MKタクシー60年の歴史。お客様第一主義を貫き10台から2,000台へ
目次
- 1957年4月 永井石油(現MK石油)設立
- 1960年代 前身であるミナミタクシー設立
- 1970年代 サービス向上のタクシー改革に乗り出す
- 1970年2月 MK婦人会結成
- 1970年5月 個人タクシー追い越し運動実施
- 1970年7月 交通遺児を大阪万博に招待
- 1970年12月 MK新聞の前身「MK速報」発刊
- 1970年4月 「ありがとう運動」実施
- 1971年2月 MK団地完成(通勤不要、自宅交代制実施)
- 1971年7月 MKボウルオープン(山科)
- 1972年4月 社標(ロゴマーク)をハート型に制定
- 1972年5月 深夜ステーション開設(急病・急用・出産に対応)
- 1972年5月 「タクシーを市民にかえす」運動
- 1972年7月 「市民の声を聞く運動」展開
- 1972年10月 「身体障害者優先」確立
- 1973年4月 第一次「動く情報デパート」実施
- 1973年4月 上賀茂ボウルを買収
- 1973年4月 MK会員制度発足
- 1973年12月 MK無線局開局
- 1973年12月 「飲酒運転追放運動」実施
- 1974年7月 三和交通の経営権を譲受
- 1975年4月 学士ドライバー採用を開始
- 1976年6月 特定バス免許取得(養護学校送迎バス)
- 1976年8月 上賀茂・山科にバイキング食堂開設
- 1976年11月 「MK運賃四つの挨拶」実施
- 1977年3月 ミナミタクシーと桂タクシーが合併、エムケイ株式会社に社名変更
- 1978年7月 京都市バス民営化構想を提案
- 1978年9月 救急タクシー発足
- 1980年代 規制緩和を生んだ値下げ裁判勝訴
- 1990年代 次々と新規事業に乗り出す
- 2000年代 規制緩和で全国展開へ
- 2010年代 再規制に抗して成長を継続
- 2020年代 先が読めない中でもお客様第一主義を貫く
- おわりに
2020年10月26日、MKタクシーは創立60周年を迎えました。
京都でたった10台から始まったMKタクシーは、60年を経て全国8都市で2,000台規模にまで拡大することができました。
「お客様第一主義」と「タクシードライバーの社会的地位向上」という社是を貫いてきた60年間の歩みを簡単に紹介いたします。
1957年4月 永井石油(現MK石油)設立
MKグループの創業者である青木定雄が、ガソリンスタンド事業を開始
1960年代 前身であるミナミタクシー設立
1960年10月 ミナミタクシー設立(10台)
新規免許を受けて、京都市南区西九条島町で開業。
わずか10台からのスタートでした。
1961年10月 ミナミホームセンター開設
サービス向上のためには、まず待遇改善が必要。
ドライバーの待遇改善のため、まず住環境の整備に着手。
順次ドライバー用の住宅を開発。
1963年12月 桂タクシーの経営権を譲受
右京区(現西京区)川島有栖川町の桂タクシー株式会社を買収。
計46両となる。
1968年12月 駒タクシーの経営権を譲受
株式会社駒タクシー(33両)を買収。
のちに2003年に吸収合併。
1969年11月 新給与体系のMKシステム導入
頑張れば給与に反映されるガラス張りの給与体系であるMKシステムを導入。
ミナミタクシーと桂タクシーの頭文字を撮った「MK」という呼称がつかわれ始める。
1970年代 サービス向上のタクシー改革に乗り出す
1970年2月 MK婦人会結成
配偶者にMKタクシーがどのような会社で、どのような取り組みを行っているかを理解してもらうために、婦人会を結成。
家庭の安定こそが、安全運行とサービスの向上につながるという考えによる。
1970年5月 個人タクシー追い越し運動実施
当時は個人タクシーは優良ドライバーの代名詞であり、サービスも良好でした。
まずは、サービスと所得の両面で個人タクシーに追いつこうという運動を開始。
1970年7月 交通遺児を大阪万博に招待
今につながる社会貢献活動を開始。
1970年12月 MK新聞の前身「MK速報」発刊
MKタクシーに今も車載されているMKグループ広報誌の前身。
単なる社内報にとどまらず、地元京都の情報やジャーナリストの記事など多彩な情報を掲載。
1970年4月 「ありがとう運動」実施
当時、タクシードライバーは挨拶をしないのが当たり前だった。
まずは「ありがとう」を徹底するという基本から開始。
1971年2月 MK団地完成(通勤不要、自宅交代制実施)
自宅から出庫入庫を行い、効率的な営業が可能な自宅営業所を伏見区羽束師に開設。
通勤時間が不要で売上向上に貢献。
1971年7月 MKボウルオープン(山科)
当時大ブームだったボウリング事業に参入。
今もボウリング場やバイキングなどを経営するアミューズメント事業部の源流。
現グランドボウル山科。
1972年4月 社標(ロゴマーク)をハート型に制定
堂本印象の甥にあたる堂本捷二氏によってデザイン。
今も行灯(屋上灯)のデザインに使用。
1972年5月 深夜ステーション開設(急病・急用・出産に対応)
急病・急用・出産に対応できるよう深夜もタクシーを配置。
当時は、深夜時間帯はタクシーは運行していなかった。
1972年5月 「タクシーを市民にかえす」運動
乗車拒否は絶対に行わないなど、公共交通機関としての使命を果たそうという運動を開始。
1972年7月 「市民の声を聞く運動」展開
京都市民たちのタクシーへの声を聞くアンケート運動などを展開。
MKタクシーは、監督官庁ではなく市民を向いたタクシー会社であることが浸透。
1972年10月 「身体障害者優先」確立
車椅子などの身体障害者を優先してタクシーにお乗せしようとする取り組みを開始。
当時は車椅子の方への乗車拒否が横行していた。
1973年4月 第一次「動く情報デパート」実施
運送収入だけでは所得向上にも限界がある。
タクシー車内でカタログ通信販売を行うことで、副収入をねらう。
1973年4月 上賀茂ボウルを買収
現MKボウル上賀茂。
今もMKグループ最大の拠点として、ボウリング場、バイキング、タクシー・ハイヤー営業所、教習センターなどがある。
1973年4月 MK会員制度発足
チケットを利用可能な会員制度を開始。
1973年12月 MK無線局開局
独自に無線免許を取得し、無線局を開設。
1973年12月 「飲酒運転追放運動」実施
「飲んだら乗るな」の飲酒運転追放運動を実施。
1974年7月 三和交通の経営権を譲受
三和交通株式会社(47両)を買収。
のちに2004年に吸収合併。
1975年4月 学士ドライバー採用を開始
大学新卒者の採用を開始。
のちに学士ドライバーからは、経営幹部やファーストハイヤードライバーらを輩出。
1976年6月 特定バス免許取得(養護学校送迎バス)
京都市の要請により、養護学校送迎を開始。
のちのエムケイ観光バスなどバス部門の源流となる。
1976年8月 上賀茂・山科にバイキング食堂開設
社員食堂を一般公開するMKバイキングを開設 。
1976年11月 「MK運賃四つの挨拶」実施
挨拶をしなければ運賃はいただきません、と宣言。
タクシー運賃には、挨拶などのサービスも含まれているという考えから。
1977年3月 ミナミタクシーと桂タクシーが合併、エムケイ株式会社に社名変更
Mはミナミタクシー、Kは桂タクシーの頭文字をとっている。
合併までも既にMKタクシーとして親しまれていた。
1978年7月 京都市バス民営化構想を提案
民営化することにより、バス事業の黒字化とサービスの向上を提言。
渋滞の慢性化など道路環境の悪化を解決するためには、都市交通改革が必要。
1978年9月 救急タクシー発足
全ドライバーが日本赤十字社救急員の講習を受け、応急処置が可能な救急タクシーを開始。
1980年代 規制緩和を生んだ値下げ裁判勝訴
1980年5月 「都市交通改革に関する要望書」提案
MKタクシーの提言がきっかけとなり、都市交通懇話会が結成される。
1981年2月 「着物を着る運動」を行う
京都のきもの産業を支援するため、毎月一日は”きもの”を着ようというキャンペーンを開始。
1982年2月 運賃値下げ申請
運賃値上げに同調するも減収に陥ったため、値上げ前の運賃に戻そうとする値下げを申請するも、却下される。
1983年 身障者割引制度、認可実施
全国で初めての障害者1割引を開始。
その後、全国のタクシーをはじめとする公共交通機関でスタンダードとなる。
1983年9月 ハナエ・モリデザインの制服採用
世界的なデザイナーである森英恵がデザインした新制服を採用。
1985年1月 運賃値下げ裁判で勝訴
タクシー運賃値下げ申請却下の取消しを求めた訴訟で勝訴。
事前の予想を覆し、全国的に大きなニュースに。
タクシーだけではなく、様々な産業で規制緩和が進むきっかけのひとつになったと評価される。
1988年1月 運輸省がMKを評価し、値下げ裁判で和解
大阪高裁での控訴審判決を前に、国と和解。
国はMKが「タクシー事業の活性化及びこれによる利用者の利便向上に対し果たしてきた役割を評価する」と記載。
1990年代 次々と新規事業に乗り出す
1990年9月 京都駅八条口向かいにMK貴賓室開設
新幹線で京都へ来られたお客様などの待合室として開設。
2009年にリニューアルし、今も京都観光タクシーの拠点として利用される。
1991年5月 全国植樹祭にMKタクシーが登用される
京都府で開催された全国植樹祭で、大臣等のお供に利用される。
民間の車両が使用されるのは全国初。
1992年1月 全車両禁煙実施
全国に先駆けて、全車禁煙を実施。
1992年9月 英国留学制度開始
世界のVIPの対応を行う英会話ドライバー育成のため、イギリスへの語学留学制度を開始。
1993年12月 値下げタクシースタート
全国で初めてのタクシー運賃値下げを実施。
1993年12月 「規制緩和」で流行語大賞・金賞受賞
細川政権による規制緩和を代表して青木定雄が受賞。
1995年2月 阪神大震災被災地に無償タクシー派遣
阪神大震災に見舞われた被災地に無償でタクシーを派遣。
援助物資や被災者の運送のために活躍する。
1997年9月 大阪MKハイヤー事業免許取得
京都以外への初めての進出。
その後200台規模にまで拡大する。
1997年10月 関空スカイゲイトシャトルスタート
関空と京都を結ぶ乗合タクシーを開始。
京都では主要空港アクセスのひとつとして定着する。
1997年12月 東京MKタクシー事業免許取得
大阪に次いで東京進出。
その後200台規模にまで拡大する。
1999年2月 伊丹スカイゲイトシャトルスタート
関空に次いで伊丹と京都を結ぶ乗合タクシーを開始。
2000年代 規制緩和で全国展開へ
2001年2月 GPS無線自動配車システム導入
タクシー無線配車の自動化により、配車にかかる時間を大幅に短縮。
2001年12月 名古屋無償タクシー実施
名古屋でのタクシー事業参入に伴い、無償タクシーを運行。
名古屋地裁が合法であると認めたことで実現。
2002年4月 神戸~関空スカイゲイトシャトル運行開始
神戸エリアに進出し、関空とを結ぶ乗合タクシーの運行を開始。
2002年5月 神戸にてタクシー営業開始
神戸でタクシー営業を開始。
その後200台規模にまで拡大する。
2002年6月 大阪にてタクシー営業開始
大阪でハイヤーに続いて、タクシー事業を開始。
2002年7月 名古屋エムケイ設立
名古屋でタクシー事業を開始。
その後100台規模にまで拡大。
2003年7月 きもの割引開始
きもの産業支援の一環として、京都で和装の方への1割引を開始。
(2021年12月に廃止)
2004年5月 MK観光バスが運輸開始
観光バスや従業員送迎バスなどを運行するエムケイ観光バスが運輸開始。
その後100台規模にまで拡大。
2005年7月 京都市バス代替運行モデル実証実験開始
不採算路線にジャンボタクシーを導入し、経費削減と本数増加による利便性向上を狙う実証実験を実施。
2006年7月 第一回MKチャリティカップ開催
MKボウル上賀茂で日本で初の“チャリティ”を目的としたプロアマオープンボウリングトーナメントを開始。
収益金の一部は障害者の福祉向上に役立てている。
2008年11月 国土交通省に再規制反対署名提出
タクシーを再規制しようとする国の方針に対し、市民やタクシー利用者から集めた反対署名を提出。
2009年1月 福岡MKがタクシー営業開始
関西より西に初進出。
その後50台規模にまで拡大。
2009年1月 滋賀MKがタクシー営業開始
大津と湖南エリアに進出。
その後60台規模にまで拡大。
2009年4月 札幌MKがタクシー営業開始
北海道に初進出。
その後100台規模にまで拡大。
2010年代 再規制に抗して成長を継続
2010年5月 福岡地裁、運賃認可の仮の義務付け決定
国が福岡MKに値上げを強制しようとしたことに対して提訴。
福岡地裁は、国にこれまでの運賃の継続認可を仮に義務付ける決定を行う。
2010年5月 MKハートラス会設立
MKグループとお取引先事業者を中心に、チャリティ活動などを行うMKハートラス会を設立。
2010年11月 MKポイントカード「TACPO」導入
1枚でプリペイドカードとポイントカードの機能を持ったお得なカードを導入。
2011年1月 第1回ワールドドライバーズカップ開催
外国語ドライバー育成の一環として、抽選で選ばれたドライバーが外国語で寸劇を行うワールドドライバーズカップを開催。
以後3年間実施。
2013年7月 大阪地裁が、最高乗務距離規制取消訴訟で勝訴判決
国が間接的に値上げを強制するために、最高乗務距離規制を導入したことに対して提訴。
大阪地裁は、本規制は不合理で無効であると判決。
2013年11月 MKスマホ配車スタート
MKタクシー独自の配車アプリ「MKスマホ配車」をいち早くリリース。
徐々に電話予約からアプリ予約へと移る。
2014年5月 大阪地裁が、運賃変更命令の仮差止決定
国が運賃の値上げを命令しようとしたことに対して提訴。
大阪地裁は、値上げ命令を仮に差し止める決定を行う。
2015年4月 上賀茂神経リハビリテーション教育研究センターオープン
MKグループなどが出資するNPO法人がMKボウル上賀茂内にオープン。
介護保険の対象外となる患者にセラピスト教育に協力いただき、無料でリハビリテーションを行う。
通称KNERC(ネルク)
2017年4月 ベストバリューエネルギーを事業承継
ガソリンスタンド事業を経営するアルフレックスから事業承継。
全国で11店舗を展開。
2017年6月 青木定雄、逝去
創業者の青木定雄が88歳で逝去。
MKグループからは既に2005年に退いていた。
2018年10月 関空エムケイが開業
関空からの送迎を担う関空エムケイが開業。
2019年4月 京都でUber Taxiスタート
ウーバー社の配車アプリを利用するUber Taxiを開始
2020年代 先が読めない中でもお客様第一主義を貫く
2020年1月 制服をリニューアル
小篠ゆまデザインによる新制服に15年ぶりにリニューアル。
2020年4月 タクシーによる宅配サービス開始
新型コロナウイルス対策で非常事態に陥っている飲食店支援のため、タクシーによる料理宅配サービスを開始。
2020年5月 医療従事者の無償送迎実施
新型コロナウイルス対策で疲弊する医療従事者の通勤を助けるため、タクシーハイヤーによる無償送迎を実施 。
おわりに
コロナ禍というこれまで経験したことのない状況の中で、MKタクシーは60周年を迎えました。
これからの時代は先が読めませんが、変化する環境に適切に対応しつつ、「お客様第一主義」と「タクシードライバーの社会的地位向上」という社是を貫いてまいります。
次の100年、200年もよろしくお願いいたします。