山の一家*葉根舎「葉根たより」【30】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2019年6月1日号の掲載記事です。
大森梨沙子さんの執筆です。
葉根たより
いろどる山々、順々に咲いてゆく辛夷、山桜、藤、空木と日に日に濃くなる新緑との共演。山の上で暮らしていると、一足早い麓との差に二倍楽しませてもらえます。
「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」「蚯蚓出(みみずいずる)」「竹笋生(たけのこしょうず)」かえる、みみず、筍も出てきて、にぎやかな季節になりました。窓からは、鶯、ホトトギス、家の前の小川の蛙の唄声が聞こえてきます。木々を吹き抜ける風、茂る草、起こした土、田に注ぎ込む水、感じる風や香りも変化に富み、お日さまが燦燦と輝いてゆく季節への変化を感じます。
<山と響き合う暮らし>
長かったGWはいかが過ごされたでしょうか。我が家は田んぼの忙しくなる時。いつも静かな山を通り抜けていく車の量にGWを感じます。
四月下旬に子供たちと土の準備し、ポットへ土を入れ、そこへ種もみを蒔き、苗代に設置します。種もみの温湯消毒や芽だし、苗代の準備は、三月下旬から夫のげんがコツコツと。そして、田の畔きり、田起こし、畦塗などをしていき、田植えは六月です。
「腕が痛い」と言いながら頑張るげんさん、休憩がてらよもぎやぜんまいを摘んできてくれます。あく抜きをし、干して保存食に。
八十八夜も迎えたので、お茶摘みもしなければなりません。山の賑わいと共に、暮らしも賑わってゆく季節です。
<草木のような子供たち>
小中高の子供たち、それぞれの予定に私はこんがらがりそうになりますが、三人とも元気に通いながら、家にいる時間は薪割りやフキ摘みを手伝ってくれます。
長男つくしは標高400mの我が家から自転車で行きは40分、帰りは90分かけて駅へ。電車、バスを乗り継ぎ高校へたどり着きます。お弁当とお結び二つ持って、少し自由な気分を味わっているようです。
次男すぎなは、小学校卒業式前にした骨折がようやく治り、卓球部を楽しんでいます。ところが、今度はムカデにかまれ、かなり痛そうでしたが、自家製ムカデ油を塗るとすぐに落ち着きました。
三男かやは、どうやら学校では先生の言うことは素直に聞いて、とっても真面目なようですが、家では好き放題。末っ子らしく、すくすくのびのびと育っています。
<からだのーと>
春土用を過ぎ、気候も良く緑豊かでほっと一息、来る梅雨に備える時期ですが、五月病のような方は、春の自律神経の乱れが落ち着いていないのかもしれませんね。GW明けの不調を訴える方も多いそうですが、そんな時はまずは素食、デトックスを。そして、頂くなら季節のものを良い組み合わせで。
よもぎ団子(野草と穀物)、フキや筍と厚揚げ(強アルカリとタンパク質)、野草の胡麻和え、クルミ和えなど、あく抜きをきちんとし、お砂糖は控え、良質な材料でご飯が進む程度に。目が欲しがるものより身体が欲するものを頂き、身体が心地よくなる感覚を楽しんでいただきたいです。
<花のめぐみ>
越冬をし、春先はまだ蜂の少ない時期。その季節に咲く桜の蜜は、収量が少ないのでとても貴重です。美しい香りとさわやかな甘み。桜のイメージそのものです。
今年も蜂たちに分けていただけて感謝。酵素などが生きている生はちみつ、味わってみたい方はホームページからご連絡ください。
<展示案内>
六月は、福知山市佐藤太清記念美術館の企画展へ数点出品。七月六、七日はホテルグランヴィア大阪にてART OSKAへギャラリー風のブースより出品。七月八日~十三日は東京銀座のギャラリー巷房にて個展致します。
のびやかな草木、山の風を感じにぜひお越し下さい。
(2019年5月10日記)
■葉根舎
haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com
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大森昌也さん他「自給自足の山里より」(208回連載)
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