フットハットがゆく【329】「零式戦闘機」|MK新聞連載記事

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フットハットがゆく【329】「零式戦闘機」|MK新聞連載記事

MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、塩見多一郎さんのエッセイ「フットハットがゆく」を2001年11月16日から連載しています。
MK新聞2021年5月1日号の掲載記事です。

 

零式戦闘機

前回の内容で話題にしました国家資格の試験ですが、無事合格しました!
そしてその数日後には誕生日を迎え、52歳になりました! めでたいめでたい!

 

めでたいついでに、甘い話を…最近ミツバチを飼い始めました。ハチミツを採取するためのセイヨウミツバチで、いわゆる養蜂(ようほう)です。
僕の住んでいる地区に、村おこしのために養蜂に取り組んでいるグループがあり、その仲間に入れてもらったのです。
僕は虫好きなので、ハチミツをとるのも楽しみですが、ミツバチを観察するのが本当に楽しいです。
内検といって定期的に巣箱の中をチェックするのですが、数千匹のミツバチを一度機に見ると、虫嫌いな人が見たら卒倒しそうな光景ですが、僕は楽しいです。
もちろん、防護服を着て内検するのですが、先日皮手袋の上からブチっと刺されました。
齢52にしてミツバチに刺されるのは生まれて初めてで、少々痛かったですが、嬉しかったです。
別にドM男というわけではないのですが、ヨーロッパで「ミツバチに刺されるとガンになりにくい。」という研究があるらしく、真偽はともかく、そういうのをすぐに信じるタイプなので、これも何かの縁だから早く刺されたかったというわけです。
僕は気楽にそう言っていますが、アレルギーのある人はミツバチといえども大量に刺されると危険なので、気をつけてください。

 

お尻の毒針を敵に刺すとそのミツバチは死んでしまいます。まさにミツバチの攻撃は命がけです。
まるで特攻隊のような生き方です。僕には、巣箱からブーンと羽音を立てて飛び立つミツバチたちがとても格好良く目に映ります。
巣箱は航空母艦、ミツバチは零戦(ぜろせん)! そんな妄想を持ってミツバチを見ることもあります。

 

そのミツバチの行動範囲ですが、半径3kmを飛び回るといわれています。
ミツバチ(働きバチ)の体長は約13mm。零式戦闘機の全長は9m。
単純計算で零戦なら2,000km以上飛ぶ計算で、これは北海道から沖縄の距離です。
そんな距離を飛んで蜜を探していると想像すると、本当に頭がさがるというか、ロマンがあるというか…。

 

ちなみに、働き蜂は全てメスで、その一生は約40日。
最初は巣の中で掃除担当。中盤は幼虫育てや、巣作り役に昇格し、最後に巣箱の外に出て蜜・花粉を集める役につくそうです。
だから、花に止まっているミツバチを見かけたら、それはベテランのハチなのです。
ミツバチの40日を人間の80歳に換算すれば、60代、70代のおばあちゃんたちが零戦に乗って日本全国を飛び回っている…という妄想になり、50代の僕からしたらもうリスペクトしかありません。
そうやって1匹のミツバチが一生で集められるハチミツは、約スプーン1杯といわれています。
彼女たちが死ぬまで働いて貯めたハチミツをごっそり頂いてしまう養蜂家は、まるでブラック企業の悪徳社長のように思えてきますが…、優良企業を目指し、今後もミツバチ様とのより良い関係を築いていけるよう、必死のパッチで頑張ります!

 

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