山の一家*葉根舎「葉根たより」【5】|MK新聞連載記事

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山の一家*葉根舎「葉根たより」【5】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2017年5月1日号の掲載記事です。

大森梨沙子さんの執筆です。

葉根たより

ホーホケキョ…山笑う春。
山の上の春は一足遅く、四月の初めに梅が満開、十日頃にこぶしが咲き始めました。
こぶしは去年より三週間程遅く咲き始めましたが、今年もちゃんと春がやってきてくれたことが、年々ありがたく感じるようになってきました。
ふきのとう、つくし、からすのえんどう、はこべ、よもぎ…
久しぶりの友人に再開した気分になります。

そして、この子たちは冬に溜まったもの(寒い冬は脂肪などを自然に体にため込むようになっています)を、排毒するお手伝いもしてくれます。
春は排毒の季節。つらい症状が出ることもありますが。
この流れにのってきれいになりたいですね。青菜をいただくと排毒を促してくれます。
菜の花や野草のおいしい季節、本当によくできています。

四月十七日から五月四日(立夏の前日)は春土用。自律神経のトラブルが増え、イライラしたり、落ち込んだり…。
木の芽どき、よもぎやふきをいただいたり、少食にして血液を浄化させ、精神を整えたいです。

〈はじまりの春〉

春を迎え、田畑仕事が本格的に始まってきました。
まず、この冬の大雪でつぶれてしまった柵直しに苦戦しています。
しかも、田の横の空き家も雪でつぶれ、田へ流れ込んでいるのでその片付けも…。
鹿も田へ入り始めているので、癖になる前に直したいところです。
田畑をしていると、春は始まりの季節という実感が毎年強く感じられます。
「はじまる」時にこそ、まず「出す」ことに集中し、いいことが舞い込んでくるようにしていきたいですね。

〈春休みの子供たち〉

春は薪作りの季節。
夫のげんが一人山に入り、木を倒します。
五十~六十年も生きてきた木を倒すということは、とても大きなこと。
げんは木に話しかけながら、私は山に祈りながら…。
ドサッと大きな木が倒れる音は、とても怖く、山から無事に戻ってくると、とてもうれしくなります。
大きな命をいただく毎日、いつもそのことを胸に、一つ一つの行いを重ねていきたいと思います。

倒した木は、げんが玉切りにしていき、それを子供たちが下へ落とし、薪割をするところまで運びます。
大きくて割りにくい薪はげんが半分に割り、後は長男つくし(十三歳)と次男すぎな(十歳)が割っていきます。
私が割れる程度の薪は、もう子供たちが割れるので大助かりです!
三男かや(六歳)は、薪割で出たくずを片づけたり、おしゃべりをしながら楽しそうにお兄ちゃんたちが割る様子を眺めています。
薪割のほか、五右衛門風呂焚き、洗濯物、つくしやしいたけの収穫など、お手伝いをたくさんしてくれるので学校のお休みは大歓迎(笑)。
その分、私はご飯の支度とおやつ作りをはりきります。

〈家族で和歌山へ〉

ずっと行ってみたかった熊野の地。
三月下旬の和歌山はちょうど山桜が咲き始めたところでした。
まずは熊野古道。できるだけたくさん歩いてみたかったけれど、今回は大日越だけ歩いてきました。
山歩きに慣れている子供たちはピョンピョン駆けていきます。
通常の半分くらいの時間で歩いてしまい、物足りなかったけれど、またいつかのお楽しみに。
遠い山を求めずに、自分が暮らす山をまずはしっかり歩きなさい、ということなのかもしれません。
熊野本宮大社は、旧社地「大斎原」が不思議なところに感じました。
神が舞い降りた地と言われているそうですが、こんな川の中のようなところにあったこと、歩いていてとても気持ちがよかったので印象的でした。

日本最古の湯「湯峰温泉」の泉質は最高で、深く染み入りました。
那智の滝では、五年前の水害の傷跡が痛々しく、滝の大きさは素晴らしかったのですが、周りの環境とそこにあるものとの関連の深さを感じました。
時間をかけて形成されてきた山を生き返らせることはたやすいことではありませんが、日本の山々が元気になることを祈りました。

串本町では、橋杭岩の美しい色の層を間近で見ました。
岩の和歌山、瀞峡(どろきょう)を通った時も岩が美しかったです。
無量寺では芦雪の襖絵を拝観。六つの間を仕切る襖がインスタレーションのようで、自分ならどんな絵を描くか想像をしてしまいました。
白浜では南方熊楠記念館へ。
熱心に研究をされていた様子に胸を打たれ、私もそんな風にもっと夢中になって描いていきたいと感じました。

遠くてなかなか行くことができない和歌山、ついつい欲張って、詰め込みすぎてしまいましたが、一つ一つがとても深みのあるものでした。
どこに行っても、自分が暮らす自然との違いが興味深く感じます。
子供三人を連れていくことは大変だけれど、みんなで行くことができるのはきっとあと数年のこと。
できるうちにたっぷり味わっていきたいです。

(2017年4月11日記)

■葉根舎

haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com

 

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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」(72回連載)

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