名勝 無鄰菴の愉しみ方|夏には涼やかな「流れ」を満喫。イベントもたくさん

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名勝 無鄰菴の愉しみ方|夏には涼やかな「流れ」を満喫。イベントもたくさん

植彌(うえや)加藤造園は、名勝無鄰菴(むりんあん)庭園、史跡岩倉具視幽棲旧宅、けいはんな記念公園の指定管理者として管理運営を行い、日本庭園で文化体験を広く一般に提供し、文化財を未来にはぐくむ取組みをしています。
植彌加藤造園は、無鄰菴で実施している文化財の価値創造型運営サービス「京都発、『庭に集い、庭をはぐくむ』」が2020年度グッドデザイン賞を、同社のメンバーが2020年度日本造園学会賞・事業マネジメント部門を「文化財庭園における本質的価値の尊重と新たな価値創造型サービス-名勝無鄰菴庭園等に見られる管理・運営マネジメント」として受賞しました。
今回、植彌加藤造園の知財企画部部長で無鄰菴プログラムディレクターの山田咲さんに無鄰菴の魅力を伺いました。

 

名勝 無鄰菴の愉しみ方

リピーターになって価値を理解してもらう

苔の庭に曲線を描いている園路も美しい

苔の庭に曲線を描いている園路も美しい

無鄰菴は、明治・大正時代の政治家山縣有朋(やまがたありとも)の別荘で、近代日本庭園の傑作と言われています。
植彌加藤造園の知財企画部部長で無鄰菴プログラムディレクターの山田咲さんは「文化財の価値を深く理解いただだき、未来に継承していくため、1回だけではなく何回もリピーターになっていただきたい」と話します。
そこで、無鄰菴では、茶道教室が随時行われたり、フォスタリング・フェローズ制度(提案型ボランティア制度)を設けたりしています。
フェローとは、ボランティアスタッフとして無鄰菴を共にはぐくむ仲間という意味とのことですが、お手伝いというよりは「主体的に関わって、自ら提案をしてください」というスタンスなのだそうです。
「地域の方に自分の場所として生活の中に文化財を取り込んでいただくことが、この庭園の文化財としての価値を高めることになる」との考えが貫かれています。

 

様々な角度から無鄰菴を知ってもらう

涼やかな水の流れの景色が味わえる

涼やかな水の流れの景色が味わえる

「私たちの仕事は、いろいろな方に無鄰菴を知っていただくために、多くの切り口を用意し見せ続けること」と山田咲さんが話すようように、各種SNSやメルマガでの配信が充実しています。
日本庭園を気軽に楽しむイベントやアクティビティ、そして専門家による講座まで随時開催。
最近では、これまで接点が少なかった障害のある方や子どもたちがどう無鄰菴に触れ、どうすごすのかを考えていると山田咲さんは言います。
庭園を3Dプリンターで再現して、触って体感してもらうことなどを検討していて、従来の「こうやって味わうものだ」というものから脱却しなければいけないとのことです。

 

夏は「流れ」を味わうのがおすすめ

無鄰菴に移築された茶室には広縁が設けられた

無鄰菴に移築された茶室には広縁が設けられた

様々な愉しみ方がある無鄰菴ですが、この季節なら「夏らしい涼やかな『流れ』の景色を味わいましょう」とのこと。
庭園内に心地よいせせらぎを響かせる水の「流れ」。実は琵琶湖疏水から引かれたもの。
近代的、人工的なインフラだからこそ、年間を通じて一定量の水が確保され、浅くても流れ続ける水が表現を豊かにしてくれていると山田咲さんは話します。
里山の風景や小川のような躍動的な流れは、「水は常に浅く豊かに波打って美しく流れ、二、三箇所に落水を作っている。水辺の芝生は広い水面と共に明るい近代的庭景を与えるのに役立っている。樹林を越えて東山の諸峯は借景となる。明治時代における優秀な庭園である」との名勝指定理由にもなっています。

 

イベント・アクティビティ情報

無鄰菴 庭園茶会 流れ‐重陽の節句 2021年8月28日(土)

初秋の京都、夕暮れの風が涼しい母屋の広間で、8月の歳時記と夏の茶会の趣向についてレクチャー。
秋の茶会シーズンに向けての予習に。
この日のためだけに特別にご用意したお菓子や、床の間のしつらえとともに季節を存分に味わいます。

 

連続特別講座 第1回目 京都の真髄! 貴族文化から見た離宮庭園の使われ方を徹底解剖
2021年9月23日(木・祝)

京都にある桂離宮や修学院離宮など、宮廷の庭園は文化を記録するタイムマシン的存在。
この貴族文化は後世、大名や有力者たちのあこがれの的となり、現在の日本文化のベースになります。離宮庭園から貴族文化を読み解き、どう使っていたのか徹底解剖します。

 

京都市京セラ美術館「モダン建築の京都展」連携企画 無鄰菴非公開ルート特別見学会 山縣有朋が巡ったルートで回る往時の無鄰菴 2021年10月12日(火)、26日(火)

お庭のどこを通って、どこから眺めるか。
それは施主のメッセージや庭のデザイン意図が込められた大切な要素。
明治40年出版の記録を読み解き、そこに書かれたルートで、特別に無鄰菴をご案内いたします。

 

おわりに

山田 咲

慶應義塾大学文学部哲学科卒業、東京藝術大学大学院映像研究科修了。
京都の植彌加藤造園株式会社にて知財企画部長を勤める。
国指定名勝無鄰菴をはじめ、世界遺産高山寺、大阪市指定名勝慶沢園などで、学術研究に基づいた文化財庭園の活用のモデルを推進。
「文化財の価値創造型運営サービス」で2020年度グッドデザイン賞受賞。
「文化財庭園における本質的価値の尊重と新たな価値創造型サービス-名勝無鄰菴庭園等に見られる管理・運営マネジメント」において202年度日本造園学会賞 事業・マネジメント部門受賞。

 

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