龍谷ミュージアム「水木しげる 魂の漫画展」タクシー会社向け特別観賞会レポート
目次
龍谷ミュージアムでは、MKタクシーをはじめとするタクシー会社対象に特別展の特別鑑賞会を開催することがあります。
2018年に開催された秋季特別展「水木しげる 魂の漫画展」のタクシー会社を対象とした特別観賞会のレポートです。
学芸員による見どころ解説の様子を紹介します。
子供にも大人気のため週末などは家族連れでかなり賑わっているそうですが、ゆっくりと観賞することができました。
龍谷ミュージアムについて
龍谷大学が親鸞聖人750回忌にあたる2011年にオープンした、日本初の仏教総合博物館です。
仏教に関する各種展示のほか、大谷光瑞による大谷探検隊のコレクションや、トルファンのベゼクリク石窟寺院回廊の原寸大再現などが展示されています。
休館日 月曜日(祝日の場合は翌日)
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30)
入館料 500円(特別展・企画展は別途設定)
交通 「京都駅」から12分
タクシー会社向けの特別観賞会レポート
秋季特別展「水木しげる 魂の漫画展」 の概要
ゲゲゲの鬼太郎で知られる水木しげるの特別展は、全国4ヶ所を巡回します。
2017年2月19日~4月2日 鳥取展 鳥取県立博物館
2017年7月14日~9月3日 岡山展 岡山シティミュージアム
2018年9月22日~11月25日 京都店 京都展 龍谷ミュージアム
2019年6月8日~7月7日 横浜展 そごう美術館
公式ホームページ:特別展・企画展|展示案内|龍谷大学 龍谷ミュージアム
タクシー会社向けの特別鑑賞会とは
龍谷ミュージアムでは、広報活動の一環としてタクシードライバーを対象に特別観賞会を実施しています。
今回は、MKタクシーとヤサカタクシーより、あわせて約30人が参加しました。
シアター観賞と、学芸員による展示解説、自由観賞の計1.5時間の内容です。
2018年11月6日開催
18:00~18:13 シアター観賞「水木しげる氏を語る」について
18:15~18:40 展示解説
18:40~19:30 自由観賞
シアター観賞
担当編集者や、アシスタントだった池上遼一氏らが、水木しげるについて語る内容です。
展覧会でも30分おきに見られますので、内容は省略します。
学芸員による見どころ解説
京都国立博物館の特別鑑賞会では、展示そのものは自由観覧でしたが、龍谷ミュージアムでは学芸員が展示解説をしていただきました。
以下、特別展の展示を見たらわかる内容は全て省略しています。
展示解説ならではの、プラスαの内容のみ記載します。
「水木しげる 魂の漫画展」の展示構成について
鳥取、岡山についで3ヶ所目の展覧会になりますが、全てが同じ展示構成というわけではありません。
龍谷ミュージアムでは、マンガに限らず93年の生涯を通じた画業に焦点をあてた展示構成としました。
第1章 武良茂アートギャラリー~少年天才画家あらわる!~
中学生からの画家としての画業を取り上げることで、より多面的に水木しげるを理解できます。
3階の展示は、少年時代から晩年までを時代ごとに展示しています。
最も若いころの展示作品は14歳のときのものです。すでにこのころから老成した風景画を書いています。
デッサン画なども多く残っており、画家志望の少年でした。日本人離れした線や色遣いで、高い完成度を誇っています。
ゲゲゲの鬼太郎からは想像もできないような、虫を擬人化した絵などもかいています。
若いころに様々な種類の絵に取り組んだことが、のちに漫画家として大いに役立つことになります。
貧窮時代には、紙芝居や貸本など、お金になる絵は何でも書きました。意外なことに、目がキラキラした少女漫画風の絵も描いています。
第2章 水木しげる漫画研究 ~片腕で生み出す独自の画法~
ここに展示されている絵の具箱に見覚えがあるかもしれません。朝ドラ「ゲゲゲのみ女房」のオープニング映像でも使われた、本物です。
展示前に瓶を取り出してみたところ、「ヨーグルト」と書いてありました。いらないものを再利用して使っていたことがわかりました。
水木しげるは、「線は任せても色塗りは自分でやる」というほど色遣いには自信を持っていました。
水木しげるといえば、ものすごい描き込みで有名ですが、昔は雑誌の紙もインクも質が悪く、印刷されるとつぶれてしまいました。
当時のつぶれた印刷の雑誌を知るファンが、展示の本物の原稿を見て、「こんなに細かい絵だったのか」とびっくりしていました。
第3章 水木しげる人気三大漫画 ~鬼太郎/悪魔くん/河童の三平~
最近のこどもは、ゲゲゲの鬼太郎を知らない子も多いですが、妖怪には妖怪ウォッチで親しんでおり、興味深く見ています。
鬼太郎は、はじめ墓場鬼太郎というオカルト漫画でしたが、編集方針により、悪いやつらをやっつける物語に変わりました。
展示されている原画は全て、ものすごい描き込みで、ゆっくり見ていたら時間はいくらでも必要です。
第4章 総員玉砕せよ! ~壮絶な戦争体験記~
二階では、水木しげるの作品をテーマごとに区切って紹介しています。
展示している原稿は、水木しげるの戦争体験をもとにした「総員玉砕せよ!」の一部だけですが、いかに凄惨な戦争体験だったかがわかります。
ラストページは敢えて展示していませんが、主人公が死んで風化していく、という衝撃的なものです。
展示にあたって特に扱いに気を付けるよういわれた絵が、1945年に最前線のラバウルで描いたという3枚です。
片手を失い、極限状態にあってもこのような絵を描けるのが水木しげるです。それにしても、よく日本へと持って帰れたものです。
第7章 妖怪世界へようこそ
境港の水木ロードのブロンズ像と同じ型から取ったブロンズ像を展示しています。
妖怪ウォッチに出てくるキャラクターとそっくりの妖怪がいくつもあり、「パクリや」と言う子供もいます。
それは逆で、妖怪ウォッチの方がパクリだ!と言いたいところですが、どちらも元ネタは江戸時代の資料だったりします。
パクリでもパクラレでもないというのが正確です。
第6章 短編に宿る時代へのまなざし
媒体によってどのように描きわけたのかが、展示の原稿を見ているとよくわかります。
第8章 人生の達人 水木しげる
この龍谷ミュージアムの特別展で注目作品とされているのが、「虫の絵本」です
水木しげるの死後、遺品整理中に発見されたもので、一連の展覧会が初公開です。
虫が主人公になった絵本のようなもので、少年時代に描いた虫を擬人化した作品を彷彿とさせます。
少年時代の作品と最後の作品が似ているというのも興味深いところです。
水木サン✕宗教文化
この特別展の最後に設けた展示コーナーは、京都会場限定のものです
日本初の仏教総合博物館である龍谷ミュージアムだけあって、宗教の観点から水木すげるとその作品を見た展示です。
展示されている地獄極楽絵は、原品の許可がおりなかったので、原寸大の複製ですが、現地で見るよりはるかに見やすくなっています。
水木しげるが、自らの原点を語った「のんのんばあとオレ」に出てくる地獄極楽絵で、今では市指定文化財になっています。
最後に水木作品のルーツを展示することで、全ての展示を円環状の展示構成となるようにしました。
ミュージアムショップ
SNSでも大いに話題を呼んだ「一反メモ」など、話題の商品が数多くありますが、既に営業終了しています。
おわりに
MKタクシーは、龍谷ミュージアムや京都国立博物館などにご協力いただき、本記事のような特別鑑賞会を実施しています。
特別な講演会や観覧をさせていただき、MKタクシーもお客様への口コミや車載広報誌、SNS等で広報に協力しています。
京都で働く観光タクシードライバーは、日々京都に関する歴史・文化などの知識を磨かなければなりません。
常日頃から、自学自習はもちろんのこと、座学による勉強会や現地勉強会を行っています。ときには、龍谷ミュージアムや京都国立博物館など外部とも連携し、特別な勉強会も行っています。
是非、京都へいらっしゃる際は、日々研鑽を積んでいるMKタクシーの観光ドライバーによる観光ガイドを体験してみてください。