関西一の「うさぎ神社」である大津の三尾神社境内はうさぎづくし
目次
関西には、京都の岡崎神社や宇治神社をはじめ、うさぎで知られる神社が多数あります。
なかでも境内あちこちでうさぎのデザインが見られるのが、滋賀県大津市の三尾(みお)神社です。
いろんなところにうさぎのデザインがあるので、探してみるのもおすすめです。
JR大津駅や京阪浜大津駅などからも徒歩圏内というアクセス良好な立地でありながら、うさぎ年の2023年でも岡崎神社ほどの大混雑ではない点もおすすめポイントです。
うさぎづくしの三尾神社
うさぎの手水鉢
まず目に入ってくるのは、正面の神門左手前にある手水舎です。
うさぎの口から手水が出てきます。
他のうさぎ神社でも見られるうさぎ手水ですが、三尾神社はのうさぎ手水は躍動感が違います。
うさぎ手水はおりで囲まれたいますが、もちろんうさぎが逃げ出さないためのおりではありません。
おそらくは、波を守るためのおりです。
波を渡るうさぎを描いた手水ですが、うさぎ以上の見どころは波の造形です。
水しぶきが見事に表現されています。
あまりに精巧なため強度が足りないため、おりでおおわれているのでしょう。
おもわずさわってしまいたくなる波の造形です。
波に触ることはできませんが、手水としては普通に利用することができます。
まずはうさぎ手水で手を清めて参拝へと向かいましょう。
うさぎの灯籠
続いて目に入るのが、神門前のの両側にたたずむ灯籠です。
さきほどのうさぎ手水のすぐお隣です。
一見すると普通の灯籠ですが、目線を落とすとそこにはうさぎがたたずんでいます。
案外見落としがちで、2023年に訪れた際も誰も注目していませんでした。
それどころか、うさぎ手水横の灯籠は目の前に駐輪されてました…。
灯籠の奉納年は読み取れませんでしたが、少なくとも数十年の時を経た風格があります。
決して近年のブームで設置されたうさぎ灯籠ではありません。
神門のうさぎ
続いては、神門です。
ついつい、門にかかがられたうさぎの神社幕や提灯に描かれたうさぎに目が行ってしまいますが、よく見ると神門にもうさぎが隠れています。
神門の唐破風の下にある懸魚(げぎょ)の部分にうさぎの姿があります。
唐破風の懸魚は特に「兎の毛通し」と言います。三尾神社の固有名詞ではなく、建築一般の固有名詞です。神社だけでなく、天守閣の説明文でも目にすることがあります。
よくうさぎが描かれるために兎の毛通しという名称かと思いきや、そういうわけではありません。
うさぎ神社とも言われる三尾神社以外では、兎の毛通しの部分にうさぎがあることは稀のようです。
兎の毛通しという名称の由来は謎です。
拝殿のうさぎ
神門をくぐると、正面に三尾神社の拝殿です。
三尾神社の神紋であるうさぎを染めた神社幕や大絵馬、めおとうさぎの像などもありますが、まず拝殿建物にいるうさぎを紹介します。
拝殿の唐破風の最も高い部分にうさぎの姿があります。
神社幕に描かれた三尾神社の神紋とほぼ同じ姿でしす。
耳の立ち方や、背中の盛り上がり方も同じです。
ただし、顔立ちは少し異なります。
神紋のうさぎと比べると、拝殿破風のうさぎは人間的でかわいらしい顔立ちをしています。
拝殿破風の下の虹梁の部分にも、2羽のうさぎがいます。いずれも正面を見たうさぎの姿です。
上の木彫のうさぎは、波をかき分けて進む力強い姿です。
なかなか鋭い目つきで、耳がなければむしろねずみに見えるかもしれません。
下の金属のうさぎは、神紋と似たデザインです。
しかし、耳はぴんと立たずに横に倒れています。
顔つきもやや頬がこけているように見えます。
明らかに意図的に元気がない姿にデザインされています。
何らかの意味があるのでしょうが、わかりません。
拝殿の屋根には以上の3羽のうさぎがいます。
いずれも正面を向いたうさぎの姿ですが、描かれ方は三者三様です。
違いを比べてみるのもおもしろいですね。
拝殿内にも、奉納されたうさぎの絵などがいろいろ飾られています。
まずは、うさぎ年の2023年がよい年になるように、しっかりと心を込めてお参りしましょう。
めおと卯
拝殿の前には、2体のうさぎの石像があります。
この石像は「めおと卯」という夫婦のうさぎです。
うさぎの像のだいたいサイズは同じで、少し顔つきが異なります。
夫婦の像の場合、どちらが夫でどちらが妻かがわかる場合が多いですが、三尾神社のめおと卯のは判然としません。
それもそのはずで、三尾神社のめおと卯の2体は別々に奉納されたものです。
向かって左側のうさぎは1996年、右側のうさぎは2007年の奉納です。
もともと1体だったうさぎが2体になったのを機に「めおと卯」となったのかもしれません。
であれば、夫婦の別がはっきりしないもの納得です。
塀瓦のうさぎ
三尾神社のうさぎの最大のみどころのひとつが、塀瓦のうさぎです。
拝殿から続いて本殿をぐるりと囲む築地塀の軒丸瓦にうさぎが描かれています。
三尾神社の神紋と同じく、うさぎを正面から描いた姿です。
ただし、神紋と比べると体が小さく、顔や耳が大きめとなっています。
もっとも大きな違いは、目の表現です。
神紋をはじめ、三尾神社境内のうさぎはいずれも目が丸く描かれていますが、軒丸瓦のうさぎの目は横長です。
実際のうさぎの目は、軒丸瓦のように横長ではなく、丸い形をしています。
丸い目はうさぎのトレードマークでもあります。
やや擬人化した描かれ方をしているためか、かわいらしさには欠けます。
神紋が今の形に定まる前には、いろんなバージョンがあったのかもしれません。
三尾神社の軒丸瓦は、全てうさぎのデザインというわけではありません。
うさぎと菊紋が使われています。
交互など規則的に並んでいるわけではなく、並び方はばらばらです。
西門の見返りうさぎ
境内左奥の西門の屋根上には、見返りうさぎがいます。
普通の参拝ルートから外れた境内奥にあり、本殿周辺には見返りうさぎの案内板などもありません。
せっかく三尾神社を訪れても、見落としている人も多いでしょう。
三尾神社の西門は現在開かずの門です。
屋根の修理中で防水シートがかけられています。
この門の向こう側は、三井寺園城寺の境内です。
もともとは三井寺と三尾神社を行き来するのに使われていましたが、三井寺境内は要拝観料エリアということもあり、今は使われていません。
見返りうさぎといえば、京都の宇治神社の伝説が有名です。
三尾神社西門のうさぎが見返っているのはなぜかはわかりません。
単にうさぎがよくしている姿を写し取ったものでしょうか。
両耳をぴんと伸ばして、周囲を警戒している姿を写実的に再現されています。
親子うさぎ
三尾神社で最もかわいらしいいうさぎは、親子うさぎの像でしょう。
お母さんうさぎの背中に腹ばいになっておんぶされる子うさぎの姿がとってもかわいらしいです。
周囲をぐるりと回って、いろんな角度から見てください。
安心しきっている子うさぎに対して、お母さんうさぎは周囲への警戒は絶やしていない様子です。
社務所屋根のうさぎ
以上で2010年訪問時に確認していた三尾神社境内のうさぎはすべて確認できました。
あらためて、他にうさぎのデザインはないものかとじっくり下がると、社務所の屋根にもう1つうさぎを発見しました。
社務所の屋根といっても、拝殿前の平入側ではありません。
神紋を出た妻入側の懸魚部分に小さなうさぎがいます。
小さいだけでなく、参道からも外れているために気づき人もほとんどいないでしょう。
本当に三尾神社の境内はうさぎづくしです。
京都の岡崎神社を超えているのではないでしょうか。
三尾神社には、今回は見つけられなかったうさぎもいそうです。
うさぎの土鈴
最後に、三尾神社で授与される「開運卯」という親子うさぎの土鈴の紹介です。
石像の親子うさぎと同じデザインです。
子うさぎがとってもかわいいですね。
三尾神社について
三尾神社の由緒
三尾神社は、貞観元年(859年)に三井寺園城寺の鎮守社として創建されました。
裏手の長等山(ながらやま)に、御祭神である赤尾神、白尾神、黒尾神の三尾明神が降臨したのが始まりです。
三尾明神があらわれたのが、卯の年・卯の月・卯の日・卯の刻、卯の方だったことから、うさぎが神の使いとされてきました。
神紋も正面を向いたうさぎの姿の「真向き兎(まむきうさぎ)紋」です。
御祭神は、三尾明神の本体である伊弉諾尊(いざなぎのみこと)です。
ご利益は、うさぎにちなんだ安産・子授けです。
本殿は応永33年(1426年)の再建で、重要文化財に指定されています。
三尾神社の拝観情報
拝観時間 | 9:00~17:00 |
拝観料 | 境内自由 |
TEL | 077-522-3044 |
住所 | 大津市園城寺町251 |
アクセス | 京阪「三井寺」より徒歩6分 京阪「びわ湖浜大津」より徒歩12分 JR「大津」より徒歩18分 JR「大津京」より徒歩19分 |
おわりに
滋賀県は、重要文化財の件数が東京都と、京都府、奈良県に次ぐ全国第4位という歴史と文化の県です。
大津に作られた大津京は、奈良の平城京や京都の平安京よりも古い歴史があります。
美しい琵琶湖をはじめとした豊かな自然を誇り、見どころ満載です。
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