祇園祭の楽しみ方とは?準備から裏側まで違った視点から見てみよう
目次
1150年の歴史を誇る、京都でも最大の祭りである祇園祭。
京都人ならではのちょっと違った視点からの、宵山や山鉾巡行だけではない、歴史を踏まえた京都通な楽しみ方をご紹介します。
祭りの準備から楽しもう
宵山や山鉾巡行だけでなく、準備から楽しむのが京都通な祇園祭の楽しみ方です。
1ヶ月にわたる祇園祭の流れ
- 1日 吉符入
- 2日 くじ取り式(京都市役所)
- 7日 綾傘鉾稚児者山(八坂神社)
- 10日 お迎え提灯
- 10日 神輿洗い
- 10~14日 前祭・山鉾建て
- 12~13日 前祭・曳き初め
- 13日 稚児社参(八坂神社)
- 14~16日 前祭・宵山
- 16日 石見神楽奉納
- 17日 前祭・山鉾巡行
- 17日 神幸祭
- 18~21日 後祭・山鉾建て
- 20日 後祭・曳き初め
- 21~23日 後祭・宵山
- 24日 後祭・山鉾巡行
- 24日 花傘巡行
- 24日 還幸祭
- 28日 神輿洗
- 29日 神事済奉告祭
- 31日 疫神社夏越祭
2022年は10日のお迎え提灯と24日の花傘巡行が中止されましたが、2024年は4年ぶりに全ての行事が行われる予定です。
一般には、宵山と山鉾巡行のみが知られていますが、実際には、1日の「切符入り」と呼ばれる京都の町内で祭儀打合せから始まります。
2日にはくじ取り式が市議会で行なわれ、山鉾巡行の順番が決まります。くじ取り式では、くじ取らずの山鉾からも代表者が出席します。
この頃から、もう町内は祇園祭の気配がしてきます。というのも、夜7時頃から各町の町家と呼ばれる持家で祇園囃子の稽古が始まるからです。
巨大な山鉾が3日間で組み上る「山鉾建て」
10日の早朝から土蔵が開けられ、作業がはじまります。
祇園祭の山鉾建てには、2~3日要し、大工方、手伝方、車方といった職人さんが見事んは連携プレーで山鉾を組み立てます。
釘一本使わぬ伝統技術を見られるのも山鉾建ての間だけです。
この職人技を見るのもまた祇園祭の楽しみ方です。
鉾を持つ町内は、それぞれ、そろいのゆかたを作ったりして、一段と熱気が増します。鉾がある町は、経済的にも大変です。
ゴブラン織や、豪華な刺繍のほどこされた西陣織など目を見張る絢爛さですが、維持するだけでも大変な費用がかかります。
しかし、それをものともせずこれまで維持してきたのが京都人です。
ツウな祇園祭の楽しみ方
「コンチキチン」の祇園囃子
7月になれば山鉾町のあちこちでコンチキチンの祇園囃子が聞こえはじめます。
特に、夕方や休日の四条烏丸のあたりでは、囃子方の方が集まって練習されている生の音を耳にすることができます。
祇園囃子は鉦(びょう)と笛と太鼓からなります。
太鼓がいわば「指揮者」。小さい頃から鉦を始め、笛、太鼓と進みます。
共通のものもありますが、これも町ごとに独自の曲があります。
希望すれば誰でもさせてもらえるものではなく、縁故筋の推薦がなくては鉾に乗れない場合もあります。
鉦は子供、笛は高校生以上、太鼓は老練な大人と、だいたい分担が決まっています。
祇園囃子は、鉾の上で能や狂言を演じていたことが起源とされます。
「コンチキチン」の囃子は、30曲近くあります。
四条通では、テンポのゆっくりした荘重な「上りバヤシ」、河原町通は、テンポの速い「戻りバヤシ」。
TPOによって演奏も変化します。
じっくりと祇園囃子を聞くのもまた祇園祭の楽しみ方のひとつです。
自慢の品が展示される宵山の「屏風祭」
今は数少なくなった “屏風祭” も行われます。
新町通や室町通などを歩いていると、家の中には明りが灯され、お座敷に屏風などの家宝が飾られていることに気が付きます。これが屏風祭です。
この祭は、普段は納戸の奥にしまってある秘蔵の屏風、家宝を座敷に広げ、道往く人に公開するものです。
秘蔵の品をそっと拝見する年に一度の機会です。
このときばかりは無礼構で、玄関先まで入って見せてくれる家もあり、京都人の心意気を示します。
屏風祭を眺めながら歩くのも祇園祭の楽しみ方です。
14日あたりから、夜店が立ち、お守り付きちまき、縁結びのお守り、絵馬、手拭い、扇子、パンフ、ハガキなどの祇園祭グッズが売り出されます。
新町、室町界隈は、宵山では人波でごったがえします。
それぞれの山にあるストーリーを追う
山鉾のうち山を注意して見ると、それぞれにストーリーがあることがわかります。
飾りの美しさを楽しむだけではなく、視点をかえて見ると、またちがったおもしろさがあります。
じっくりストーリーを理解するのも祇園祭の楽しみ方です。
すべての山のストーリーを追っていくには、半日程かかります。
山鉾巡行の前に、ぜひ見ておきたいです。
鉾の高台から見下ろす町並みは、いつもと違って見えるといいます。
祭りの好きな人たちならではの弁です。
祭の拠点となる各町の会所
祇園祭の準備や人形、その他の飾りの準備は、町家と呼ばれる各山鉾の町会所ですべて賄います。
本来は町家に鉾を保管しておくのですが、今は多くの鉾、山は八坂神社の蔵にしまってあります。
祇園枝垂桜の北東側にある建物が山鉾が収蔵されている蔵です。
祇園祭では、町会所でご神体とそれぞれ秘蔵の宝が披露されます。
ぜひ町会所にもお参りしてください。
34基の山鉾、1基の休み山それぞれにストーリーがあるのがわかります。
ひとつひとつ追うのも祇園祭の楽しみ方です。
宵山ではぜひ、山や鉾に上がってみてください。
例えば月鉾。江戸中期の絵師、円山応挙が手がけた屋根裏の装飾を見ることができます。そう、応挙も祇園祭を支えた町衆だったんですね。
菊水鉾のお茶席では、祇園祭にちなんだ「したたり」をいただくことができます。
鉾町の氏子でもある亀廣永のお菓子で、アクの除かれた透明な黒砂糖の味わいを寒天で閉じこめた琥珀羹です。(菊水鉾のお茶席は例年7月13日~16日)
真っ暗闇で行われる「宵宮祭」
7月15日には、八坂神社の境内で宵宮祭(よいみやさい)が行われます。
山鉾の周りで行われる宵山と似た名前ですが、別の神事です。
この宵宮祭というのは、八坂神社の本殿にいらっしゃる神様を、御神輿へと移す神事です。
夜20時ごろ、本殿内でしめやかに神事がはじまります。
神事が終わると、八坂神社境内の灯りが一斉に全て消灯されます。
突然のことなので、びっくりします。
真っ暗闇とはまでは言いませんが、周囲は闇で満たされます。
暗闇のなか、本殿から拝殿の御神輿へと神職の方が三度往復します。
何かを手に持っているのはうっすら見えますが、それが神霊です。
再点灯されるまでは、撮影禁止です。
中御座には素戔嗚尊 (すさのおのみこと)、東御座には櫛稲田姫命 (くしなだひめのみこと)、西御座に 八柱御子神 (やはしらのみこがみ)の神霊が移され、宵宮祭は終了します。
三基の御神輿は、7月17日の神幸祭で四条寺町の御旅所へと向かい、7月24日の還幸祭で再び八坂神社へと帰ってきます。
宵宮祭は、賑やかな山鉾とは異なり、闇の中行われる厳かな神事です。
祇園祭と言ったら、山鉾巡行や宵山など華やかなイベントが盛りだくさんです。
しかし、中には宵宮祭のような行事も行われています。
いつもと違った祇園祭の姿を、ぜひ一度見てください。
祇園祭りのいろんな姿を楽しみましょう。
スサノヲが大活躍!石見神楽の奉納
宵山が行われる7月16日には、八坂神社の能舞台で石見神楽(いわみかぐら)の奉納が行われます。
石見神楽の奉納は、1973年から始まりました。新型コロナによって2年間中止となったため、2022年は3年ぶり48回目の開催です。
例年は18:30から始まり、約3時間かけて5つの演目を披露しますが、2022年は感染防止対策のため17:30から3つの演目を披露しました。
石見神楽は古くから島根県の石見地方に伝わる神楽の一種の伝統芸能です。
日本神話などから取材した多くの演題があり、笛や太鼓にあわせて演じられます。
2022年は、まず「塵輪(じんりん)」「天神」「大蛇」の3つの演目が披露されました。
いずれも複数人が舞台を狭しと動き回る派手な動きが特徴の演目です。
多くの演目がある中で、毎年最後を締める演目は「大蛇(おろち)」です。
石見神楽を代表する演目として最も人気があります。
主人公の須佐之男命(すさのおのみこと)は、八坂神社の主祭神であり祇園祭にも縁の深い演目です。
あの有名な石見神楽を京都で見られることも祇園祭の楽しみ方のひとつです。
最大のみどころ「山鉾巡行」
いよいよ17日ともなると、早めに起きて、朝風呂に入り、身を清め、白かみしもで、スッキリとしたところで、巡行が始まります。
山鉾巡行の先頭を常に務める長刀鉾は、9時に四条鳥丸を出発し、四条河原町を上り、御池通を通って、12時半頃、四条新町へ戻ってきます。
祇園祭りの花である山鉾巡行は、全国から観光客が集まる行事なので、京都通の楽しみ方としては、ここではあえて多くは語りません。京都通ならよく御存じでしょう。
戻ってくると、まだ山鉾巡行の興奮さめやらない内に、即、解体作業にとりかかります。
今までの準備に要した時間や手間に、少しも未練を残さず、山鉾をバラバラにしていきます。ここまで追ってこそ京都通の楽しみ方です。
前祭の山鉾巡行の夜には神幸祭、後祭の山鉾巡行の夜には、還幸祭が行われます。
八坂神社のお神輿が、氏子地域を練り歩きます。
実はこの神幸祭と還幸祭が本来の祇園祭の中心行事です。
山鉾巡行は、神幸祭と還幸祭のお神輿の露払い役です。
山鉾巡行の日は場所取りを含めて早朝から出かけているでしょうが、しっかり夜まで見逃さないのが祇園祭りの楽しみ方です。
還幸祭が終わると、いよいよ祇園祭も終わりが近づきます。
7月31日に行われる疫神社夏越祭をもって、1ヶ月に亘る祭にもフィナーレを告げられます。
いよいよ今度はお盆の精霊送りとして知られている”五山の送り火”。
京の町の人々は、暑さの中で伝統行事を守りつづけているのです。
くじ取らずとは
祇園祭の山鉾巡行の順番は、くじ取り式で決まりますが、古来より「くじ取らず」として順番が固定されている山鉾があります。
現在は、以下の9基の山鉾がくじ取らずです。
前祭(7/17)
1番 長刀鉾
5番 函谷鉾
21番 放下鉾
22番 岩戸山
23番 船鉾
後祭(7/24)
1番 橋弁慶山
2番 北観音山
6番 南観音山
10番 大船鉾
前祭については、江戸時代より、先頭が長刀鉾、5番目が函谷鉾、最後尾が放下鉾・岩戸山・船鉾という基本構成に変更はありません。
一方で、後祭については、江戸時代以降も多くの変遷を経てきました。
19世紀以降の後祭のくじ取らずの変遷
~1826年
1番 橋弁慶山
10番 鷹山
11番 大船鉾
・北観音山と南観音山は隔年で交互出山
1827年~1864年
1番 橋弁慶山
10番 大船鉾
・1827年から鷹山が不参加
1865年~1871年
1番 橋弁慶山
・1865年の蛤御門の変で大船鉾、北観音山、南観音山などが罹災
1872年~1878年
1番 北観音山
2番 橋弁慶山
・1872年に北観音山が復興
1879年~2011年
1番 北観音山
2番 橋弁慶山
9番 南観音山
・1879年に南観音山が復興
・1966年から前祭と後祭が合同し、前祭の山鉾に次いで後祭の山鉾が巡行
2012年~2018年
1番 橋弁慶山
2番 北観音山
6番 南観音山
10番 大船鉾
・2011年に大船鉾が復興
・2014年から後祭が分離し、7/24に山鉾巡行
2019年~現在
1番 橋弁慶山
2番 北観音山
6番 南観音山
10番 鷹山
11番 大船鉾
・2019年に鷹山が唐櫃巡行で参加、2022年から復興
おわりに
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2021年7月15日(木)12:15より、MKタクシー公式インスタグラムで「祇園祭の山鉾めぐり~四条界隈を歩きながら~」のインスタライブを配信しました。
祇園祭山鉾連合会と南観音山保存会の役員にガイドいただきながら、山鉾を巡りました。