健康コラム【3】新型コロナ後遺症「重症度と後遺症は相関しない」｜MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、医学博士 陰山 泰成さんの医療コラムを2023年1月1日から連載しています。
MK新聞2023年3月1日号の掲載記事です。
新型コロナ後遺症『重症度と後遺症は相関しない
後遺症患者は感染者の約３割が３か月以上、２割８分が１年以上苦しむ。
日本全国各地で新型コロナの後遺症の実態把握を目的とした調査を行い、そのレポートがあがってきている。
それによると、感染者の約３割の方々が後遺症の疑いと診断され、そのうちおよそ半数が自宅待機で発熱も１日以内の軽症患者だった。
症状の重症度と後遺症は相関せず、軽症であっても後遺症が出る可能性が十分あるのだ。
現状では防ぐのは難しいと一般的に言われている後遺症。
後遺症を予防するには、ひたすら感染しないこと、とのみ発言する医師がほとんど。
策がなさすぎる、と批判を浴びてもしようがない現実があるのだ。
我々はコロナ後遺症に関してほぼもれなく論文を紐解いている。
そして後遺症で苦しむ方々やご家族の方々にコロナ後遺症の治療法、検査法などの情報を発信している。
新型コロナウイルスの後遺症で多くの人が悩んでいるのが、においを感じにくくなったり、石油系の異臭を感じるようになる『嗅覚障害』。
高輪クリニックグループでは嗅覚異常を客観的に評価する検査機器を取り揃えている。
検査にはバニラとパイナップルの香りを使用している。
『嗅覚刺激療法』は、朝と晩の１日２回、４種類のにおいを10秒ずつ嗅ぐ方法だ。
コロナ後遺症は感冒後嗅覚障害と同様に嗅神経の機能障害が原因と考えらる。
これに対しての新たな治療法として、パイナップルのにおいを繰り返し嗅ぐ『嗅覚刺激療法』が実施されている。
『嗅覚刺激療法』は、“コロナ後遺症”の治療法にもなるのではと期待を寄せている。
高輪クリニックグループでは、鼻うがいと鼻にラクティス菌を移植する鼻腔フローラセラピー、さらに宮古島産植物エクソソームを用いた点鼻薬での治療を開始している。
またネブライザーを用いての治療にも有効性を期待している。
―脱毛に悩む人が激増
新型コロナウイルス感染症から回復する過程や、後遺症として髪の毛が抜けると言われている。
一般的に病気にかかると免疫力低下・炎症反応が起こり、抜け毛に繋がる。
国立国際医療研究センターが実施したコロナ後遺症についての追跡調査によると「（新型コロナウイルス感染症患者の）約４人に１人が脱毛症を発症」「コロナの症状を発症後、約２ヵ月後に脱毛症が顕在化する」ことが分かっている。
最近では、無症状の新型コロナウイルス感染症患者においても「髪を洗う際に抜け毛が多くなった」と訴える方が多い。
また、「ワクチンを接種した後に抜け毛の症状が気になる」との相談も含めて（現時点ではワクチン接種と脱毛の因果関係は示されていないが）、コロナ関連の抜け毛相談件数は増加している。
問い合わせを年代別で見ると、20～30代が75％を占めている。また女性のほうが男性よりも多い。
―感染時期
コロナに感染した時期は抜け毛が気になり始めた時期より遡ること、３ヵ月が多い。
―脱毛症状が出る方
コロナ感染時の重症度と脱毛に相関はみられない。
感染症が軽傷であっても脱毛の後遺症は重症の方と同じ頻度で出現する。
―検査は？
神経症状がないかをチェックして、味覚や嗅覚の低下を確認します。
検査は当初よくわかっていませんでしたが論文に基づき現在ははっきりしています。
血液検査を行い、ＣＲＰ、Ｄダイマー、ＩＬ‐６を調べます。
さらに味覚、嗅覚の客観的テストを実施します。
―治療に関しての悩み
コロナの後遺症による抜け毛なのか男性ホルモンバランスによる脱毛なのかを判断する基準が現時点ではない。
通常のＡＧＡ治療は男性ホルモンを抑えるホルモン療法がメインになるためコロナ後遺症による脱毛には効果がでない可能性が高いので見極めが重要だ。
■高輪クリニックグループに賛同する京都の医療機関「出町柳内科クリニック」
０７５-７６２-００２２
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