自給自足の山里から【146】「神の警告ともいえる大地震」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、縄文百姓の大森昌也さんらによる「自給自足の山里から」を、1998年12月16日~2016年6月1日まで連載しました。
MK新聞2011年4月1日号の掲載記事です。
大森昌也さんの執筆です。
神の警告ともいえる大地震
いよいよ、こんな日がやってきた。
東北関東大地震、津波は福島原発を爆発させた。3月11日午後2時46分、春の蕗のとう笑う和が地球は、身をよじらせ大地裂け、揺れ、海が起きての津波。
1,000年に一度ともいわれる地震は街を人を破壊し、津波は万余の人をのみこみ、そして原発は爆発し、大気中に放射線を出し、生きとし生きるものの住めない所になった。もだえ苦しみの余震は続く。神の怒りはおさまらない。
母なる海
指一本で世界中の情報も物も瞬時に手に入るケータイ・コンピュータは、無機質で画一的・非生物的な都市・街と、そこに住まざるを得ない人々とともに、津波防止のコンクリート壁を乗り越えた津波にのみこまれた。母なる海は、こんなものもらって苦しんでいるだろう。
破壊した家の屋根にすがって、ひとり2日間海に漂った人は何を思ったことだろうか。
地球・生態系の中で、私たちの暮らしを支えているのは植物であり、その植物を育むのは森・もりである。
豊かな森・もりの日本列島。その源、故郷の山村を「こんなところでは暮らせない」と棄て、都会に出る。石油に踊らされての1960年代以降には、「1週間にひとつの村が消えている」状況が現れる。その動きは止まらない。
すでに2006年には石油生産ピークを越し、工業経済はガス欠になり、貿易の海運も油代高騰で低下していくだろう。エネルギーと食糧は危機に、中国などすでに表面化。人類の未来はやはり、農的世界地域共同体・むら・くに。手遅れにならないうちに文明の転換を! はじめなければならない。
そんな中での今回の大地震である。神の警告ともいえる。
原爆投下され、ひろしま経験した日本が
2万年もの間、戦争なく自然によりそって生き平和続く縄文に思いよせ、「山村で暮らせる」と子ども、孫らと村の中でこの四半世紀楽しく元気に生活し、農中心のムラ(地域共同体)へのささやかな“たたかい”に思いを馳せる。
そんな我が縄文百姓のあ~す農場に、福島から幼い3人を連れて若い夫婦が避難してきた。福島原発から80km離れた所に住む。「日本政府は20km以内というが、アメリカはアメリカ人を80km以内の者は避難させている」と、ほっとしながらも怒り声をあげる。
「アメリカに原爆を投下された日本が、どうしてこんなことに?」と大人の私は厳しい質問を受ける。
「原子力の平和的利用などとウソぶいて、中曽根元首相はアメリカの手先になって原発建設を国策とする。もちろん、原発阻止の闘いは続く、阻止した所もあるが、残念ながら55基もつくられた。無念である」。
「原発と戦争は切り離せない。戦争はいかに相手・敵に対し、早く大量に性格に破壊殺りくするかという技術開発する。それが原子力であり、コンピュータであり、毒化学などである。そして平和時には『平和的利用』の口実で、原発、ケータイ、農薬らに転用される。『戦争』は続く。金もうけも続く」など返す。
脱原発の水力発電は今日も廻る。
今、福島原発事故は1979年のアメリカのスリーマイル島原発事故と同レベルかそれ以上といわれる。この年、第1子のケンタ(32歳)が生まれる。友人らと「脱原発を!」のビラを出す。
第4子のちえ(24歳)は、旧ソ連(ロシア)のチエノヴイリ原発事故の日、1986年4月24日に生まれる。再びこんなことを繰り返さない人類の知恵を願って、ちえと名付ける。私の願いは届かず。
福島原発爆発の今年、ケンタ・好美の第3子が生まれる。
初孫のつくし(7歳)が生まれた2004年に、80km離れた福井原発事故が起きた。私は仲間と家の敷地内を流れる小川を活用して、脱原発の思いで水力発電をつくる。
神戸新聞(2004年12月7日号)は、「原発がなくなってもやっていけるように、家で使う電気ぐらいは自分で賄いたい」との私のことばを伝える。今日もつくし号は元気に廻る。
脱原発の思いは30余念。石油による文明を糺すことなくして、原発開発を止められないと、自給自足・自立の縄文百姓を志す。若者たちの「百姓体験居候」を受け入れ、百姓始める著者が頼もしい。
「体験居候」し、今は東京の大学院で原子力物理学を学ぶ青年は、すぐ関西に避難し海外へも。1年いたエルサルバドルから「日本はもう危ないから、エルサルに来た方がいい」と連絡が入るれい。
断食に入る
山口県上関原発の工事を強行していた中国電力に、山口県知事はやっと工事中止を要請したという。
全国でこの動きが拡がり、55基の原発を直ちに止め、廃炉にし、200基も作ろうとする中国ら、世界から原発がなくなることを願って、地震・津波・原発放射能に苦しむ人々に思いを馳せ、原発政府の国・電力会社らに抗議し、神々に許しを願い、3月15日から断食に入る。
(3月20日)
あ~す農場
〒669-5238
兵庫県朝来市和田山町朝日767
MK新聞について
「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。
ホームページからも最新号、バックナンバーを閲覧可能です。
MK新聞への「あ~す農場」の連載記事
1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)
2017年1月1日号~2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」(72回連載)