フットハットがゆく【321】「トマチン!リコペン!」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【321】「トマチン!リコペン!」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2020年8月1日号の掲載記事です。

 

トマチン!リコペン!

先月は、初めての田舎暮らし自家菜園で、無知からジャガイモの葉っぱを大量に食してしまい、『ソラニンとチャコニン』という毒素にあたって病院に行った、という話を書きました。
我が庭ではプチトマトも栽培しておりまして、ちょっとしたミスから青いままのプチトマトが大量に落ちてしまい、勿体無いので食べようと思いましたが、ジャガ毒の例もあるので一応調べました。
すると、未熟の青いトマトには『トマチン』という毒素がある、とわかりました。
しかし、ソラニンやチャコニンほどトマチンの毒は強くなく、生で大量に食べなければ大丈夫、とのことだったので、茹でて少しずつ食べました。
ちなみに熟したトマトは、赤色の素であり美肌効果があると最近注目され始めた『リコペン(リコピン)』という物質を含みます。
だれがネーミングしたか知りませんが、トマチンだリコペンだチャコニンだと、本当にゆるキャラの行進みたいですね。

 

さて、ジャガイモの栽培に戻りますが、毎朝せっせと水やりをしていましたが、近所のプロの農家さんから、「水をやりすぎたら根が腐ったり、病気になりやすくなるので、ほとんどやらなくていい。」といわれました。
農業ど素人の僕は、植物なんてものは、太陽光と水と肥料は、あるだけあったほうがいいのだと思っていました。
しかし実際の植物は、水が足りなければ土の中にぐんぐん根を伸ばし、わずかな水分や栄養も吸い上げるたくましい根っこを作るそうです。
その根っこがあれば、茎も太くなり葉や実も大きく丈夫になります。
甘やかして水や肥料をやりすぎると、根が伸びず、いざ日照りが来たらすぐに枯れ、風が吹いたら根こそぎ倒れてしまう。
根が貧弱だと抵抗力も弱く、病気になりやすく虫もつきやすい。
よく人間の成長を、植物の根っこに例える人がいますが、自家菜園を通してそれを実感しました。

 

さてさて、多少甘やかして育ててしまったジャガイモですが、6月の中旬に立派に収穫できました! 素人の割に、ちゃんとしたジャガイモが採れました。
自分で育てた子を食べた時の美味しさと感動はひとしおでした!
前出のプロ農家さんいわく、しばらく空き家で畑として使われていなかった土地だから、土が良くなっていた可能性があるそうです。
何年も続けて野菜を育てると、土も疲れてきて、良い野菜が育ちにくくなるそうです。何事も過労はいけませんね。

 

ちなみにジャガイモはナス科だそうです。トマトもナス科、ナスはもちろんナス科。
同じ科のものを連作すると、嫌地といってよく育たないので、ジャガイモの後に植えるのはサツマイモが良いとアドバイスを受けました。
僕はジャガイモもサツマイモもイモ科の兄弟みたいなものだと思っていましたが、サツマイモはヒルガオ科で、そもそもイモ科という科はないのです。
ジャガイモはトマトと同じ南アメリカのアンデス山脈が原産、同じナス科の兄妹。
だからジャガイモは花が咲いた後、トマトのような実がなる、ということも初めて知りました。
もちろん、チャコニンが含まれるのでその実は食べられませんが。

 

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