MK新聞の社説記事「MKグループ2,000台体制へ拡大 これからは質の向上へ転換する」2009年8月1日
目次
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞の2009年8月1日号に掲載された社説記事の全文です。
「タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄」と題して論じています。
MKグループ2,000台体制へ拡大 これからは質の向上へ転換する
エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明
本当にお客様が必要としているタクシーはまだまだ供給不足
去る6月19日に成立した特定地域のタクシー事業適正化・活性化特別措置法(タクシー適正化特措法)が、とうとう本年10月1日より施行されます。この法律により、タクシーが供給過剰とみなされる地域は「特定地域」に指定され、新規参入、増車が出来なくなります。この法律の目的は、「タクシーが供給過剰となり1台あたりの売上が減少しているので、タクシーがこれ以上増えるのを食い止めて、需要と供給の適正なバランスを図ろうとすることにある」されています。
しかし、この「供給過剰」という認識は、あくまでもタクシー事業者や運輸行政の目から見たものに過ぎず、お客様から見れば本当に安心して乗りたいと考えるタクシーは全国的にまだまだ不足しているのではないか、と私たちは感じます。
例えば札幌は供給過剰と言われていますが、札幌MKではお客様の注文のお電話が鳴り止やみません。週末の夜にはススキノのMK専用のりばから約400組のお客様のご利用があり、長時間お待ちいただくなどご迷惑をお掛けしている状態です。
また、各都市での予約率(全乗車回数における無線配車、専用のりばの割合)ですが、約800台を抱える京都MKでは50%以上、その他各都市では60~90%にも達しています。
このように、お客様から選ばれるタクシー会社を目指そうとすれば、需要はまだまだ掘り起こす余地があると思わざるを得ないのです。
タクシー特措法で再規制 MKは粛々と増車を進める
そのためMKグループでは東京MKを除き、10月までに一定の増車を行うため各運輸支局に順次増車届出を提出しております。京都MK50台、大阪MK58台、神戸MK50台、名古屋MK40台、滋賀MK43台、福岡MK35台、札幌MK65台の増車を予定しており、増車実施後は2057台になります。
拡大だけでは質は劣化する MK自身とのたたかいが始まる
MKグループは一定の拡大をこの10月までに行いますが、急激な事業規模の拡大は往々にして質の劣化を招くことがあり、ことMKタクシーにとっては致命傷になりかねないことを肝に銘じなければなりません。私たちは、タクシー適正化特措法は既存事業者を保護するだけの再規制であるとして、これに反対の意思表明を行い、54万人様の再規制反対の声を集め国土交通大臣にお届けしましたが、残念ながら、これは国会で成立していまい、事業の拡大路線を継続してゆくことは事実上困難となりました。
そこで、私たちはこの特措法制定を「質の向上」のために与えられた試練と捉え、MKグループ全社をあげて質の向上に取り組みます。
質の向上とは2つあります。1つはお客様に直接サービスを提供するドライバーや電話受注を行うコールセンターの接客内容に対する満足度の向上であり、もう1つは前者の教育体制も含めて運行管理体制の強化や磐石な経営体制を作り上げることなど管理者能力と企業体力の向上です。
規制緩和後に運輸行政は事前審査型から事後チェック型へ方針転換し、監査が行われるようになりました。最近では東京の大手事業者が処分点数の累積により事業許可取消処分がなされるといわれています。MKグループでは規制緩和後増車や拡大申請を行いましたので、通常の事業者より多くの運輸当局の監査が入りました。2002年より8年間で34回もの監査があり、処分を受けたのは3回、その他31回では警告処分(6回)、指摘事項無し(25回)という結果でした。
今後は、これまで拡大してきた事業の、更なる質の向上に向けて、これまで培ってきた顧客サービス、教育、管理体制全ての見直しが経営課題となります。これらは私たち自身に向けられたもので、辛く厳しいたたかいになるはずですが、私たちはこれらの課題に真っ向から取り組んでまいります。
まずは京都MKから改善活動 車内でアンケートハガキを実施
MKではお客様の安心・安全を守るために、後部座席のシートベルト着用にお願いに力を入れております。急な飛び出しがあった場合、たとえ時速10kmで走行していたとしても急ブレーキを踏めば人の身体は跳ね上がります。まずは、後部座席のシートベルト着用のお願いを徹底し、シートベルトをしていなかったことでお客様がお怪我をされるという事態を根絶していくことから始めます。
それに伴いまして、サービスの向上のために8月より京都MKを皮切りにご乗車時の満足度をお伺いするアンケートハガキに取り組んでいきます。お客様におかれましては、後部座席シートベルト着用にご理解賜りますと共に、アンケートハガキにご協力お願い致します。