フットハットがゆく【289】「拳四朗」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2017年12月1日号の掲載記事です。
拳四朗
京都府宇治市の宇治橋西詰にボクシングのジムがあり(B・M・B)、そこの会長の寺地永(てらじひさし)さんと現役時代に知り合う機会があり、東洋太平洋チャンピオンの試合をよく観に行きました。
寺地さんはその後引退されてジムの会長となりました。
僕の方は仕事が年間365連勤というような具合になり、寺地さんとも疎遠になって10年以上経ちました。
そして2017年の5月に、なんと寺地さんの息子さんが世界チャンピオンになったというニュースが飛び込んできました。
リングネームは「拳四朗(ケンシロウ)」です。父親が叶えられなかった世界チャンピオンという夢を、息子が叶えたのです。
記憶を遡るに、10年少し前、寺地さんが城陽市の市議会議員をされていた頃、ご自宅に1週間泊まり込んで、選挙のお手伝いをしたことがありました。
その時にあどけない中学生の頃の拳四朗くんがいて、一緒に犬の散歩に行ったりしました。
優しい、おとなしい子でした。その頃はまだボクシングをやっていなかったです。
あとで経歴を見ると、中学3年の頃に始めたそうです。
それから10年経って、拳四朗くんは日本王者、東洋太平洋王者へと駆け上り、京都府のボクシングジム所属の選手としては初の世界チャンピオンにまで上り詰めました。
ということで、防衛戦があれば絶対に見に行かねば、と思っていたところ、東京両国国技館での防衛戦が決まり、即チケットを取って、10月22日、観に行ってきました! WBC世界ライトフライ級タイトル防衛戦です。
台風と選挙の真っ只中ということで、京都から前日に東京入りし、当日も早めに会場に足を向けたのですが、電車が止まるなどしてなかなか辿り着かず、やっとついて着席したら、拳四朗くんの試合が始まるという、ギリギリのタイミングでした(汗)。
僕はボクシングの試合などまぁまぁ(かなり!?!?)興奮する方なので、相当、声を張り上げて応援しました。
拳四朗くんは25歳ながら、ベビーフェイスで、昔と変わらぬ優しそうな顔をしていて、あまり強そうには見えないのですが(笑)、そこは漫画、はじめの一歩ではないけれど、ボクシングをさせたら、ねばってねばって、食らいついて相手にパンチを打ち込み続けるタフな奴です。
その日の試合も、最初の4Rは、完全に相手に取られました。(WBCは4Rごとに採点が発表されます。)
しかしその後の4Rで徐々に挽回し、最後の4Rで逆転するという、応援している者としてはハラハラドキドキする、ボクシングファンとしては熱く盛り上がる、KOこそありませんでしたが、本当に素晴らしい試合でした。
初防衛おめでとうございます!
その日の両国国技館は、話題の村田諒太選手の世界奪取や、比嘉大吾選手の防衛成功など、トリプル世界戦で日本人が全員勝利というハッピーな日でして、東京まで足を運んだ甲斐がありました!
拳四朗くん始め、みなさんの次の防衛戦から目が離せないです!
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