山の一家＊葉根舎「葉根たより」【21】｜MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家＊葉根舎（はねや）の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2018年9月1日号の掲載記事です。
大森梨沙子さんの執筆です。
葉根たより
カナカナカナ…今年も蜩(ひぐらし)の声が朝夕と、山に響き渡っています。
しかし、今年は鳴き声に勢いがありません。
温度と湿度が合うと奏でだす蜩、暑さに参っているのでしょうか。
深い青緑色に暮れる山の木々の色合いも、今年は深みにかけているように感じます。
大気中にある水分など様々なもの、目には見えないけれど、それらによって物の見え方は大きく変わります。
気候によってその大気中の目には見えないものが、大きく変化していることを感じます。
立秋を迎え、どんな秋に今年はなるのでしょう。
「涼風至(すずかぜいたる)」「蒙霧升降(ふかききりまとう)」
秋を感じさせる涼しい風が吹き、深い霧が立ちのぼり降る頃。
過行く夏を想いながら、秋への小さな変化探しを楽しむ日々です。
<満月の盆踊り>
旧暦七月十五日頃の満月に行われてきた盆踊り。
祖先供養と秋の豊作祈願、若い男女の出会いの場となっていたそうです。陰の気が極まる満月の日は、多くの生き物が産卵をする日。
男女の結びつきが深まる日なのです。旧暦や満月を感じて過ごしたら、素敵なお盆になりそうですね。
満月の翌日から新月にかけては排毒期。
夏野菜に含まれるカリウムが促してくれます。
でも、カリウムは冷やす作用もあるので、九月に入り、涼しくなってきたら食べ過ぎに気を付けましょう。
<夏の田畑>
山のきれいな水、空気と共にすくすく育つ田の稲たち。
毎日朝夕の水管理、畦と柵まわりの草刈りを稲や水、田に声をかけながらしています。
足音を聞いて育つ、と言われる稲。何事も毎日の積み重ねが大切ですね。
畑は大豆の植え付け、小豆まきを子供たちと。
今年は大豆の芽がうまく育たず、枯れたり、カビたりし、三度目の種まきでやっと成長してくれましたが、やはり例年よりも勢いにかけています。
大根や白菜の秋野菜の種まきもしています。
農作業は、めぐる季節を一足先に感じられるところがいいです。
<夏土用>
夏土用の期間は毎年本当によく晴れ、昔からの暮らしの知恵に脱帽です。
三日三晩の梅干し、畳干し、虫干し、よく晴れる土用にすべき仕事が伝わっていること、お日様のパワーに感謝です。
でも、暑すぎる今年。昼寝をしていたら、「魚とれたよ！」と、子供たち。
いつの間にか、子供たちは山の中の川へ遊びに行っていたようです。子供たちのパワーにはいつも感心。
<保養キャンプ>
東北から保養に来ている子供たちとも川遊びをしました。
京都で六月に行った「保養キャンプ応援チャリティ」の出店で出会った「笑顔つながるささやまステイ」のお手伝いに。
大したお手伝いはできませんでしたが、うちの子が交流し感じるところがあったようです。
同じ日本に川遊び、外遊びを安心してできない子がいること、年月が経つと薄れがちですが、まだまだ保養は必要です。
継続はとても大変なこと。
補助金やカンパが減ってくるなか、主催の方は自らの時間をけずって続けています。
兵庫や京都、滋賀など各地で小さな団体が頑張っていますので、是非お近くの団体について調べてみて下さい。
<十五周年>
この八月で、結婚十五周年を迎えました。
はじめは喧嘩ばかりでしたが、子供たちのおかげで少しずつ成長させてもらい、家族元気で仲良く過ごせる毎日に感謝です。
向き合う壁はどんどん大きくなり、家のことだけでなく村や地域のことも背負う立場になり、この小さな村を持続させていけるか不安もありますが、できることをコツコツと、大地にしっかり足をつけて積み上げていこうと思います。
（2018年8月13日記）
■葉根舎
haneya8011@gmail.com
HP：https://www.yamano-haneya.com
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MK新聞への「あ～す農場」の連載記事
1998年12月16日号～2016年6月1日号
大森昌也さん他「自給自足の山里より」（208回連載）
2017年1月1日号～2022年12月1日号
大森梨沙子さん「葉根たより」（72回連載）
