フットハットがゆく【308】「最近の若者は…」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2019年7月1日号の掲載記事です。
最近の若者は…
最近50歳になりましたが、ストリートダンスの番組を作っている都合上、若い子と仕事でよく喋ります。
そんな中で、最近の若者独特の言葉の使い方があるので、紹介します。
『ワンチャン』…
犬のことを可愛く呼んだわけではなく、王貞治のあだ名でもありません。
ワンチャンス、一発チャンスあり的な、元は麻雀用語らしいですが、最近の若者は、もしかしたら、可能性少々残す、的なニュアンスで使っているようです。
「今度のダンス発表会、見に来れる?」
「ワンチャン、行けると思います。」
という使い方です。絶対行けるとは言えないが、もしかしたら行けるかも、という感じです。
行けたら行く、来なくても文句を言わないでね、な感じが満載です。
慣れるまでは僕も、ワンチャンってどれくらいの確率やねん、とイライラ思っていましたが、最近は若者がワンチャンを使った時点で、その可能性にあまり期待しないようにしています草。
『強い』…
最近、若者の「強い」の使い方がよくわからない時があります。
「最近のiPhoneは人工知能がどんどん進化して、カメラが自動で手ブレや色調補正をしてくれて、勝手にキレイに撮れる。」と僕が言ったら若者の返事…。
「へぇ、iPhone 強いですね!」
いや、何とどう比較して強いのかよくわかりませんが、意味的には「優秀ですね、すごいですね」的な意味で使っているらしいです。
「最近のiPhoneは防水機能も向上して、落とした時のガラス画面の耐性もアップしている。」
「へぇ、iPhone 強いですね!」
この会話の「強い」を、どっちの意味で使っているのか、若者のみぞ知る草。
『一生(いっしょう)』…
一生といえば、人生の始まりから終わりまでだと思いますが、最近の若者はまぁまぁの短時間に対しても一生を使います。
「ゲームが好きなんで、家に帰ったら一生、ゲームしてます。」と、若者が言ったら、それは死ぬまでゲームをするという意味ではなく、今晩寝るまでゲームをするという、せいぜい数時間のことを一生、と言っているのです。
だからそんな人に「僕は一生、あなたのことを愛し続けます。」と言われたとしても、それはせいぜい一晩くらいのことなのです草。
『エモい』…
先日、イベント撮影時に若手のカメラマンに演出していた時に、「エモい映像は、いりますか?」と聞かれました。
音感が「キモい(気持ち悪い)」に似ていたので、思わず聞き返しますと、エモーショナルな感じ、ということらしいです。
直訳すると感情的な、情緒的な、という意味で、具体的にいうと、逆光などを利用して撮ったり、一部分に寄って撮ったり、フォーカスをあえてボカしてみたり、などのテクニックで、よりアート的な映像を撮ることを、最近の若手カメラマンは「エモい映像」「エモく撮る」と言うのです。
「抽象的な映像は今回必要ないので、写実的に撮ってくれ。」という意味で、「エモるよりシャジっちゃって!」と言いたかったですが、そういう言葉はまだ無いようです草。www
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