自給自足の山里から【180】「私は、がんもどき!」|MK新聞連載記事

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自給自足の山里から【180】「私は、がんもどき!」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、縄文百姓の大森昌也さんらによる「自給自足の山里から」を、1998年12月16日~2016年6月1日まで連載しました。
MK新聞2014年2月1日号の掲載記事です。

大森昌也さんの執筆です。

私は、がんもどき!

雪の冬

山村の冬は白いものにすっぽり覆われる。朝、コケッコッコーで目覚め、窓の外は銀世界。うっすらと樹々の間からの太陽にそっと手を合わせ、今日1日の無事を祈る。
コッコッケッと、トリ小屋が騒がしい。急いで行くと、戸が少し開いていて、黒いカラス2羽が、どうも雪でエサが取れず、卵を狙っているよう。1羽は逃げたが、1羽を隅に追い詰めて、捕まえる。
見せしめに、目立つところに吊るしておくと、今後、カラスはやってこないというが、我が愛犬のエサに。ところが、まずいのか食べない(笑)。
和歌山で、陶芸の家に弟子入りして修業している娘のちえが休暇取れて帰っていて、果樹園の梅の木の下に雪をかけのけて、埋葬する。春には、白、ピンクの花ならぬ黒い花が咲くかな(笑)。
家の中に入ると、居間に小鳥の羽根が散らばっている。我が猫が、雪で迷いこんだのを、捕え食べた。いつも、チィチィとかわいい声を聞かせてくれていたので、悲しい。
犬を連れて、散歩に出ると、雪の中、キツネ、ウサギなどが歩いた跡が、線になっている。

薪(まき)ストーブに火をつけて

朝、一番にやることは、薪ストーブに火をつけることである。古新聞を丸め、隣町の出石そば屋さんからいただいた使い捨ての割りばしを上に置き、その上に割った薪を重ね、新聞紙にマッチで火をつける。隙間だらけの築100年以上の我が古民家の居間を暖め、こたつの豆炭を起こし、お湯を沸(わ)かし。雪の下から大根、白菜など取り出して食をまかなう。1日中、火が絶えないよう、薪をくべなくてはならない。苦労して割った薪が、どんどんなくなる。ああ‼
「冬山の山小屋の世界やなあ」と山岳部の友。そんな折、新入部員のときのリーダーが、前立腺がんの手術後が思わしくなく、亡くなった。あの頑強で怖かった先輩が…。
私も、昨年6月に前立腺がんを宣告される。

医者はヤクザより

私が、がんだと、カミングアウトすると、「早く手術した方がいい。1週間入院するだけや」「骨に移転して1ヵ月もしないうちに亡くなった知人がいる」「私も手術した」など、皆さんおっしゃる。
よくやってくる青年から、「お身体の異常初めて知りました。こちら母が、大腸に同様の問題がありましたが、術後1年以上再発なく、元気に暮らしております。周りの愛情に感謝し、孫の成長を1日でも長く見守るためにも、医師を信じご自愛ください」との便り届く。私のこと心配していただき感謝以外ない。
しっこが近くなった私が、友人や子どもらに、「とにかく検査を受けろ」と強く言われ、病院に行く。次から次に検査され、医者はさかんに四角い箱を見て指で操作し、私の顔なんか見ることなく、「がんです」「手術しましょう」と言う。
私は、ただあきれて、「天皇も前立腺がんで手術し、後遺症で苦しんだですね」「もう少し様子を見ましょう」と言うと、やっと私の方向いて、「どうなっても知りませんよ」と言う。そして、プンプンして席を立つ。
私は、何も手術はやらないとは言っていないのに。びっくり。医者は、すぐ手術は当然との思い。看護師は「経済的な理由ですか」と言う。
手術受けた人に出会い聞くと「日常生活に支障がある。しっこが漏れるんで、“おしめ”している」と嘆く。そして、先輩の死である。
慶応大学医学部講師で定年退職した『医者に殺されない47の心得』(100万部のベストセラー)などの著者の近藤誠さんは、同本の中で「医療は、宗教や教育と同じように恫喝(どうかつ)産業です。『治療しないと大変なことになりますよ』と不安をあおるほどファンが増える。そして、医者は、ヤクザよりタチが悪いんです。ヤクザは、素人衆を殺したり、指を詰めさせたりすることはありません。強盗だって、たいていはお金を盗るだけです。しかし、医者は、患者を脅してお金を払ってもらった上に、しょっちゅう体を不自由にさせたり、死なせたりするんですから」(9P)と。

私はがんもどき

「民間医療」を勧められ、東京まで行く。免疫を強くするため、野菜ジュースなどを勧められ、いろいろと買わされ、多額の出費。子どもたちに叱られる。
私としては、今、日常生活に何の大きな支障もないのに、がん患者にされ、手術という名で、親からもらった身体にメスを入れるのは、嫌である。
今の世の中、医者は、どうも病人を増やし病院通いさせての“お客さん”づくりに懸命。こんな医者なんかごめんこうむりたい。
私は、こんな日本の医学界の異端児・近藤誠さんの紙上診断を受けようと、本を読む。
「命を奪わないがんは、がんのようなもの…“がんもどき”に過ぎず、本物のがんに育つことはありません」「検診で、痛い、苦しい、食べられないの症状もないのに、がんが見つかると『早めに切除すればほぼ100%治る』と医者は言うが、それは『がんもどき』で、切らなくても何の問題もありません」「PSA発見前立腺がんの9割以上は、がんもどき」「前立腺がんが死因になることは、日本人男性の死因の1%」「生きている男性のほとんどが“潜在がん”を持っていて、ほっておいても宿主を死なすことはない」「がんを放置した患者さんが、一番長生きしています」。

 

あ~す農場

兵庫県朝来市和田山町朝日767

 

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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」(72回連載)

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