IT先進国「エストニア視察記」後編|実用化済の自動運転車を体験
目次
MKタクシーでは、バルト三国のひとつであるエストニア共和国に幹部を視察に派遣しました。
これからの運輸業界の鍵を握るであろう自動運転車の体験など
エストニアの視察を行った名古屋MK社長の神谷文武のレポートです。
ユネスコの無形文化遺産のスモークサウナ
サウナに関する全てが無形文化遺産に登録
北欧の文化の一つとしてスモークサウナがあげられます。
エストニアのスモークサウナもユネスコの無形文化遺産に登録されています。
スモークサウナとは煙突がないことが特徴で、煙が充満した室内は壁が黒く煤けて木の香りで満たされています。
日本のサウナよりは低温で、じっくりと汗を流すことができるのも特徴です。
スモークサウナの建築方法、修理方法、入浴の準備や利用方法、サウナを使った肉の燻製調理など、スモークサウナに関するすべてのことはもちろん、スモークサウナの伝統を受けついでいく行為を含んだ「スモークサウナの伝統すべて」が無形文化遺産としてユネスコに認められています。
スモークサウナに入ることは北欧の方々にとっては特別で神聖な行為であり、魂を清めたり、先祖の方々と交信するなどスピリチュアルな体験ができる儀式です。
その方法は各家庭によるもので、統一されたものではありません。
スモークサウナと凍った池を体験
スモークサウナの体験のため、私たちは首都タリンからバイパスのような直線道路をひたすら南へ3時間、距離にして片道250キロ移動しました。
到着するとそこは山の中、そしていかにも北欧を思わせる雪の中でした。
写真の建物の左側が休憩室、右側がサウナ、階段の下が池です。実は写真の下半分はほとんど池ですが、階段下部分だけブクブクと空気を送り込んでいるため、一部分だけ凍らないようになっています。
今回のサウナでは四回出たり入ったりを繰り返し、合計3時間ほど楽しみました。
一回目はなにもなく、二回目は墨を塗る、三回目は乾燥した葉っぱで背中をたたく、四回目ははちみつをなめる、というものでした。
墨を塗ると体の悪い要素が抜けていく、葉っぱでたたくと邪気が払われる、はちみつをなめると毒素が抜ける、という意味があるそうです。
そしてサウナから出るたび、外にある凍った池に入ることもルーティーンです。
池に入るのをためらっているとサウナの管理人の方が「GO!GO!」と煽り、池に入らざるを得ない空気を演出されます。
空気を読むことに長けた我々は全員恐る恐る池に入り、あまりの冷たさから徐々に足の先端から感覚がなくなり、出る時は階段を踏み外さないか、という感じでした。
これからの運輸業界の鍵を握る自動運転車
既に実用化されている自動運転車
エストニアの視察の中で、人間が運転しない、いわゆる自動運転の車にも乗りました。
一度に8人乗車できる、貨物車のようなワンボックス車両で、現在ではタリン空港など25のコミュニティで運用されています。
センサーで周囲の状況を確認し、安全が確認出来たら走行するもので、ルートもあらかじめ決められたところしか走行できません。
最高速度は25キロと法律で制限されているため、普通の自家用車での移動ではなく、施設内で定点から定点への輸送で使用されています。
日本では自動運転に関する法律は非常に厳しく、実用化は難しいですが、エストニアでは規制が緩いようで、隣国フィンランドではわずか一か月で運用が開始されました。
このあたりは新しい技術に対し保守的な日本と積極的なヨーロッパの違いが垣間見えます。
正直、乗り心地はあまり良いものではありませんでした。たまたまでしょうが、乗っていた時に車が危険を察知したため急ブレーキを踏み、私は椅子から転げ落ちました。
こういうところが日本では受け入れられないのでしょう。
遠隔から操作する自動配達車
自動配達車両も拝見しました。
これは自動運転とは違い、人間が運転するのですが、人間は車両に乗らず、車両に取り付けられたセンサーとカメラをもとにネットを通じて遠隔から運転するものです。
車のサイズは通常の軽自動車ぐらいの大きさで、人が乗れるスペースはなく、荷物を運ぶための棚がありました。
実際に宅配などで使用されており、今回の視察に同行いただいたガイドさんのお宅にも自動配達車両で宅配が届くこともあったようです。
将来、ドライバーは自宅からネットで遠隔操作することで通勤時間が一切なく宅配の運転業務に従事できます。
さらに一人10台を運転できるよう開発を進められています。
自動配達車両は人が足りない、車が足りないといった運輸業界において、業務効率化に大きく寄与する技術でした。
世界遺産のタリンを散策
旧市街地と近代化されたビル群
最終日にはエストニアの首都タリンの旧市街地を散策しました。
タリンの旧市街地とは、13世紀から16世紀にかけて建造された城壁、砲台、教会やそれらの建造物の区画、通り、広場などが保存の良い状態で残されている一帯のことす。
ユネスコの世界遺産にも登録されています。
2時間ほどタリンを散策しましたが、1900年のロシア正教会として建設されたアレクサンドル・ネフスキー大聖堂が一番の心に残りました。
教会の中は私語厳禁、撮影厳禁で、中に入ると大音量で賛美歌が流れ、信者の方が熱心に祈りをささげています。
大変厳かで、信者ではない私はうかつに近よることができない雰囲気でした。
また展望台から臨むタリン市街は、手前に歴史を感じる旧市街の建物、遠くには近代化したビル群が見えるのも非常に印象的でした。
おわりに
二回にわたり、海外視察をさせていただいたエストニアの様子を紹介いたしました。
エストニアで見たこと、感じたことを今後のMKグループのサービスに生かし、よりお客様にご満足いただけるよう注力してまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。