MK新聞の社説記事「札幌MKは予定通り開業 ハイヤー協会は公開質問状に回答を」2009年3月1日号
目次
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞の2009年3月1日号に掲載された社説記事の全文です。
「タクシー再規制は事業者の創意工夫の放棄」と題して論じています。
札幌MKは予定通り開業 ハイヤー協会は公開質問状に回答を
エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明
札幌ハイヤー協会が札幌MKの許認可差し止め訴訟を国に提起
この度、新聞・テレビ等の報道によりますと、貴協会は、平成21年2月19日札幌地方裁判所に、札幌エムケイ株式会社が現在申請中の経営許可申請と運賃認可申請を許認可しないよう、国(北海道運輸局長)を相手取り提訴されたとのことですが、その後の記者会見において、貴殿が「MKの給与体系が違法」であり、「MKの低運賃は乗務員の犠牲のもとに成り立っている」と発言された、とあります。
弊社といたしましては、この報道が事実だとするならば、甚だしい事実誤認と申し上げるほかなく、協会長という公的な立場の方のご発言として驚きを禁じえません。このような耳を疑うべき貴協会の主張が、あたかも真実であるかのようにマスコミに取り上げられておりますので、このまま見過ごしていればMKグループの名誉と信頼が著しく失墜したままとなってしまいます。
そこで、報道されているような貴殿の発言が事実であったかどうか、そして事実であるならば如何なる客観的事実に基づいてのことであるのかをお尋ねしたく、この度「公開質問状」を貴協会宛にお送りした次第です。誠意あるご回答をお願いいたします。
MKは社員の所得向上と社会的地位向上を目指してきた
MKでは創業から約50年間、お客様第一主義のサービスのため、徹底した社員教育を行ってまいりました。親切丁寧な接客が評価され、お客様に選ばれることによって売上が高まり、これにより社員の所得向上にも成功しました。
そして、MKはタクシー乗務員の社会的地位向上を経営理念として掲げ、社員寮の建設など住環境の整備に始まり、お客様への挨拶の徹底、乗車拒否の根絶、身体に障害をもたれた方への優先乗車、制服制帽の着用など、お客様から愛され信頼される乗務員の育成に取り組んでまいりました。同業他社からは「客に挨拶をするMKは非常識」と誹謗中傷を受けることもございましたが、MKはそのような誤った「業界の常識」に屈することなく、何よりもお客様の視線で「世間の常識」に従った事業を行ってまいりました。札幌におきましても、これまでどおりお客様に評価される質の高いサービスを行ってまいります。
全国初の運賃値下げ裁判 利用者はタクシーを高いと感じた
ご記憶にもございますように、昭和50年代、タクシー運賃は2年ごとに当然のように値上げされ、当時は「同一地域同一運賃制」が採用されていたため、弊社もこれに従わざるを得ず、実車率は下がる一方でした。そこで、利用者離れを危惧した弊社は、ただ1社国に対し異議を唱え、運賃値上げ反対運動を展開しました。そしてご周知のように、弊社は運輸省(当時)を相手取り全国初の運賃値下げ裁判を提起し、当時行政施策であった「同一地域同一運賃制」は独占禁止法違反との司法判断を勝ち取ったのです。
「乗務員の待遇改善のため」を大義名分とする運賃の値上げについてですが、利用者を無視した一方的な値上げによって、逆に売上が下がってしまうという例は、昨今各地域で実施されている値上げ事例を見ても枚挙に暇(いとま)がありません。それは利用者が「タクシーは高いもの」と感じているからではないでしょうか。反対に、利用者にとって適正な価格とすれば、タクシーを利用していただける頻度も増えるのではないでしょうか。「適正な価格でより良いサービスを」これこそが今、我々タクシー業界が社会から求められている使命ではないかと考えております。
札幌地域のタクシー運賃は一昨年12月に値上げされましたが、弊社は利用者に適正と感じていただける運賃にいたします。ただ、「安かろう悪かろう」では長くは評価されません。MKが目指すサービスは、もちろん安くて良いサービスです。
ともに札幌のタクシーのレベルを上げていくよう切磋琢磨しましょう
貴協会におかれましては、MKのような新規参入事業者を拒絶するのではなく、札幌市民のタクシーに対する信頼感をこれまで以上に高めるために、互いに切磋琢磨をしていただくことを希望して止みません。そのために貴協会がタクシーのあり方、経営のあり方、サービス向上策などについて問題提起をされるのであれば、喜んで議論に参加させていただきます。
末筆ではございますが、貴殿並びに貴協会の今後益々のご発展を祈念いたします。
公開質問状
平成21年2月20日
社団法人札幌ハイヤー協会 会長 加藤欽也 殿
エムケイ株式会社 代表取締役社長 青木信明
札幌エムケイ株式会社 代表取締役社長 平山功
貴協会は、新聞等の報道によりますと、平成21年2月19日、札幌地方裁判所に対し札幌エムケイ株式会社のタクシー事業許可及び運賃認可差止を求めて提起されたとのことですが、その件に関し記者会見でされたとされるMKグループに対するご発言につき、疑義がございますので、下記のとおり質問させて頂きます。
記
1.貴協会の記者会見を受けて、新聞・テレビなど複数の報道機関が、「同協会(札幌ハイヤー協会:括弧内弊社加筆)によると、MKは運転手の給与から、会社が負担すべき社会保険料や、車両リース費、維持費などを差し引くなどしており、労働基準法の賃金全額払いの原則に違反すると指摘。正社員をあたかも個人事業主のように扱っていることも道路運送法(名義貸しの禁止)違反に当たるとしている。札幌市内で記者会見した加藤会長は『MKの低運賃は労働者の犠牲の上に成り立っている』と主張した。」(北海道新聞 平成21年2月19日夕刊)という主旨の報道をしております。
そこで、貴協会が報道機関に対し、このような主旨のご発言をされたことは事実でしょうか、念のためお尋ねします。
2.「1」が事実であるとするならば、次に、貴協会のご発言に対し、弊社から若干の反論をさせて頂きます。
まず、「MKは給与から違法な控除をしており労働基準法違反である。」のご指摘に対しては、MKグループ各社では一切そのようなことを行っていないと断言できます。
MKグループではコンプライアンスを重視した労務管理を行っておりますので、給与から社会保険料等の法定控除分ならびに労使協定で定められた以外の事項を控除することはございません。
次に、「MKが正社員を個人事業主のごとく扱っており道路運送法(名義貸しの禁止)違反である。」とのご指摘について、貴協会のご指摘の趣旨が分かりかねますが、運輸局からMKグループ各社が「名義貸し」の疑いで調査の対象とされたことは、これまで一度もございません。
3.貴協会は、弊社らMKグループ会社タクシー乗務員の給与体系をご存知ないと思われますので、簡単に説明させて頂きますと、MKグループ各社はいずれも労働時間を算定基礎とした「基本給」に超過勤務手当・無事故手当等の「諸手当」を加算したものに、さらに売上げに対応した「成果給」を加算するという給与体系を採用しています。この給与体系は、売上げを揚げればその成果が「成果給」として給与に反映される一方で、逆に売上げが揚げられなかったとしても、労働時間に応じた給与は支給されるというセーフティーネットが設けられている点に特徴があります。つまり、単純に売上げに応じた給与を支給する「歩合給制度」ではないことは容易にご理解頂けるものと存じます。従いまして、MKグループ各社では賃金が労働基準法に規定されている最低賃金を割り込むことは絶対にございません。
実際にMKグループ各社では、例えば1ヶ月の売上が30万円程度でありましても、会社が指導する労働時間を満たせば、前述の「成果給」は得られなくとも、基本給や諸手当を含めて25万円程度の給与になります。
弊社の賃金規定(抜粋)添付致しますので御確認下さい。
それでもご納得頂けないというのであれば、MKグループ全乗務員の三千余名の給与明細をお見せ致します。
また、京都MKにおきましては、昨年の燃料高騰とサブプライムローンに端を発した世界不況の影響により、乗務員の売上げが減少してしまいましたので、これにより減少した「成果給」部分の補填のため、内部保留金を取り崩し、これをもって毎月「燃料手当」や「生活応援手当」を支給するなど、所得の維持・向上に努めているところでございます。
4.弊社がこれまで述べてきたことからすれば、上記『加藤会長の「MKの低運賃は労働者の犠牲の上に成り立っている」』というご発言は、いかに空虚なものか御理解頂けるものと存じます。
弊社と致しましては、貴殿と貴協会のご発言は、誤った情報に基づくもの、または何らかの意図による事実の歪曲、もしくはそれら双方によるものと受取らざるをえないところでございます。いずれに致しましても、上述の貴殿と貴協会のご発言に基づく一連の報道により、弊社の名誉と信頼が著しく損なわれたことに変わりはございません。
そこで、貴殿・貴協会のご発言は、如何なる根拠に基づきなされたものかお尋ね致します。つきましては、その根拠となる客観的事実並びに資料の開示も併せて、お答えお願いします。
勝手ながらご回答の期限は平成21年2月27日までとさせて頂きます。
なお、本質問状と貴協会からのご回答は報道機関にも公表致します。また、貴協会から何らのご回答が頂けない場合、もしくはそのご回答の内容如何によりましては、弊社と致しましては然るべき措置を講じざるを得なくなりますことも、念のため申し添えます。
以上
賃金規程〈抜粋〉
賃金の構成
賃金の構成は次の通り
●基本給
各都道府県の時間当たりの時間給×所定労働時間
(実労働時間が所定労働時間に満たない場合は実労働時間)
※所定労働時間は、1ヶ月変形労働時間数を適用
(31日の月 177時間
30日の月 171時間)
●諸手当
ZD乗務手当(支給条件あり)
特別手当(支給条件あり)
研修教育手当(支給条件あり)
課長・課長代理・主任手当(各社規程より名称は異なる)
※会社から任命された者に支給
●基準外労働手当
※基準外労働手当の内訳は次の通り
時間外勤務手当、休日勤務手当、深夜勤務手当、利益配分(成果給)
●臨時手当
英会話手当
繁忙手当
年功加算手当
生活応援手当(京都のみ)