タクシードライバー感動とっておきエピソード「クリスマスケーキが見つからない!」
目次
タクシードライバーの仕事は、一期一会。毎日たくさんのお客様にご乗車いただいております。
タクシーでは、数々の物語が巻き起こります。
その中で実際にあった「とっておきのエピソード」をドライバーから募集。
応募総数398通から社内審査の結果、大賞に選ばれた作品を紹介します。
MK新聞2015年6月1日号を再構成したものです。
伏見営業所の山本乃輔社員が、実際に体験したエピソードです。
「クリスマスケーキが見つからない」感動エピソード
クリスマスの夜、単身赴任のビジネスマンがご乗車
2013年12月25日午後10時、京都駅八条口のMKタクシーのりば。東京へ単身赴任しているというビジネスマンがお一人ご乗車になりました。
「クリスマスを家族で過ごすため、仕事の都合をつけ何とか自宅のある京都に帰ってきた。妻に『ケーキはお父さんが用意して』と以前から頼まれていたが、仕事が忙しく今日まで用意できなかった」とおっしゃいました。
そこで、一緒にまだ開いているケーキ屋さんを回ることに。
頼まれていたクリスマスケーキがどこも品切れ
しかし、12月25日の夜であったため「クリスマスケーキ」はもう品切れの店ばかりでした。
お客様と私はあきらめモードになりましたが、ふと思い出しました。
出庫前に営業所の職員さんから私が会社を通じて注文していた「クリスマスケーキ」が届いていると声を掛けられたことを。
そのとき、ドライバーがとった行動は・・・
そこで、お客様へ「私のケーキでよろしければ差し上げます」とご提案しました。
お客様は断られましたが、ケーキを探す道中の会話で、お客様の家族を思う気持ちにこころを打たれてしまった私は、半ば強引にケーキを受け取っていただきました。
ご自宅に入って行かれるときに聞こえた、小学5~6年くらいの女の子の「お父さん、お帰り!」の声。
その声にとても温かな気持ちにさせられました。
後日、奥様とあの声の娘さんが営業所にお礼のお菓子をお持ちご挨拶にお見えになったと営業所長から聞きました。
そして営業所長から「メリークリスマス!」とドライバー手袋を10対いただきました。大変印象的なクリスマスとなりました。
ドライバーへのインタビュー
伏見営業所の山本乃輔社員へのインタビューです。
なぜ、そのような行動がとれたのでしょうか?
自分でも特別な理由は思い当たりませんが、そのお客様に共感を持てたからだと思います。
家族思いで、仕事で疲れていらっしゃる様子でしたが、幸せそうでした。
私自身、家族ができて仕事を頑張らないといけない必要から、やった分だけ評価されるMKタクシーに入社したこともあり、自分と重ねたところもあります。
ただ特別なことをしたとは思いません。
先日も雨が急に降ってきて、美容院からご乗車になったお客様が傘を持ちでなかったので、トランクから傘を出してお渡ししました。
せっかくのきれいな髪が濡れてしまうと思うと、自然と行動していました。
人を思いやるのはもともとの性格でしょうか?
この仕事を始めてからだと思います。
同じ車両の昼勤・山川社員はベテランで、「運送以外のプラスアルファを提供しなさい。MKとしてというよりも、あなた山本さん個人として何ができるか考えてください」と教えていただきました。
たぶん先輩皆さんがやってきたことです。
MKタクシーに根づいているものです。
タクシードライバーという仕事について、どう思いますか?
私はMKのタクシードライバーになってよかったです。仕事は奥が深いです。単純な答えがないのです。
車内の温度ひとつとってもそうで、自分の感覚で暑いと思って冷房を強めてもお客様にとっては寒かったりと。
それまでは営業マンとしての仕事でしたが、今は接客の仕事の奥深さと楽しさを味わっています。
そして、MKタクシーでは周りの支えもあります。
今回のエピソード大賞への応募も、実は文書が苦手な私を見かねて、営業所長や先輩、仲間が一緒になって添削し、3,4日かけて文書にしました。
周りの協力があったからこそ、大賞に選んでいただくことができました。