山の一家*葉根舎「葉根たより」【23】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2018年11月1日号の掲載記事です。
大森梨沙子さんの執筆です。
葉根たより
秋深まり、澄んだ空に美しい月、天に向かって揺れる草花。
清々しさと充実感が身体に満ちるのを感じます。
「菊花開(きくのはなひらく)」「霜始降(しもはじめてふる)」
菊の花が咲き、初霜ももうすぐ降りる頃なのですね。
朝夕は肌寒く、ストーブに少し火を入れるようになりました。
十月十七日は旧暦九月九日、重陽の節句。
陽性な「九」が重なるめでたい日です。
各節句にはシンボルとなる植物があり、その日の特別なエネルギーを受け取る媒体になるそうです。
重陽の節句は菊。キク科のヨメナの花を生け、感じてみようと思います。
しかも、この日はちょうど三男かやの誕生日、八歳になります。
自宅で家族出産した八年前のこの日のことは、深く心に刻まれています。
<旬とつながる>
今年もおかげさまで、稲刈りが始まりました。
猛暑や台風でハラハラした今年。
早稲は穂が短く、実が少なめでしたが、晩稲の方は豊かに実っています。
収穫期が遅い分、鳥やキジ、野ウサギなどに少しずつかじられていますが、山水と山の空気でのびのびと育っています。
お野菜は新生姜や里芋、マコモタケなどが天候の影響を受けずにプリプリに育ちました。
薬や肥料の頼らずに育った作物はたくましいです。
株や大根の間引き菜はみずみずしく、旬のものを頂いていると、身体が自然の営みと共にあることを実感できます。
<からだのーと>
十一月七日立冬の前日までの十月二十日から十一月六日は秋の土用。
呼吸器や皮膚の疾患が増えるときです。
甘いもの、冷たいもの、乳製品、油物を控え、素食、少食に。レンコンなどの秋野菜を頂きましょう。
よく噛んで、旬を深く味わい、来る冬への備えをしていきたいですね。
<子どもがお手本>
日々、元気なお米やお野菜を頂いているおかげで、いつも元気な子供たち。
久しぶりに次男すぎなと三男かやが風邪をひき、鼻水と咳が少し出たけれど、二、三日でまた元気に。
大きく崩れることがなく、ありがたい毎日です。
大人の方が、つい仕事をがんばりすぎたりして体調を崩してしまうので、子供を見習わなくては、と思います。
大人は欲張りでいけませんね。
長男つくしはこの数か月ずっとガラガラ声、声変わりです。
靴も次々に小さくなり、細くて小柄だけれど、ぐんぐん育っているようです。
<大森梨紗子展>
綾部市志賀郷の竹松うどん店galleryうどん屋の蔵にて、個展―おんおくり―を開催中です。
里山にある木のぬくもりのあるギャラリーで展示をするのは、たくさんの人がいる街でするのとはまた違い、心地よいものです。十一月六日までです。
今年は作風の変わり目で、今までは草木を描くことを中心に据えてきましたが、草木を取りまく空気、季節の空気に満ちているものに意識が強くいくようになりました。
山で暮らし、日々変化する季節の空気に身体も心も満ちているおかげだと思います。
秋の里山と薪窯で茹で上げるおいしい手打ちうどんに草木の絵、季節を堪能しにぜひいらして下さい。
(2018年10月16日記)
■葉根舎
haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com
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