エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【384】|MK新聞連載記事

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エッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」【384】|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、大西信夫さんによる様々な身近な事柄を取り上げたエッセイ「本だけ眺めて暮らしたい」を前身を含めて1988年5月22日から連載しています。
MK新聞2020年4月1日号の掲載記事です。

オリジナルのハードカバー

オリジナルのハードカバー

本だけ眺めて暮らしたい

日頃、置き場のない蔵書を次々と解体してページを一枚一枚切り離し、スキャナで内容をコンピュータに取り込んで自家製の電子書籍をつくっている。そして、それら「自炊」済みの「本のバラバラ死体」は、いくらかまとまったら古紙回収に出している。
本の「見返し」は、いい紙が多く、何かに再利用できないかとは思うのだが、紙で工作をするといった趣味もなく、気に入ったものをとりわけて何枚か保存してはみるものの、やはり特に使う機会はなく、ほとんど捨てている。
いい見返しがついた本の多くは四六判、せいぜいA5判までと、紙のサイズが小さいのであまり使い勝手もよくない。
が、たまにB5判の比較的大きな上製本をばらすこともあり、さすがにこの見返しの紙は何かに利用しないともったいないなあと思案し、それを表紙に使って愛読している文庫本をハードカバーに装丁しなおしてみたことがある。
その文庫本には、つけ替えた表紙の色や質感に合わせて、別の本から取った色と紙質の異なる見返しもつけて、我ながら上々の出来ばえ――と、自画自讃。
調子に乗って、布地と皮革をとりあわせた素敵な表紙の上製本(内容は現物の本のまま手元に置いておきたいほどのレベルではなかった)をつぶして自炊後、はぎ取った素材を再利用した特装の文庫本も造った。
カラー写真でお見せできないのが残念だが、本の背と、表紙なかほどの二本の黒い太めのラインが皮革。背の部分は生成りのヌメ皮だ。
その他が濃い藍色の布地。三種の柄の布はそれぞれ織り方が異なっていて、手触りもいい。
ついでに記すと、この文庫本の中身は「永田耕衣句集」。他の俳人二人と共に三人句集として朝日文庫からかつて刊行されていたものから、耕衣の部分だけを抜き取って編集したもの。

 

MK新聞について

「MK新聞」は月1回発行で、京都をはじめMKタクシーが走る各地の情報を発信する情報紙です。
MK観光ドライバーによる京都の観光情報、旬の映画や隠れた名店のご紹介、 楽しい読み物から教養になる連載の数々、運輸行政に対するMKの主張などが凝縮されています。
40年以上も発行を続けるMK新聞を、皆さま、どうぞよろしくお願いします。

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MK新聞への大西信夫さんの連載記事

1988年以来、MK新聞に各種記事を連載中です。

1988年5月22日号~1991年11月22日号 「よしゆきの京都の見方」(45回連載)
1990年1月7日号~1992年2月7日 「空車中のひとりごと」(12回連載)
1995年1月22日号~1999年12月1日号 「何を見ても何かを思う」(64回連載)
1996年4月16日号~現在 「本だけ眺めて暮らしたい」(連載中)

 

本だけ眺めて暮らしたい バックナンバー

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