フットハットがゆく【326】「馬、鹿、ヤギ」|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2021年1月1日号の掲載記事です。
馬、鹿、ヤギ
2021年、今年もよろしくお願いいたします。
さて、昨年始まった田舎暮らしの中で、ミニヤギを飼い始めたという話を以前書きましたが、家畜・家禽は登録が必要だと聞き、京都府家畜保健衛生所に行ってきました。
正確には登録というか、何を何匹買っているかの報告書を提出しました。
僕の場合はニワトリ3羽にミニヤギ2匹、ほぼペットみたいなものなのですが、一応報告しました。
そこで聞いた話です。
「最近、日本にも鳥インフルエンザが出ましたので、鶏舎に入るときは注意してください。渡り鳥が落とした糞に万が一ウイルスが付いていれば、それを踏んだ靴で鶏舎に入ると感染します…。鶏舎専用の長靴を用意するか、完全消毒してから鶏舎に入るように…。」
とのことでした。
確かに、卵・肉の販売用として何万羽も飼育している場合は、そのような対応が絶対に必要だと思います。
しかしうちの小屋で飼っている3匹は、運動のためにほぼ毎日庭や畑に出しているので、僕の履物を除菌してもあまり意味がない、ということになります。
僕はペットたちに普通に人間の言葉で話しかけていますので、ニワトリを庭に出す際に、「渡り鳥の糞を踏まないように。」と言い聞かせていますが、言葉が分かるわけもなさそうですし、万が一分かったとしても『十歩あるけば忘れる鳥』がニワトリですから、聞いたことなどすぐに忘れてしまいます。
小屋に閉じ込めるという手もあるのですが、外で遊びたいと催促して鳴くので、ストレスを溜めるよりはいいだろうと思い解放しています。
家畜保健衛生所では、ヤギのこともいわれました。
「ヤギに雑草を食べさせていますか? そこは野生の鹿が出没する地域ですか? もしそうなら鹿の寄生虫がヤギに感染る可能性もあるので注意してください。場合によっては予防の薬を投与してください。」
うちの周りは鹿だらけなので、すぐに獣医師に相談して寄生虫予防の薬を取り寄せました。
ヤギ専用のものはないそうで、馬用のものを使うことになりました。
ヤギの体重に合わせペースト状の薬を量り、指につけてヤギの口につっこみ舌に塗りつけます。
馬やヤギが美味しく感じるように作られているのか、そのままペチャペチャと食べてくれました。1ヶ月月に1回この薬を与えます。
これで寄生虫は予防できるそうなので、堂々と雑草を食べさせられます。
馬の薬を使い鹿の寄生虫からヤギを守る。
馬、鹿、ヤギ、というワードが出たので話がそれますが、「馬鹿とヤギは高いところが好き」という言葉があります。
ヤギはもともと高地の生き物で、外敵から身を守るために崖などに登っていた習性で、高いところを好むようです。
さらに話がそれて、ある国では馬鹿な動物の代表がヤギだそうで、人をののしる時に「お前はヤギだ!」と言えば、「お前は馬鹿だ!」と言う意味になるそうです。
自虐的に言うならば僕はヤギでありますが、高所恐怖症なので高いところは好きではありません…。
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