自給自足の山里から【202】「あ~す米にかける思い」|MK新聞連載記事

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自給自足の山里から【202】「あ~す米にかける思い」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、縄文百姓の大森昌也さんらによる「自給自足の山里から」を、1998年12月16日~2016年6月1日まで連載しました。
MK新聞2015年12月1日号の掲載記事です。

大森昌也さんの執筆です。

あ~す米にかける思い

赤い柿に 黒いカラス

「ジィちゃん! 柿の木に、カラスが真っ黒や!」ととなりの孫のみのり(8歳)が、犬の散歩にやってきて、叫び教えてくれる。
家の前の柿の木に、「ガァーガァ」と、鳴きわめく黒い集団がたむろし、黄赤色の柿の木は黒くなっている。
「こりゃ~」と叫び、竹の棒を振り回して追い払う。木には食いかけの柿、地面には食い散らした柿が散らばる。柿食えば、カラス。
「ジィちゃん! はようとらんと、カラスに食べられるよ!」とみのりは心配気である。
今年は、柿の生り年である。
柿の木は、黄色に輝き鈴なりである。何しろ子どもの腕くらいの枝が、生った柿の重さで、ボキィと何本も折れているくらい実っている。赤くなるとカラス、そしてクマがやってくる。

今年は生り年!

娘のちえ(29歳)は「去年は全く生らなかったのに! 今年は全くびっくりや! 不思議なもんや!」と言いながら、孫たちと柿採りに精を出す。
京都の方から「大森さんのような暮らしがしたい」と来訪の青年らも手伝う。
竹で作った柿採りの道具を使うのは初めてのようで、うまくいかず、柿の木に登って枝を折って採る。「柿の木は、折れやすいから気をつけろ」と注意する。
両手いっぱいの柿をお土産に「近いうちに手伝いに来ます」と楽しく帰っていった。
たくさんたくさん採れた! この柿は、大人のこぶしくらいの大きなものである。渋柿であるが、干し柿や焼酎での渋抜き、また赤く熟していくとおいしい。お世話になっている方々に、籾(もみ)がらをすくもに入れて送る。

あ~す米の思い

―機心によらず、生きとし生けるものと、戦争・金を糺す
収穫の秋。稲刈りし、よい天気の続く秋空、十日もすれば籾すりして、新米(玄米)をいただく。
籾(すくも)のとれたお米は、キラリと輝く。品種はもう20年も前、一握りのイセヒカリ(伊勢神官由来)を大事に育てたもの。
病気などには強いが、味は独特である。
さて、我があ~す米を毎年食してくださる方に、“あ~す農場のお米”の“思い”をお届けしております。

①機心によらない稲作りです

機械の便利さ(コンバイン・トラクターなど)に心を奪われ、大地への“感謝”を失う“機心”によらず、大地に足をつけて、鎌や鍬(すき)らを手にしての稲作り。
春、我が種籾を大地におろし、苗を手植えし、夏、汗と泥にまみれて草取り、秋、金色とともに手で刈り、竹の稲城(いなき)に架け干す。

②戦争による農薬・化学肥料の米作りを糺す平和・再生のお米

戦争の爆弾・化学兵器・戦車・コンピュータが、戦後「平和」のとき、農薬・化学肥料・農業機械に転用され、戦争と同じく地球大地人間を破壊する。
我が村は、昭和30年代、大量の農薬・化学肥料がまかれ、鳥の鳴き声は消え、大地は瀕死。
人々は村を去り、「平和」日本で、村が滅びゆく。そんな中30年前、都会からこの村に移り住んだ。
古老は、「幼い子連れてやってきたときは、夢を見ているようだった」「子どもと、鍬使って米作りやっているのを見て、ああ! 私が新でも村は生き残る。あんなにうれしかったことはない」と。
戦争によらない、山村(むら)の再生のお米作りは、平和・再生の営みです。

③稲は生きとし生けるものとともに育つ

我が村は、今、農薬・化学肥料を使わない。
春、田んぼにはウグイスら鳥の声が響き、おたまじゃくしが黒くうじゃうじゃです。
夏、カエルの山を震わす大合唱、ホタルの幻想的乱舞、青大将・カメ・カマキリたちが盛ん。
秋、クモの巣輝く田に、イナゴ飛び跳ね、赤トンボが空を舞う。
樹上でアオサギが見下ろす中、シカ・イノシシ・キツネ・タヌキたちが走る。クマがミツバチを襲う…生きとし生けるものとともに育つ幸せ。

④金(かね)の資本主義を糺すお米

村のお年寄りは「大森さんのところは丸もうけの米作り」と評す。
いまどきの米作りは、私らと違って、苗・農薬・化学肥料に、大地をいためる機械など全てお金、お金である。「丸損でバカバカしくてやっておれん」。
私らのように、機械・農薬・化学肥料使わず、自分で苗を作り、手作業の米作りは、金による資本主義を糺(ただ)すものです。
稲作はすでに縄文末期には始まっていた。今日の黒々として豊かな大地は、縄文以来のもの。一万余年の平和な縄文のもたらしたもの。
平和の息吹をもたらすお米です。縄文百姓は、金、金の資本主義を糺す。

鎌・鍬持っての畦作りに! 感謝!!

私の“思い”に、今年も阪神間から、田作りに、畦(あぜ)作りに、鎌を持って若者、ご婦人方がやってきて汗を流す。
まだ病み上がりの私を助けてくださり、感謝です。今年の米作りも多くの人々の“思い”によるであろう。
(2015年11月9日)

 

あ~す農場

兵庫県朝来市和田山町朝日767

 

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MK新聞への「あ~す農場」の連載記事

1998年12月16日号~2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)

2017年1月1日号~2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」(72回連載)

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