事です。
大森梨沙子さんの執筆です。
葉根たより
はらはらと舞い落ちる葉が目につくようになってきました。一日の気温差は厳しいですが、日に日に色づいてゆく紅葉に、心満ちる季節です。
「金盞香(きんせんかさく)」「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」
水仙の花が咲き始め、冷たい北風が木の葉を散らす頃。寒くなりゆく日々に咲く花にははっとします。台風などで大変な思いをしている方々のもとにも美しい花が咲きますように。そして、この冬を乗り越えられますように。
<気候と獣と>
無事に稲刈りを終えましたが、収量は少なめでした。今年はそんな農家さんが多いようです。でも、感謝を込めて田のまわりの草刈りや水路掃除、田の溝切をして、また来年へ。
畑は、里芋、生姜、ヤーコン、大豆の収穫や麦播き。大根や白菜も元気に育っていますが、大豆は兎にかじられ、かなり少ない収量でした。
毎年うまくいくものいかないもの様々ですが、家族が元気でそれなりの蓄えをもって冬を迎えられたら充分ありがたいです。
<からだのーと>
この文章を書いている今日、十一月八日は立冬です。その前の二週間ほどが秋の土用。陰陽に気が乱れやすくなる土用は、体調を崩しやすくなります。我が家も久しぶりに風邪をひいてしまいました。
知り合いにも風邪をひいた方が多く感じました。きっと夏についとりすぎてしまった冷たいもの、甘いものなどの負担がこの時期にも出るのだろうな、と思います。来る冬に向けて、身体が立て直そうとしてくれているのでしょう。ありがたいことですね。
子供たちは寝込むことなく軽い症状でしたが、個展の準備で無理をしていた私が一番重く、久しぶりに寝込みました。ちょうど新月という排毒に適した日だったのもあり、仕事をしたい気持ちを抑え、一日梅醤番茶だけにしてしっかり寝ると翌日はだいぶすっきり。
欲張らずにぱっと、一日しっかりあきらめて寝る大切さを感じました。いつもはつい無理を続けて長引かせてしまうので…。子供たちは体調を崩すと、動物のように自然に食べずに寝る、または梅干を食べて寝るのでお手本になります。
これから寒くなる季節は、腎臓と膀胱の機能が低下し、足腰の弱り、ひざの痛み、耳の不調が出やすくなります。身体を冷やす生野菜、甘いもの、アルコールやコーヒーは控え、じっくり炊いた根菜類や海藻、塩小豆昆布を頂きましょう。
<山と共に>
日が暮れるのが早くなりましたね。山道を自転車で通う長男つくし、外灯がほとんどなく熊も出るので、最近は途中まで迎えに行っています。我が家はそんな山の上なので、お友達の家へ遊びに行くのもなかなか。次男すぎなが久しぶりに遊びに行くと、知らないゲームばかりだったらしく、さえない顔で帰って来ました。三男かやは、お兄ちゃんたちにからかわれて怒ると、外で思いっきり泣いて、すっきりして戻って来ます。
毎日いろんなことを感じていると思うけれど、たんたんと受け止めて暮らす姿が頼もしく感じます。
<展示の案内>
ただ今、朝来市で「めぐり草子」原画展を開催していて、山の暮らしのトークもさせていただきました。
十一月三十日~十二月八日は大阪の北浜、ギャラリー“風”にて新作展「あしもとのそら」を行い、十二月一日にギャラリーでトークをします。よろしければぜひお越しください。
ゆれる葉は海の泡 海の泡は砂のながれ ながれる砂は星のまたたき とけあう あしもとのそら そしてわたし
すべてがつながりめぐっていること、日々暮らしの中で深く感じています。尊いものが紡がれ続けていくことを祈り、描いています。
(2019年11月8日記)
■葉根舎
haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com
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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事
1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)
2017年1月1日号~2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」(72回連載)