大人も楽しめる漢字の博物館「漢字ミュージアム」特別見学会レポート
2016年6月にオープンした京都・祇園にある「漢検 漢字博物館・図書館 (漢字ミュージアム)」。
先日、京都のMKタクシーら限定の漢字ミュージアム特別見学会が開催されたので参加してきました。
閉館後の貸切状態の漢字ミュージアムを、漢字ミュージアムのスタッフらつきっきりでユーモアたっぷりの展示案内をしてくださいました。
大人も楽しめる漢字ミュージアム、京都に来たならおすすめです!
取材日は2019年8月7日と8日
漢字ミュージアムとは
京都・祇園の八坂神社のほど近くに、2016年の6月末に開館した『漢検 漢字博物館・図書館』。通称「漢字ミュージアム」。
「漢字」「博物館」という真面目で堅苦しそうなイメージをいい意味で壊してくれる斬新な展示が多い漢字の博物館(ミュージアム)です。
日本初の「漢字」の博物館で、2019年6月22日には漢字ミュージアムへの来館者数が早くも30万人を突破しました。
大人も子供も触れて体験することで、楽しく漢字を学ぶことのできる京都の漢字博物館です。
施設情報
施設名 | 漢検 漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム) |
開館時間 | 9:30~17:00(夏休み期間は19:00まで延長の日もあり |
入場料 | 大人 :800円 大学生・高校生 :500円 中学生・小学生 :300円 未就学児・障がい者:無料 ※小学生・中学生・高校生1名以上と同伴の大人は300円引き(大人2名まで) |
休館日 | 月曜日(夏休み期間は毎日開館) |
TEL | 075-757-8686 |
住所 | 京都市東山区祇園町南側551番 |
アクセス | 市バス「祇園」より徒歩すぐ 京阪「祇園四条」より徒歩5分 阪急「河原町」より徒歩8分 |
漢字ミュージアム特別見学会
MKタクシーの漢字ミュージアム特別見学会1日目の見学者は18名です。
内訳はドライバー4名、観光タクシー受注担当者7名、採用・広報担当等5名、家族の小学生2名。
2016年の開館時にも別途ドライバー対象の漢字ミュージアム特別見学会があったこともあり、今回は現場のドライバーよりも内勤の若手職員が主体です。
本日の漢字ミュージアムの閉館は17:00ですが、閉館後の18:30から20:00まで博物館を開放いただき、特別見学会を開催していただきました。
まず、多目的室で10分程度、漢字ミュージアムの概要の説明等を受けます。
山崎信夫副館長よりご挨拶
開館して1年目から多数の来館者が来てくれましたが、2年目からは京都へ来られる修学旅行生や京都近隣の学校の課外授業としての利用が増えてきました。
漢字というと小難しいイメージがありますが、漢字ミュージアムは堅苦しく「勉強」するところではありません。
見学した人は皆「意外に楽しかった」と口を揃えます。
今日は、是非その意外さを体感して欲しいと思います。
(以上、山崎副館長ご挨拶)
中村真樹氏(日本漢字能力検定協会 執行役員)より、漢字ミュージアムの概要について
漢字ミュージアムは、小・中学生とその家族を対象に楽しく漢字を学んでいただくことを目的とした博物館です。
来館者は大人と小・中学生が半々くらいですが、年々課外学習や修学旅行で訪れる小・中学生の見学が増えています。
年末に京都・清水寺行われる「今年の漢字」の現物は全て所蔵しており、2019年の秋には全25年分を並べる企画展を開催予定です。
漢字ミュージアムでは企画展を毎年4回程度行っています。
現在は「漢字で忍者修行」という体を動かしながら漢字を学べる企画展を実施しています。
漢字の数は6万とも10万とも言われます。うち常用漢字は2,136字、漢字検定1級の対象が6,000字です。
それらのうち5万字を載せている「漢字5万字タワー」の展示が漢字ミュージアムの中央にあります。
今日配った漢字ミュージアム特製うちわには、タワーの中から漢字ミュージアムスタッフがピックアップしたユニークな漢字を載せています。漢字5万字タワーから探してみてください。
観光タクシーのドライバーの方は、いろんな京都の観光地を引き出しに持っていると思います。今回の見学会を機に、この漢字ミュージアムもその一つに入れていただけたら、と思います。
(以上、中村氏ご説明)
漢字ミュージアムを説明付きで見学
続いて20:00まで80分間の漢字ミュージアムの見学です。
自由見学方式ですが、スタッフの方につきっきりで説明してもらえるという豪華な見学会です。
漢字ミュージアムの顔「今年の漢字」
入ってすぐ正面にある「今年の漢字」。全国的にも有名な、漢検でも重要なイベントです。
マスコミの前で揮毫(きごう)する清水寺の森清範(もりせいはん)貫主(かんす)はほとんど練習なしに書きあげるというから驚きです。
実施主体の公益財団法人 日本漢字能力検定協会は漢字ミュージアムと同じ敷地内にあります。
デジタルとアナログが融合した展示
光っている漢字に手をかざすと漢字が動き出す展示です。
触れた漢字が甲骨文字に変わり、元はどのような文字だったかが見られます。
小学生も興味津々で漢字ミュージアムを楽しみます。
万葉仮名は夜露死苦だ
万葉仮名で自分の名前を書こうというコーナーでは、若手職員たちも夢中でスタンプを自分の漢字スタンプを押しています。
万葉仮名の表記には数パターンありますが、ここには2パターンのスタンプが置かれています。
「万葉仮名とは『よろしく』を『夜露死苦』と書くようなものだ」というわかりやすい漢字ミュージアムスタッフの説明に、「たしかに私の名前もヤンキーっぽい漢字になっている」と笑いながら見せ合うMKタクシーの見学者たち。
これが何と書いてあるかわかりますか?
1文字目がイかエ、4文字目がイであることはわかると思います。
これは「エムケイ」と書いてあります。
自由見学方式なので、思い思いに展示を見学。
疑問があると漢字ミュージアムのスタッフの方が丁寧に説明していただけます。
甘味処でよく見る謎の記号の意味が判明
変体仮名の説明コーナーでは、「よく甘味処で見る謎の記号は『しるこ』と書いていたんや」という声が。
今まで気づかなかっただけで、アレもコレも見たことがある文字で、変体仮名は意外と身近なところにあります。
漢字ミュージアムのスタッフより「変体仮名がわかればあなたはもう立派な○○です。これが言いたいための展示コーナーです(笑)」と。
展示案内というと小難しいと思いがちですが、ユーモアあふれるとても分かりやすい説明をしていただけます。
そもそも変体仮名って何なの?という疑問があれば漢字ミュージアムへ行ってみましょう。
おじいちゃん家に暗号を送るための郵便ポスト
漢字ミュージアムではオリジナル切手を販売しており、館内の郵便ポスト(本物)から手紙を送ることができます。
子どもたちがここから万葉仮名や変体仮名を使って書いたハガキをおじいちゃんやおばあちゃんに送るのが定番とか。
突然孫から暗号のようなハガキが送られてきたおじいちゃんはさぞかしびっくりでしょうね。
なので、同じ内容を普通の漢字とひらがなで書いたものと2通送ることが多いそうです。
スタッフ手作りの缶バッジ
今開催中の「漢字で忍者修行展」にちなんだ缶バッジのガチャガチャがあります。
値段は何と破格の100円。
全て漢字ミュージアムスタッフの手作りとのことです。
空いている時間を見つけては缶バッジを作っていらっしゃるとか。
全部で色違いの5パターンあるそうです。
漢字5万字タワー
漢字ミュージアムの中央にそびえたつ漢字5万字タワーを見ながら2階へと移動。
うちわに載っていた漢字を探そうとしましたが、複雑かつ細かすぎてもはや遠くの字は見えません。
すぐに断念。
忍者修行「漢字迷路」
2階には、見学時に開催中の企画展「漢字で忍者修行」のメイン展示である漢字迷路。
まるで学園祭のような手作り感あふれる迷路です。
ネタバレになるので詳細は行ってからのお楽しみ。
大人でもふと迷って立ち止まってしまうような問題が飛び出すハイレベルダンジョンが京都の漢字ミュージアムに降臨していました・・・。
スタッフおすすめの本を聞いてみよう
図書室には、漢字に関するいろんな本が置いてあります。
有名な三省堂国語辞典には、タイガース仕様とカープ仕様というものが存在します。
「阪神」の項目を引いてみましょう。
図書室を案内していただいたスタッフのいちおしは「罵詈雑言辞典」。
ありとあらゆる罵詈雑言が収録されているというものすごい辞典です。
値段は2,500円(税抜)と意外とお手ごろ。
内容は決しておふざけなものではなく、かつては罵詈雑言だった意外な単語や、時代背景の変化で今は全く使われなくなった単語などが丹念に収録されています。
時代劇等の時代考証には必須資料でしょう。
興味津々で読んでいたMKタクシーの若手職員らはいったい誰に対して使うつもりなのでしょうか。
漢字ゲームでバトル!
デジタルを駆使した漢字のゲームが多数あります。
なかなか難しく、むしろこどもよりも大人の方が夢中になっているのをよく見かけるとの漢字ミュージアムのスタッフの説明。
これはお題の部首とあわせて一つの漢字が出来上がるカードを取り合う4人対戦のゲーム。
MKタクシーの若手職員らがそれぞれのプライドをかけて熾烈なバトルを繰り広げていました。
漢字のはじまりである甲骨時代の展示のときは、はしゃいでいるのは子供だけでしたが、ここまで来ると大人も子供も関係ありません。
問題は漢字ミュージアムのスタッフのみなさんが力を入れて考えられたものなので、おてつきを誘うようなトラップ漢字がたくさん仕込まれています。
こちらは問題で出された漢字が辞書の何ページ目の何段目に載っているか探して回答するゲーム。
記者も挑戦してみましたが、出題される漢字の難易度が高く(「醬」って!)、時間切れになってしまいまいした。
最近では紙の辞書を引く機会がなくなってしまったので、学生時代を思い出してとても懐かしい気持ちに。
言い訳をすると醤油の醤の旧字体だということは分かっていました!
ベテランドライバーも反復横飛の修行
「漢字で忍者修行」には、表示される漢字にあわせて反復横飛をするゲームがあります。
子どもや若手だけでなく、MKタクシーのベテランドライバーも夢中になって反復横飛をしています。この年齢でもつい体を動かしてしまうような工夫された展示です。
輪投げゲームでは小学生がちょっとズルをしていますが、スタッフは温かく見守ってくださっています。
あなたも「漢字忍者」に
スタンプラリーの「漢術の書」が完成しました。
これであなたも漢字ミュージアムから「漢字忍者」に認定されました。
今回の企画展である「漢字で忍者修行」は2019年9月で終了ですが、その後もいろんな企画展が準備されているそうで、楽しみです。
今回の企画展は夏休みということもあり、主に子供を対象とした内容でした。
2019年10月1日~2020年1月5日には漢字ミュージアムで「フォントのホント展」という企画展が開催されます。
こちらはどちらかというと大人向けの展示のようで、興味津々です。
目安見学時間の90分では足りないのでご注意を
まだまだ見たりない、遊びたりない気持ちでいっぱいですが、特別見学会は終了の20:00となりました。
80分の見学時間ではたくさんあるゲームのうち、実際に体験できたのは半分くらいです。
漢字ミュージアムの公式サイトでは見学時間の目安は90分となっていますが、じっくり見て遊ぼうとすると、90分では絶対足りません。
3時間くらいは必要かもしれません。
最初の挨拶で漢字ミュージアムの山崎副館長がおっしゃっていたとおり、「意外に」大人も十分楽しめる漢字のミュージアムでした。
博物館に共通するお楽しみのひとつであるミュージアムショップは既に閉店していましたが、おもしろそうなグッズがたくさん並んでいるのがちらりと見えました。
また通常営業時に漢字ミュージアムへと来たときにじっくり見てみようと思います。
漢字ミュージアム様、本日はMKタクシー限定の特別見学会を開催いただきありがとうございました。
おわりに
漢字ミュージアムには、日本でもここにしかない色んな漢字に出会わせてくれる展示がたくさんあります。
子どもだけでなく大人も楽しめる博物館・ミュージアムです。
小学校低学年から漢字には自信があるという大人までが自分のレベルにあわせて遊びながら学ぶことができます。
誰でも新しい発見があり、漢字への知見を広げてくれます。
そして手作り感あふれる工夫された展示の数々は、見ているだけで心があたたかくなります。
頻繁に子供向けの体験型ワークショップも開催されており、新進気鋭の研究者らによる講演会も開催されています。
ファミリーや修学旅行生のみなさんには強くおすすめいたします!
京都観光にいらっしゃった際はぜひ訪れてみてください!
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MKの観光ドライバーは、座学や現地勉強会などで、日々観光知識を研鑽しています。
その一環として、今回の漢字ミュージアムをはじめ、京都の多くの博物館・美術館などにご協力いただき、ドライバー向けの特別な勉強会を開催していただいています。
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