山の一家*葉根舎「葉根たより」【24】|MK新聞連載記事
MKタクシーの車載広報誌であるMK新聞では、山の一家*葉根舎(はねや)の「葉根たより」とその前身記事を1998年12月16日から連載しています。
MK新聞2018年12月1日号の掲載記事です。
大森梨沙子さんの執筆です。
葉根たより
秋の日に輝くセイタカアワダチソウにススキ、空き地でたっぷりと揺れる美しさが落ち着くと、色づき始める草木山。
まるで最後の力を振り絞って素晴らしい演奏をしてくれているかのようです。
次々と変化する演奏に忙しい気分になるほど楽しい山。
「地始凍(ちはじめてこおる)」「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」
そろそろ寒さに大地が凍り始め、虹が見えなくなる頃。
北国からは雪の便りが届きましたね。
心をシンと澄まし、うちへ向かう季節の始まりを感じます。
その季節を充実できるよう、準備をしていく日々です。
<秋仕舞い>
今年も無事に稲刈りが終わり、田は秋仕舞い。
柵まわりの草刈り、畦草刈り、水路掃除、水はけを良くし、田の乾燥を促します。
乾いたら表面だけを浅く起こし、冬の間に草と藁の分解を進めるのが夫のげんのやり方。
大地との対話で生まれた独特の方法で、農薬や肥料を入れなくても草が生えず、収量がしっかりと獲れるようにやっとなってきました。
畑は里芋、ヤーコン、生姜の収穫、発送の日々。
大根、人参、白菜も育ってきました。小松菜は虫に食べられてしまいましたが…。
十一月は大豆や小豆の収穫、麦播きです。
げんは、なるべく欲を持たずに作ることを心がけているそう。
環境を整えて、あとは土や水などにまかせたぞ、という思いで。
暑さなど気候が厳しい時にもちゃんと実ると、欲を持たずにやってきたからではないか、などと思うそうです。
<土用に用心>
冬土用(十一月七日の立冬前の二週間)のある日、風邪をひいた長男つくし。
朝食は梅干しと番茶、お昼は梅干しとみそ汁、夕食は梅干しとおかゆ、と自分で調整しゆっくり休み、翌日は朝から「お腹すいた!」と、おかゆを二杯食べ、すっかり元気になりました。
子どもの身体に対する素直な反応には、感心してしまいます。
私も冬土用中に少し不調に。寝込むほどではありませんが、弱いところにひずみが出たことを感じました。
食欲の秋、つい秋の味覚に誘われ、甘いものを食べすぎてしまったからです。
やはり、土用中は用心しないといけないことを再確認しました。
<からだのーと>
日に日に冷え込んで行く季節。寒くなると、腎臓や膀胱が弱り、足腰、膝、耳、骨に不調が出やすくなります。
身体を冷やす果物、生野菜、甘い物、アルコール、コーヒーなどを控え、土鍋でじっくり煮た根菜類などを。
海藻、小豆昆布などもおすすめです。腎臓に形の似た小豆は、腎臓と相性ピッタリなのです。
ちょうど今、収穫した小豆がテラスに並んでいます。
<にぎやかな秋>
秋は稲刈りなどの収穫に加え、地域のイベントもたくさんあり忙しい季節です。
そんな中、三男のかやは8歳に。「お誕生日は何が食べたい?」と聞くと「うどん!」あまりに素朴なリクエストに感動。
せっかくなので手打ちうどんをみんなで作りました。
たくさん作ったので、みんなうどんだけでお腹いっぱい!「ケーキは明日にする~」とかや。ほのぼのとした秋のお誕生日でした。
私は、綾部での個展をたくさんの出会いと共に、無事に終えることができました。
来年は、東京と大阪で個展があります。それまでに、暮らしと絵の小さな本を作る予定です。
雪の中じっくり家にこもる冬、心を込めて制作します。
どうぞお楽しみに!
(2018年11月13日記)
■葉根舎
haneya8011@gmail.com
HP:https://www.yamano-haneya.com
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