山の一家*葉根舎「葉根たより」【27】|MK新聞連載記事

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山の一家*葉根舎「葉根たより」【27】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2019年3月1日号の掲載記事です。

大森梨沙子さんの執筆です。

葉根たより

二月初旬の立春、旧正月は気持ちよく迎えられたでしょうか。
陰陽の気が乱れやすく、冷え込む大寒、冬土用を越えて迎える立春は、まだ寒いけれど少しほっとして、自然のめぐりにそった新年に感じます。
立春後、初めの新月が旧正月。地球の裏側から引力を受ける新月の日、身体は陽性化、活性化し、この日に願った事が叶いやすくなるそうです。
わくわくと新年が始まりますね。

「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」

春風に氷が解け始め、鶯の初音が聞こえてくる頃。暖冬の今年はもう雪が解け始め、川音が大きくなり、ぽかぽかの日には鶯の唄が聞こえてくるような気がします。
猫も発情してニャーニャーとにぎやか。真っ白だった世界が、色づき始めました。

<冬はごそごそ>

この冬は雪が少なめでしたが、山の上の我が家はやはり真っ白。
雪かき、お餅つき、寒の内にお味噌仕込み、切り干し大根、キムチなど保存食作り、薪の移動、大工仕事など冬は子供たちとごそごそと過ごします。
私は家のことをしつつ、アトリエへ。神戸の介護施設に大きな桜の絵を納めました。
街の中のホテルのようなホーム。山の風を少しでも感じていただけたら、と想いを込めて。
ゆとりある冬の間に、夫のげんは様々なサイズのパネルを作ってくれています。
そこへ和紙を張って、山のめぐりを紡ぐように描いています。
絵と暮らしの小さな本も制作中です。お楽しみに!

<くるくるすやすや>

雪が大好きな子供たち。寒いけれど、よく外で遊びます。
特に三男かやは雪に埋もれるのが大好き。お兄ちゃんたちに「うめて~」と甘えています。
そんな元気な子供たちも、冬土用には風邪をひきました。
鼻と咳だけの軽いものですが、順番に。やはり侮れませんね、冬土用は。
そして、節分には育てた青大豆をかまどで炒って、豆まき。
「鬼は外」と言うと縁側へくるくると走って行くかや、「福は内」でこちらへ走って来ます。
いつまでたっても小さく無邪気な末っ子は、甘やかさないようにすることが大変です。
次男すぎなは二月で十二歳に。長男は高校受験。
三人共、いつも離れの子供部屋で眠るので、風邪をひいてそばで眠っていると、ゆっくり寝顔を見ることができて、私にとってはちょっと幸せな時間です。

<月と小豆>

節分に豆まきをし、一年の邪気を払い迎える立春。この日から太陽エネルギーが高まり、少しずつ春の気配がしてきます。
旧暦一月七日には、春の七草を摘めるところもありそうですね。
旧暦一月十五日の小正月は、小豆粥をいただく風習があったそうです。
腎臓、婦人科系を整える小豆。新月、満月にいただくようにしています。
太陽、月、草木、水や土と共にめぐる暦の流れに心地よくのりながら、立春から始まる一年、暮らしと制作をコツコツと丁寧に紡いでいきたいです。
四月十日―二十日は、東京銀座のステップスギャラリーにて小品展。四月七日―二十一日は、京都わち山野草の森にて森の展示室です。

(2019年2月10日記)

 

■葉根舎

haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com

 

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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」(72回連載)

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